第93話 vs【魔陣】①
「さっさと死ぬといい」
俺は【魔陣】と向かい合い、変な感覚のする奴に向かって剣を振る。
スカッ
「何!?」
俺は奴に向かって剣を振るけれど、奴に剣が当たった様子はまるでなく、何が起きたのか俺にもわからない。
「どうなっている?」
「ほっほっほ。そんな
奴はそう言いながら魔法陣で攻撃を仕掛けてくる。
「『魔陣構築:ゾーン』」
俺の体が重たくなる。
ただ、あくまでもなんとなくという程度でしかなく、俺にとっては関係ないに等しい。
「どうやってレールトンを排除した? 殺したのか?」
「ほっほ。言う訳なかろう?」
「それもそうだな」
『魔陣構築:ヘルフレイム』」
「!?」
俺は少し身構えて、何が起きるのかを待ち受けた。
すると、俺とは違ったところで
「ぐわあああああああ!!!」
「貴様!」
「ほっほっほ。貴様は【守護神】の様に狙いを引き付ける能力はあるまい?」
【魔陣】はそう言いながら街の住人を燃やしていく。
俺はそれから何度か奴に向かって剣を振るけれど、手ごたえは何もない。
「幻影か」
「ほっほ。そうじゃよ。じゃが、ワシの攻撃は本物。どうするかのう?」
「簡単だ。貴様の本体を探し、速攻で殺す」
「ほっほ。言うだけなら簡単じゃ。じゃが、そんな暇があるとよいの? 『魔陣構築:サンダーフィールド』」
奴が魔法陣を起動させ、空に雷雲がたちこめる。
そして、かなりの範囲で雷が落ち、人々を打ち
「貴様! く、どうしたら……」
魔法陣に対する
俺に向かってくるのであれば幾らでも対処は出来るが、俺以外を狙われると厳しい。
それに、同時に【魔陣】を探さねばならないのだ。
どうしようか悩んでいた時に、リュミエールが叫ぶ。
「シュタルさん! 雷雲の中に魔法陣があります! それを壊して下さい!」
「何!? 分かった!」
俺は瞬時に雷雲に向かって飛び上がり、雷が振り注ぐ中突っ切っていく。
この程度の雷では俺にダメージすら与える事は出来ないからだ。
「どこだ? どこにある?」
俺は雷雲の中で感覚を研ぎ澄ませ、それを見つけた。
「それか!」
俺は雷雲の中で黄色く光る魔法陣を見つけ、拳を叩きつけた。
バギン!
すると、魔法陣は形を失って崩れ去っていく。
それに伴って雷雲も最初からなかったかのように消え去っていった。
俺はそれを確認すると、急いで下に戻る。
「リュミエール! 助かった!」
「はい! 私も少しは力になりたいんです!」
「どこを壊せばいいか教えてくれ!」
「もちろんです!」
「ほっほ。それが出来るかのう? 『魔陣構築:』……」
【魔陣】はそんな俺達を
しかし、リュミエールがそれを事前に察知した。
「シュタルさん! あそこです! あそこに魔法陣が起動しています!」
「分かった!」
俺はリュミエールが指し示すところに向かう。
すると、そこには彼女が言ったように緑色に光る魔法陣が輝いていた。
俺はそれを速攻で壊し、リュミエールの場所に戻る。
「よくやった! 次の事も指示してくれ!」
「はい! やっと、やっと少しは力になれます! 任せて下さい!」
「ほっほ。今度はもっと遠くの方でやろうかのう」
【魔陣】はそんな事を言うけれど、リュミエールは的確に魔法陣が生み出される場所を的中させている。
こういったことは、アントゥーラに習ったのだろうか。
そうだとしたら、あの街に寄った
俺は彼女の指示を聞きながら、少しは他のことに意識を向けた。
それは、【魔陣】の本体を探す事だ。
「シュタルさん! あそこ! 1キロぐらい先です!」
「任せろ!」
俺は走り出し、そこに向かう途中で『
「『
範囲を拡げて行くけれど、やはり【魔陣】の気配は見当たらない。
先ほど感じていた奴の気配も今は消え去っている。
「そんな事があるのか……?」
俺はどうやって見つけたものかと考えながら奴の居場所を探す。
「奴の反応は……本体の近くにあるはず。なのにいない……。なぜだ?」
そんな事を考えながらも、【魔陣】の攻撃を的確に潰していく。
「ほっほ。お主……ワシから離れたの?」
「何!?」
俺は奴がそう呟いた様に聞こえた。
奴はそれから、とんでもない事を口にした。
「お主はこの街の事がとても……とても大事なようじゃからのう。これは効くぞ? 『召喚魔陣構築:サモン・守り神』」
「なん……だと……」
奴の口から、信じられない言葉が飛び出てきた。
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