第183話 女神召喚?
誠司が計画していた
それは工事で物理的に山を削ることが主ではなく、本当の目的は太陽光発電パネルを利用し、とある結界陣を形成することだった。
打ち明けられた話を聞いて、みなは顔を見合わせた。
「……パネルで……結界陣? そんなことできるの???」
科学の産物である太陽光発電パネルと、古の秘技であろう結界陣。
この二つがどうにも頭の中で結びつかず、首をかしげるぬか娘。
ヨウツベたちも同じように眉をひそめている。
占いさんは一つ咳払いをして、そんな若者たちへ誠司に代わり説明をしてあげる。
「結界とは、とある媒体を通じて法力を結ぶことにより作られる紋章じゃ。そしてその紋章にはそれぞれの神の力が宿っており、媒体と合わせてその力が発揮される」
「うぅぅぅん!! よけいわかんないよぉっ!!!!」
――――どないやねん、と平手でツッコむぬか娘。
どうも占いさんの言うことはマニアックすぎて、ついていけない。
どうかもっと一般人にもわかりやすく言ってもらいたい。と言わんばかりの顔を見せつけた。
「う~~~~んとじゃな、ようするに……。描く〝模様〟とそれに使う〝物〟の材質で結界の種類が変わってくる……と、言うことじゃな? ……わかるか?」
「うぅぅぅぅん……ん~~~~……な、なんとか……」
冷や汗ダラダラ、なんともおぼつかない返事。
「……たとえば、わたしが何回か見せた結界じゃが、これは地面に円の
「オオヤ……ええと~~~~そういう余計なジンブツメイとかいいんで……。でも言おうとしていることは、なんとなくわかるよ……うん」
「つまり、占いさんは地面に直接模様を描くことで〝土〟の力を土台にしているってことですか?」
頭から煙を上げているぬか娘に代わり、ヨウツベが確認をする。
占いさんは嬉しそうにうなずいて、
「そうじゃそうじゃ。そして誠司はその〝土〟の代わりに〝太陽光発電パネル〟を結界の材料にしようと言っておるのじゃな」
そう言って誠司を見た。
その視線に、大きくうなずく誠司。
「はい。まさしくそうです。驚いた……僕が何年もかかってたどり着いた法則だったのですが……こうも簡単に理解してくれる人がいるとは……」
「わたしのような者ならこのぐらい常識じゃよ。まぁ、かくれて独自に勉強しとったんじゃから無理もない。しかし村長よ、世の中にはまだまだ世間に知られていない世界というものがあるんじゃ。恐れず門を叩き、相談しておればまだ苦労は少なかったかもしれんな?」
「はい……本当にそうです。世間にさらされるのが怖くて……僕は臆病に、そして独りよがりになっていたのかもしれません……」
怨霊との戦いで、張ってくれた結界。
法力だの結界だの、研究はしていたが……実は、体験したのはそのときが初めてだった。
正直、驚いた。
ワラをもすがる思いで頼ろうとしていた古の術が、本当にあったのだと喜びに打ち震えもした。
しかし同時に、自分などでは到底扱えない代物だったと、目も覚めた。
だからこそ非難を承知ですべてを打ち明けてまで、この人たちに頼ろうとしたのだ。
そしてその判断は間違っていなかった。
「……ん~~~~……で、そのパネルを使うと何がどうなるっていうんですかぁ~~……」
「そうだね。太陽光発電パネルが具体的にどう結界に影響してくるのか、それは興味があるところだね」
「……わたしも……気になるな……ぐうぐう……」
「ぼ、ぼ、ぼ、僕はあれだな、秘蔵の18禁フュギュアを拠り所にべ、べ、べ、弁財天様の加護をいただきたいんだな……ぬふふふふふふ」
思い思いの疑問を口にする若者たち。
アニオタの発言は無視して、占いさんは話を続けた。
「誠司よ、おぬしが求めたのは、あのつまらぬパネルではなかろう、本当はそこに集まる光を欲したのではないか?」
「……本当に……すべてをお見通しなのですね。ええ、その通りです」
かなわない、と頭を下げる誠司。
誠司は懐から一冊のボロボロになった古いノートを取りだすと、占いさんに渡した。それは彼が長年かけて調べ上げた〝秘術〟について記されたものだった。
対して若者たちは、ますますわからない顔。
「??? パネルじゃなくて光? 光って太陽の???」
「……太陽の光……その力を使って陣を描こうとしていたと?」
「太陽光……そこから連想される神……それも
そんな神など一人しかいないなと、咎めるように占いさんは誠司を睨んだ。
「え? なになに占いさん、わかるの? いったいどんな結界なの?」
「
「……太陽神ラー……? ……ぐうぐう……」
「馬鹿者、ここは日本じゃ。日本の太陽神といったら一人しかおらんじゃろうが」
わかるじゃろ? と占いさんは若者たちを見る。
と、アニオタがプスンプスン鼻を鳴らし、興奮しながら立ち上がった。
そして汗だらけのメガネを光らせ、高らかと叫んだ。
「アマテラスたんキターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
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