第82話 湖底遺跡への移動手段
「あそこにいた男はもしかしてレベルトですか?」
テレビを見て絶句していたリリィが質問してきた。レポーターをしていたドライアドがレベルトと言っていた。
「だろうな、今のもドライアドだろ?」
オスカーがこっちを見て質問した。
「ですね」
「なら間違いなくレベルトなんだろう、問題は湖底遺跡と言っていたがどのあたりにあるんだか……」
「湖の中央にあると聞いています。」
答えたのはリリィだった。
「何か知っているのか?」
「人狼騒動の始まりにして終焉の遺跡シャンソン遺跡の事だと思います。」
「700年前の人狼の事か」
「はい、ヴェンダル湖は、エルメダ様が、シャンソンを潰すために1撃を加えてで出来たクレーターが湖になったものと言われていますから、」
『そうなの?』
『んまぁ、そうなのかな?』
良く分からない返事が返ってきた。
『どこか違うの?』
『んと、人狼騒動始まりの地って部分はあっているけど終焉の地って部分は違うかな……、エルメダ様がシャンソンを壊すためにメテオって魔法を使ってできたクレーターが湖になったって所はあっているよ』
メテオなんてゲームだけの魔法だと思ったけど、この世界にもあるのか、と思った。
「直人どうする?俺としてはあそこに行くべきだと思うが」
「それは自分も思いますが、湖底遺跡なんてどうやって行くんですか……?」
「レベルトはどうやって行ったんだ?」
オスカーの疑問は尤もだと思う、自分も水中を移動するような魔法は持っていないからな……、
「おそらくですが、人魚の願いというペンダントを身に着けているのではないでしょうか?」
「なんだそれは」
「レベルトと私の母はトライベッカ公国の出身です。トライベッカは元々、人と人魚の恋の伝説が多く存在するのですが、その伝説の中に、子孫にもしもの事があった時に海へ逃げられるようにと願いが込められたペンダントの話が出てきます。そのペンダントを身に着けていると水中でも呼吸ができるという伝説があるのです」
人と人魚の恋か~ロマンチックだな~とか思って聞いていた。
「伝説だろ?存在するか解らないだろ?」
「そうですね……」
オスカーの応えに対して、しょんぼりするリリィ
『似たようなものなら実在するんだけどね……』
『あるの?』
『うん名前はセイレーンの涙、魔物セイレーンが惚れた人の男に預けたネックレスだね』
『物語が気になるが、それをレベルトが身に着けていると?』
『うん、子ども達がレベルト見たところ水の中を自由に移動できるようなスキルは持っていないみたいだし、そのネックレスの力だけで湖底遺跡に行ったんじゃないのかな?』
『そっか』
魔物セイレーンが惚れた男に預けたネックレス物語が非常に気になる。
「オスカー、ヒスイが似たような効果のあるネックレスを身に着けているって言っている」
「そんなものが存在するのか」
「らしいよ、問題はどうやって自分らが湖底遺跡に行くかだが、潜水艦なんて持ってないよね……?」
「あんなもん個人で持ってるやつが居るかよ……」
だよなぁ~何百億単位でお金かかりそうだし、どうしたものかな……
『ん~湖の近くに上位の水精霊いるし、手伝ってもらえるか聞いてみよう』
『いけるの?』
『私が命令すれば、確実にやってくれるけど、水の子にはあまり迷惑かけたくないんだよね』
そりゃ、植物のドライアドからしてみたら、水は大事な存在だよね。
『まぁそれしか手段ないなら、それでいこう』
『OK』
「オスカーさん、湖の近くに上位の水精霊が居るみたいなので、手伝ってもらえるようにお願いしに行きません?」
「ウンディーネか、それしかないんだろうな……、行くか」
ほかにいい手段があればいいが、本当に思いつかなかった。
「私はリリィとここにいるけどいい?」
「あぁ、構わない、俺と直人で片付けてくるよ、それじゃあ行くか」
「うぃ~」
リリィたちの居る離宮を後にし、ヒスイの案内の元、街を出て湖畔までやってきた。
湖畔まで来るといくつもの青い光の玉が浮いていた。
『ここだね~ウンディーネ達も私達を歓迎してくれているみたい、ちょっと待ってね~』
「もしや青い光の玉がそうなのか?」
オスカーにも見えているようだった。
「らしいですね、ヒスイ曰く歓迎してくれているそうですよ」
「そうかそいつはよかった」
青い光の玉がヒスイの周りに集まってきた。
