第19話

「嘘……だろ?」

 

 アースライト公爵家へとやってきた四つの公爵家御一行。

 彼らの知っているアースライト公爵家領は街行く人たちに活気がなく、ゴミが散乱しているのような領地だったはずだ。

 だがしかし、今。彼らの前に広がっている領地にはゴミがなく、街に様々なお店が立ち並び、活気に溢れている。


 そんな領地を見て彼らは内心、警戒心を高める。

 実力だけはあった公爵家に頭脳面的な変革があったのだとしたら……それは大きな、大きすぎる脅威となる。


「ふむ。素晴らしいではないか……やはり我らをもてなすとなるとこのくらいは必要よな」

 

 五大公爵家が一つ、マーキュリー公爵家を収める老獪な当主であるマンルスは実に呑気な声をあげる。

 他の3つの公爵家は呑気なマンルスに対して疑念を抱き、これまた警戒心を高める。

 殺し合う関係下にある公爵家たちは互いに……異様なまでに警戒心を皆、抱いていた。


「ようこそ。よく来てくれたわね」

 

 五大公爵家、唯一の女性当主。

 つい最近当主の座を奪ったばかりの新参。

 誰もが見惚れるほどの美貌を持ち、かつてのアースライトであればありえない華やかで美しさを引き出すドレスを身にまとっているマキナ。

 アースライト公爵家、現当主、マキナ・アースライトが4つの公爵家御一行に頭を下げる。


「ほう……」

 

 この場にいる全員がこの女こそ、アースライト公爵家に変革を齎した存在であると確信する。

 誰もマキナの隣に居る一人の人間には目もくれない。


「こちらに起こしください。あなた方様のお部屋のご用意をさせてもらっておりますので」

 

 感情の浮かばぬ瞳を浮かべた……奴隷のような一人の人間が彼らの前に立ち、案内を始めた。

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