第73話 冬
時は流れ、季節は冬に入り始めた。
また、ジェドが行方不明になったという噂が流れ始めた。
(パール、やっぱりジェドを殺したのは不味かったかな?)
(そうですね、人類の守護者らしいですから居なくなれば、当然衝撃も大きいでしょう。)
(あのときの物証は残ってないよな?)
(はい、ちゃんと確認しましたが、何一つ物は残ってません。地形が少し変わったくらいですか。)
(そうか、それならいい。)
(…後悔していますか?)
(してないな。向こうが殺す気で魔法を放ってきたからな、なら当然こっちも殺す気の魔法を放つのは道理だろ。)
(そうですか。)
(それに大陸の情勢もきな臭いからな。いつ戦争が起こってもおかしくない。そうなれば人を殺す機会もあるかもしれない。)
(もしそうなったらどうしますか?)
(そうだな。いっそ観測するのも面白いかもしれない。どういう風に推移していくのかとかさ。)
(他人事ですね。)
(それはしょうがない。俺に命を懸ける覚悟はないから。)
(たとえあっても大丈夫な気もしますけどね。)
(ははっ、そうかもな。ところで話は変わるが、大陸南部は、雪は積もってるかな?)
(ほんとに変わりますね。おそらく雪は積もりだしているはずです、例年のデータからすると。)
(そうか、今日の午後は雪山に行って遊ぶぞ。)
(雪山で何をするんですか?)
(着いてからのお楽しみだ。)
稽古と昼食を食べ終え、雪山に向かう。
(フォーミリア王国の首都まで行ったことがあるからな。そこまでは転移で行くぞ。)
(了解です。)
おお、あいかわらず国の首都ってのはどこも人が多いんだな。
すぐに迷子になりそうだ。
(パール、ここからはどうすればいい。)
(とりあえずもっと南下しましょう。そうすればエナメル王国の南部あたりで雪が積もりだしますから。)
(エナメル王国って確かトランテ王国と同盟を結んだとこだったよな?)
(はい、そうです。)
(まあ、今はいいか。じゃあ、案内してくれ。)
(分かりました。)
その後、風魔法で南下する。
そのたびに寒くなり、身体強化の倍率を上げる。
(見てください、マスター、あれが大陸一の高さを誇るフォーゲル山を擁するアルノワ山脈です。)
(でっけー、上の方は雪が結構積もってんな。よかった、これで遊べるな。でもとりあえず服を買いに行きたいな。どっか、この辺に街はあるか?)
(ありますよ、少し離れてますがこの国の首都もあります。)
(そういや、ここはどこの国なんだ?)
(ここはエナメル王国の隣のユーミリア公国です。大陸南部の海と面しています。)
(つまり上から、ギラニア帝国、フォーミリア王国、エナメル王国、ユーミリア公国ということか。)
(そうなります。この国は寒く、農作業に適してはいませんが鉱山がたくさんあります。)
(へぇ~、国力はどのくらいなんだ?)
(しょぼいですよ。)
(辛口だな。で、首都はどっちの方角なんだ?)
(あちらです。付いてきてください。)
(わかった。)
しばらく、北東の方に行くと大きな街が見えてきた。
う~ん、さすがに帝都よりは格段にしょぼいな。
人の数もそこそこだし、店もあまり多くなさそうだ。
一般人に化け、子供用の冬服を買う。
(結構あったかいな。モンスターの毛が使われてるのかな?)
(おそらくそうでしょう。昔からこの地域は寒く雪がたくさん降るので、生活の知恵が発達しているのです。)
(そうだよなぁ。冬服も買ったから雪山に向かうか。さっきのアルノワ山脈でいいか、あそこにいくぞ。)
(了解です。)
今回は転移で向かい、大陸一と言われるフォーゲル山でスノボーをすることにする。
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