肩にいるヒスイは頷いたりいろいろな動きをしているが何を言っているのかが解らない。
しばらくすると話終わったのか淡い光を纏いつつこっちを見た。
「オスカーも聞いて、この湖に4匹の大きなキラークロコダイルが居るみたいなの、湖を荒らしまわっているせいで、この子達が困っているみたい、倒したら湖底遺跡まで案内してくれるって」
ワニ討伐か、神の手が使えないゴーレムより楽だなとか思った。
「キラークロコダイルか、大きくても10m位だが、どれくらいなんだか……」
「1匹は少し行ったところで日向ぼっこしているみたい」
「さっさとやりにいくか~直人行くぞ」
オスカーの後について行くと、精霊達が居た場所から数分の距離にいた。
「あれか、確か討伐達成報告が上がっていたが、複数いたのか……」
「デカいですね~10mじゃ足りなくないです?」
「15m……、20mはない位だな、やるか、直人せっかくだ、銃の使い方を教えてやる、ライフルを出せ」
大型の魔物を目の前に、銃の使い方を教わった。
「風や重力の影響を受けないからな、凄く楽だぞ、俺からしてみたら違和感しかなかったがな……」
そうだよね、本来なら風の向きや距離で弾道が大きく変わってくるよね。
「よっし、奴の目を狙ってみろ」
「目ですか?」
「そうだ、どのみち音で位置がばれるだろうからな、奴の死角を作っておけばいいだろ」
「了解」
スコープをのぞき込む、中心部に奴の目を合わせようとするが、自分の呼吸や心臓の鼓動のせいか定まらない。
「落ち着いてゆっくりでいい、直人のペースで始めてくれ」
「了解」
スコープの中心に奴の目があった、今!と思い引き金を引いた。
「グワァァァ」
「ナイスショット!」
スナイパーライフルをしまい、刀を取り出す。
「まぁ待て、あいつらはな、僅かだが口を開けて襲ってくる癖があるんだよ、だからな」
オスカーがグレネードランチャーを取り出し、引き金を引いた。
オスカーが討ったグレネードランチャーは、銃身から綺麗な弧を描いて口の中に着弾し爆発した。キラークロコダイルの頭が爆発でむごいことに……、
グレネードランチャーは重力に影響される謎、構造的なものなのかな?
「まずは1匹目」
オスカーは上を見て口笛を吹いた。すると、オスカーの相棒ビークが降りて来た。
「ビーク、キラークロコダイルの居る場所解ったら教えてくれ」
「イエッサー!」
鷹がイエッサーって……、軍隊みたいだなと思った。
「ん~2匹は水中だね~、1匹は北側にある湖から流れ出る川の近くにいるよ」
「ヒスイは水中もわかるのか凄いな」
フフン!とドヤ顔なヒスイ
「植物プランクトンも対象らしいですからね」
「あぁなるほどな、北に居るやつは俺が倒してこよう、水中のやつは直人が何か手を考えてくれ、行ってくる」
それだけ言うと、走り去ってしまった。
「どうするかな~」
「一番近いのは11時の方向15キロの距離に居るよ」
居る場所が解ってもな、とりあえず現地に行ってみるか?
水面を足場に縮地で駆け抜けると、ヒスイが言っていた位置には何もない、やっぱり水中か、このまま縮地で対岸まで移動しようと思った時、後方でキラークロコダイルだ水面から天に登るように飛び出してきた。
もしかして、水面をけった音に反応した?
すぐさま行動速度上昇発動させ、Uターンして、神の手発動!命を刈り取るイメージをしタッチし、アイテムボックスに放り込んだ、
『次、6時の方向8キロ』
「了解」
ヒスイのナビに従い6時の方向を向き縮地で水面を駆ける。
ピチャっという音に反応したのか、またもや水面からキラークロコダイルが天に登るように飛び出してきた。
戻って神の手を発動させ命を刈り取った。
『次、9時の方向9キロにオスカー』
「了解」
オスカーの所に向かっている途中、爆発音が2回聞こえた。おそらくオスカーも2匹目をやったかな。
水面を駆けていると、オスカーの姿がはっきりと見えるようになってきた。
「オスカーさん、水中の2匹終わりました。」
「直人おまえ、水面走れるのかよ……」
「縮地のおかげですけどね」
「東洋の神秘か、俺にも教えてくれ!」
「いいですよ」
どのように教えればいいか解らないが……、
「とりあえず、ウンディーネ達の所に戻りましょう」
「あぁ、そうするか、」
その後、オスカーと共に、ウンディーネ達の元に急いだ。
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