第17話
「それじゃあ……よろしくねぇー」
アースライト家を牛耳る裏組織の所有する建物の一角の一室で。
裏組織のトップと会話していた一人の少年が部屋の中から出る。
「……」
部屋の中に残った裏組織のトップである男、ミントは冷や汗を垂らしながら、背もたれへと体を崩れ落ちさせる。
「はぁ……はぁ……はぁ……何者なんだ……?あいつは」
ミントの頭の中に浮かんでいるのは感情の浮かばぬ瞳を向けてくる少年の姿。
どこか底知れない『何か』を持っている少年は、数々の相手、中にはかなりやばい人間も含めた色々な人間と触れ合い交流を交わしてきた。
そんなミントの中でもぶっちぎりでヤバいと感じたのがあの少年だった。
「おい」
ミントは自分の側に控えている側近二人へと声をかける。
「今後、あの二人が街に出かけているのを発見したら、いの一番に声をかけろ。当主であるマキナと居るのであればうちの傘下の商店が多いところに誘導して、最大限にもてなせ」
「はい?」
声をかけられた二人は急なミントの言葉に首を傾げる。
「あと、犯罪行為が少しずつ手を洗っていけ」
「え?」
「ちょっ!なんでなんっすか?」
側近の二人は理解できないと言わんばかりの表情を浮かべ、疑問の声をあげる。
そんな二人を見てミントは苛立ちを覚えながらも口を開く。
「ちっ。まだまだだな。お前らも。あのガキの異常さがわからねぇか……いや、あのガキは正常なんだよ」
アースライト家の人間は全員脳筋であり、まともに統治を行わない。
しかし、あの少年は決して脳筋でなく、かなり頭も良い……人間だろう。
今まで好き放題できた自分たちも行政の名の元に規制が強化されれば今まで通りというわけにはいかないだろう。
恐らくあの少年は領地をよくしようと動き……それを裏組織の人間は止める事ができないだろう。
「行政が俺らを叩き潰しに来る。叩き潰すのに協力し、叩き潰されないようにするのが一番の行動だ」
ミントは一番最初に接触した組織が自分の組織であったことに感謝しながら言葉を話す。
ミントにプライドはない。どんなことでもする。だからこそ、組織のトップにまで登り詰められたのだ。
また、ミントは自分が生き残るため、プライドを捨てて小さな少年へと媚を売る。
「……厄介な奴がご当主様に守られているものだ。あんな命令がなけりゃ速攻で殺すってのに」
ミントはすべての裏組織のボスが集められ、アースライト家の当主であり、絶対な力を所有するマキナの『人間に手を出したら殺す。この領地に居るすべての生命体を巻き添えにしてでもあの子を殺した組織を壊滅させる』という言葉を思い出し、顔をしかめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます