流転
スイッチはゼノを引っ張り物陰に隠れると辺りを警戒するように見渡す。
すると、2人の前に全身黒ずくめの人物が姿を現す。
「スイッチさん、あの怪しげな集団は……?」
「恐らく……暗殺者ギルドの奴らだな」
「どうしてまで日が出てるのにあんな真っ黒な格好なんですか?」
「……この世界じゃ珍しくない。自分の常識を捨てろ」
「ええ……」
スイッチは2人の様子を伺いながら小声で話す。
「……どうします?」
「今は様子を見る。俺が合図したらバインドを使え」
「はい」
スイッチはそう言うと息を殺して様子をうかがう。
しかし、2人の暗殺者はこちらには気づいていない様子で、声を潜めて会話を始める。
「例の領主だが、やはり今夜に始末するらしいぞ」
「明日の夜ではなかったのか?」
「いや、娘がいる今を狙えと」
「あぁなるほど、全く酷いことしやがる。トラウマでも植え付けるつもりだろう?」
「恐らくはな、まあ我々には関係の無い事……それに今宵は満月だ暗闇で目が利くありがたくはないか?」
「それもそうだな、では準備を進める必要があるので、夜がふけたら又」
「ああ」
2人は別々の方向へと歩き去っていく。
スイッチはそれを確認するとゼノの肩を叩き、物陰から出ると2人でその場から離れる。
「危なかったですね……」
「あぁ、だがいい兆候だ」
「どういう意味ですか?」
「世界の流れが元に戻ろうとしている。
「ホントですか!?」
「あぁ、だがもし奴らの話してた内容通りに暗殺が完遂されれば未来が確定する」
「そんな……」
「だからこそ、分岐点である今夜を逃すわけにはいかない。必ず成功させるんだ、ゼノ」
「……はい」
ゼノは拳を強く握りしめた。
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