第15話 愛のカタチ
食事会は辞退したのだが…結論から言うと駄目だった。
お披露目を兼ねた食事会は3日間行われる。
そして今日の夜は王は元より貴族も出席するそうだ。
これじゃ逃げられないな。
「なに暗い顔をしているのです」
「俺そんな暗い顔していた?」
「していましたわ、何やら悩んでいますわね」
フルールは凄いな、恐らく顔色を一瞬で読んだんだ。
「まぁね、今日の夜の食事会が憂鬱なだけだ、余り社交的な場所が好きじゃないんだ」
「あれ可笑しいですわね? まるで社交界の華みたいですのに?」
「俺は異世界人でから、少し風習が違うんだよ」
「そうなのですか?異世界人は私みたいな黒髪に目の色が黒と聞きましたわ」
さてどういうべきか?
「俺の場合は巻き込まれてきたんだ、だから異世界人だが別の世界からきた…そんな感じだ」
フルールが驚いた顔になった。
「そんな話は初めて聞きましたわ」
「まぁ珍しいケースらしいよ」
「成程、だからこの世界の知識に乏しいのですね…これ程の美貌の存在であれば社交の華になっていた筈ですわ...それなのに私が聞いたことが無い…そう言う事でしたのね」
「まぁな…しかも記憶がすっかり、無いのだが、どうやら俺は『麗しの勇者リヒト』だったみたいだ」
フルールが珍しく驚いた顔になった。
「『勇者リヒト』ですって?! 同じ名前で…本の容姿に似ていると思っていましたが…まさか本物でしたの? どうりで美しい筈ですわ…はぁはぁ、そんな方に私は裸で跨ってナイフを刺していたのですわね…ハァハァ凄いですわ」
フルールの目の色が変わった。
息遣いも荒く、完全に興奮しているみたいだった。
「なんだか辛そうだな…」
「ハァハァ大丈夫ですわ…我慢ハァハァしますわ」
これってフルールの性癖なんだよな。
「なぁフルール…俺以外の男を刺す事はそうは無いよな?」
「ありませんわ…普通は刺したら死にますわよ」
「それで俺はフルールにとって好みなんだよな」
「ドストライクですわ…ハァハァそれだけじゃなく、愛してますわ」
なら仕方ないな。
「フルール」
「えっ?!んっ…むっ、リヒト様?!」
俺はフルールにキスをした。
「性癖だと言うなら、俺以外にはしないで欲しい、他の男を殺す時には出来るだけ…1撃で殺して欲しい…これもフルールの愛だと思って受け止めるよ」
フルールの顔が笑顔になり…いそいそと服を脱ぎ始めた。
ブラも外してするりとパンティも脱ぎ去ると生まれたままの姿に…
「フルール、なんで服を脱ぐんだ…」
「服を脱がないと血だらけになって服が駄目になるのですわ…ほら、リヒト様も…」
そう言うとフルールは手慣れた様に俺の服を脱がし始めた。
手慣れている様でなんか嫌だった。
「手慣れているな?」
つい嫌味を言ってしまった。
「焼きもちですわね…嬉しいですわ、私の仕事は拷問ですわ、暴れる男の服を脱がすのは手慣れていますわよ…ですが愛を込めて脱がすのは今回が初めてですわ」
そう言いながらフルールは俺を脱がすと裸で俺に跨ってきて…
「愛してますわ、リヒト様…ハァハァ」
そういうと顔を赤くしながら隠し持っていたナイフで俺を刺し始めた。
ズブッ、ドス…ドス…
どうやら奴隷紋は発動しない良かった。
どうやら不破壊がしっかり働き、傷が出来た状態からすぐに塞がっていく…内臓も同じようだ。
少し痛いが…我慢できないような痛さじゃない。
前の体の時に画鋲が刺さった時の方が余程痛い。
「たまりません、たまりませんわー――っ」
「リヒト様、素敵、素敵ハァハァ、愛します…ハァハァ」
これ、やっているんじゃなくて『ナイフで刺されている』だけだからな…
俺としては目の保養になるから良いか。
暫くすると満足したのか…目が虚ろになりそのまま倒れ込んできた。
どうやら満足したようだ。
「んっ?! ぷはぁ…リヒト様?」
血まみれのフルールに俺は再びキスをした。
流石に滅多刺しにされたんだから、この位は良いだろう。
床は流石に血だらけだ、それでも恐らく傷がすぐに塞がるからか少なめではある。
「フルールにとってこれは性癖であり愛だと思う、ならば、最初と最後位キスで終わっても良いんじゃないかな?」
「愛ですか…そう言って貰えると思いませんでしたわ…これも愛…受け入れてくれるなんて…本当に嬉しいですわ…愛してます、本当に心から、愛していますわー-っ」
そう言ってフルールは俺に抱き着いてきた。
フルールは確かに綺麗だし、裸だけど…血だらけだから、会話と違いまるでスプラッタだな。
昔のホラー映画みたいだ。
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