第69話 最強に相応しい課題
バッシャアアアアアアアアアン!!!
守り神が叩きつけたかの所の湖は大きく水柱を作り出す。
「『
俺は瞬時に魔法を使い、水柱と奴を凍らせる。
これで暴れられることは……。
「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」
バギン!
「何だと!?」
守り神の暴れる力は恐ろしく強くなり、俺が凍らせた箇所は簡単に砕け散ってしまった。
「く、こうなったら」
このままでは湖の水が大波となってサラスの街や川沿いを襲ってしまう。
それを止める為に、少しの間だけでも守り神を氷漬けにしなければ。
俺はそう考えて守り神に近付くと、アントゥーラに止められてしまう。
「シュタル殿! 氷漬けには絶対にするな!」
「なぜだ!?」
「守り神様の体力が持たない! 暴れる方がまだましだ!」
「そんな事があるのか!?」
「ある! だからこのまま好きにさせるんだ! こちらも出来る限り急ぐ!」
「っち! 仕方ない! 絶対にしくじるなよ!」
「ワシを誰だと思っている!」
アントゥーラはそう言って魔法陣を消す作業に戻っていく。
ちなみに、彼らは『
しかし、これは大変なことになった。
魔法陣を消す間、どれだけの時間がかかるのかは分からない。
けれど、その間中……この暴れる亀を凍らせることなく、その余波だけを消さなければならないのだから。
ゾクリ
俺はそこまで考えた時に、その難易度で
最強になり、戦う相手もおらず、いかにして自分にハンデをかけて戦うのか。
そればかりを考えていた。
けれど、今回の事は俺が全力で立ち向かわなければ、被害は0には出来ないだろう。
失敗したら、多くの人が死ぬ。
だが、俺が成功すれば、多くの人が助かり、守り神も助かり、全ての人が喜ぶ。
何という二者択一だろうか。
多くの者は挑戦すらしようとしないだろう。
だが、これだ。
これこそ俺が最強になるために挑戦しなければならない課題。
最強の俺にこそ相応しい課題だ。
成功させた時、俺はまたしても最強の階段を登るだろう。
「最高だ」
俺は胸を
「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」
体の半分ほどが未だに凍っているのにも関わらず、守り神は全力で暴れまわっている。
そして、その巨体が動く度に、湖は波打ち、高さ10m程の津波となって周囲へと襲い掛かっていく。
その襲い掛かる対象には、Aランク冒険者達が乗っている船もあった。
「最初は仕方ないか。『
パキン……。
俺は守り神を範囲外にして、その周辺だけを囲むようにして凍らせる。
だが、これだけでは足りない。
恐らくこのままでは……。
「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」
守り神は暴れるついでとばかりに水弾をこれでもかと放ちまくって行く。
それが着弾した氷は崩れ、それが湖に沈むとまた新たな津波を産む。
やはりこのままでは良くない。
凍らせた先から新たな津波が発生しているのでは、いずれ終わりが手が回らなくなるだろう。
ではどうしたらいいのか。
あまり魔力は使わない方がいいと思うが仕方ない、こうするんだ。
「『
俺は体力を向上させ、走る速度を上げる。
そして、新たに生まれた津波の元へ走って向かう。
当然、走る速度を上げているので、水面も簡単に走れる。
「はぁ!」
俺は津波が生まれた場所に行くと、その津波を殴りつける。
そして、威力に気を付けながら津波を打ち消した。
シン……。
俺が拳で1つの津波を消している間、守り神は新たな津波をこれでかと作り出している。
だから、俺はそれが周囲の船を襲う前に先回りし、守り神にまでダメージがいかないような威力で津波を消して行く。
俺は緊張と興奮が入り混じった感情でそれを延々と続けていく。
失敗出来ない。
たった一度でも俺が津波の元へ来ることが遅れればそれだけで被害は数百人規模。
かと言って殴りつける威力を上げ過ぎると、暴れる守り神にもダメージが入って、死んでしまうかもしれない。
これだけでも大変だが、更に恐ろしい事が起きる。
「ガァァァァアァァメェェエェエェェェ!!!!!」
守り神が、氷を踏み壊し、それを天高く投げたのだ。
奴は考えてやったのではないと思う。
ただ単に足に引っかかり、持ち上げられただけだとは思う。
けれど、俺はそれも何とかしなければならない。
それを何とかしなければ、飛んでいった先で被害に遭う者が出るかもしれないからだ。
俺は水面を走りながら考える。
どうする? 撃ち落とす為に空を飛べば次の津波は止められない。
かと言ってこのまま放置する事は出来ない。
守り神の姿を見て、俺はあることを思いだした。
「簡単じゃないか……」
俺は走りながら剣を瞬時に抜き放ち、空中を飛ぶ
でも、これでは足りない。
俺は
そして、それと同時に拳で津波をかき消す。
「よし」
俺はやればやるほどこれが楽しくなっていた。
もっと難しい事を、もっと厳しい事をして来い。
そう思っていると、津波が来なくなった。
「なぜだ?」
そう1人呟いて守り神の方を見ると、守り神はぐったりとしていて、動かなくなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます