第33話 帝城へ
「あら、二人ともよく似合ってるじゃない。これだったらパーティでもモテモテね。」
「確かにモテそうだね。でも女性には気をつけるんだよ、怖いからね。」
ああ、確かに母であるアレナも怒ると怖いからな。
でも、マルスがモテるのは分かるが俺はどうだろうな。
「はは、そんなことないですよ。」
マルス、イケメンの謙遜はよくない。
いっそ開き直ってくれたほうが批判しやすいんだ。
はぁ〜、それにしても目はつけられたくないな。俺の自由な生活を失うわけにはいかない。
馬車の中で楽しく会話していると馬車が止まった。
どうやら到着したしたようだ。
いざ、ゆかん。貴族の戦場へ。
俺たちは簡易の身体検査を受けた後、城の中へと入っていく。
それにしても立派な城だなぁ。俺では住めそうにもない。
よく知らない奴と一緒に暮らすなんて俺には無理だ。
「大きいね。」
「そうだね、マルス兄さん、大勢の貴族がやっぱり来るのかな?」
「たぶんそうだろうね。」
そういいながら城の中を歩いていく。
(すごい大きいですね。昔でもここまで大きい建物はなかなかありませんでしたよ。)
(そりゃそうだろ、こんなのがそこら中にあったら驚きだわ。昔も今も権力者は高いところを好むっていうことだろ。)
(確かにそうかもしれませんね。)
(まぁ、必要なことではあるがな。外向きには敵国に対する牽制、内向きには貴族や平民に対する牽制。こんな巨大な城を作れるということをアピールして力を示しているのだろうさ。)
(権力者も大変ですね。)
(まったくだ。のんびりだらだら暮らした方がいいのにな。)
(程度も必要ですけどね。少なくともマスターはもう少し勤勉になってもいいと思いますよ。)
(ごめん被る。)
パールと会話しているとパーティ会場についた。
おお、この先がパーティ会場か、すげえ緊張する。
アレク、アレナ、マルス、俺の順番で入っていく。
おぅ、なんかすごく注目されてないか。まぁ、いつもハブられている家が来たら見るよな。俺だってじろじろ見る。
身体強化で耳を強化し、貴族が話していることを聞き取る。
「ほう、エルバドス家のご子息はどちらも優れた容姿をしておられる。」
「そうですな、たしかご息女も見た目麗しかったはずです。」
「惜しいですな、公爵家に目をつけられていなかったら縁談を持ちかけたのですが。」
俺はその会話を聞いて、にやにやをこらえるのに苦労した。
やはり、俺も容姿は整っているのか。遺伝子の働きに感謝だ。それにどうやら公爵家のおかげで縁談とかは持ちかけられないようだな、とんずらしなくて済みそうでよかった。
さすがに家族に迷惑はかけたくないからな。
そんなことを思いながら俺とマルスは両親に連れられ、ほかの貴族たちとあいさつを交わしていく。
「はじめまして、ジン・フォン・エルバドスです。」
なーんだ、意外と簡単だな。
マルスに続いてこれを言えばいいだけだからな。マルスは少々会話を振られているが、俺には振られない。8歳でよかった。
あと、時々美少女がいて俺はこの世界に感謝した。
それにしてもレベル高いなあ、結婚する気はないが。
そうやって挨拶回りをしているとある一団がこちらにやってくるのが見えた。
俺は察した、あれが地雷だと。おそらくアレナの実家だろう。俺は顔が引きつらないよう、顔面に力を入れた。
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