第28話 ピアス

ピアスのない左耳を触っている。寂しくて寂しくてたまらない。落としたことが夢ならいいのに。一日中歩いたこの街のどこかに今も転がっているんだろう。奇跡のような再会を願いたいけれど、戻ってくることはきっとない。右耳のピアスを外す。こんな時に、雨の匂い。ピアスを握ったまま雨滴を見つめる。

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