第7話夏休みになっても続くよどこまでも
時は過ぎ夏休みになった。
小学生に上がって最初の長期の休み。子供たちにとっては最高の遊び期間であり、親にとっては子供のおかげで気の休まらない期間である。
昔の俺は知らなかったが子供が一日中家にいることは親には気が休まる暇がなくてかなりの負担であったようだ。いや本当に親には頭の下がる思いでいっぱいだ。
なので家では掃除洗濯などの手伝いを積極的にしている。所詮小学一年生の手伝いなので大したことは出来ないが、それでも母は喜んでいたので前向きに良しとしよう。
まあタイムリープして最初の夏休みは親孝行しつつ、未来の記憶から今後の事を考えた行動を起こそうと考えていた。まあうん、親を悲しませる人生をもう一度するのは流石にね。
それにこの昭和の時代の娯楽は俺にとってすでに知っているものであり、子供のする遊びはもう…四十の精神が崩壊しそうなほど地獄であった。
一度同級生の男の子たちの遊びに入れてもらったが、子供の様に遊ぶというのが無理だった。おっさんが子供の遊びに混じるのはなんとかなるが、心がおっさんの子供が子供のマネをして遊びをするのは精神を壊すのに十分なダメージがあった。
完全に嫌われる前に場を濁して逃げたが、それ以来こちらからも相手側からも誘うことは無くなった。未来ではそれなりに友人達もいたが今回は作るのは後々になりそうだ。
読んでいた小説で転生した主人公が子供のフリをしていたが、心に無理はこなかったのだろうか?
まあ自分には子供のフリは無理だったので少し背伸びしすぎな子供ぐらいにおさまることにした。自分の心の安定には必要であったのだ。仕方ない仕方ない。
と思っていたのだが、自分の周囲への影響を考えていなかった。
まず俺の夏休みにする予定は初日から完全に狂った。
放課後にしていた勉強会が夏休みの間もしてくれと要望があった。
どうやら未来塾式授業初級編は子供たちの学力をかなり向上させてしまったようで、本人達だけでなく親、先生にも受けが良かった。いや良すぎてしまった。
子供達の親代表、担任が俺の自宅までやって来て夏休み期間の勉強会の開催を求めてきた。
ぶっちゃけ面倒くせーとこの時は思っていた。元々は天宮に勉強のコツを教えるためにしていたことで、人数が増えたので試しに未来の技術で教えたらどうなるかなと思ってしたことなのだ。
無報酬でしていたことなのだ途中で止めても俺には責任は無い。
それを自宅まで来て開催しろと強要してくる。
むかついたので小学一年生に言葉でねじ伏せられる体験を受けさせようとしたら、先にキレた人がいた。
母である。
母は普段は温厚で人がいいと周囲には思われているが理不尽、矛盾、常識をある一定の許容レベル(それでも普通の人よりは懐はかなり広い)を超えると般若になる。
うん、俺は未来で母の所業(その一つが昭和時代には当たり前のやっていた男どもの行事後の宴会の席のくそ爺くそ親父どものセクハラにキレて罵声の限りを浴びせた。そしてそのまま男共の奴隷になっていた婦人会を辞めた。当時の常識では母が悪いことになる)での聞いていたのだが・・・怖かった。
だって担任と同級生の保護者が目の前で土下座してる恐怖。大人の心を持つ自分でもドン引きでした。それを起こしたのが自分の母となれば更に。
俺の小学一年生に言葉でねじ伏せられる体験のほうが数段ましだったと思う。
あまりに可哀想というより今後の俺の学校生活に支障(主に担任との交流)が出そうなので担任側の味方をしてしまった。
まず俺に責任があるかのような言い方の謝罪をさせる。教育と躾は親と担任の責任、小学一年生にそれを負わせようとしたことは完全に母にとって完全アウトだ。これを撤回させないと下手すると俺は転校させられる。(母は変に行動力がある)
その上で勉強会が俺に利益があるものにしないといけない。
勉強会を開催するのは人に教える勉強になる。将来の自分が何になるかまだわからないが経験しておくことは悪くないはずだ。
ただし無報酬ではしたくない、最低な前の人生で思い知った、時間は有限なのだ。無駄なことに費やす時間はないので報酬はいただく。
ちょうど金銭面でどうにかできないかなと思っていたのでよかったのかもしれない。
そこまで高くなかった物なので担任と保護者には納得してもらった。変なものを望む子供だと思われただろうが今からの俺には必要な物だったので満足している。
昭和の小学一年のおこずかいは令和の子供に比べて遥かに少ないのだ。そのうち金策でもしないとな、まあもう少し先に考えればいいことだ。
さて受けたからには真面目にやらなければならない。
教室の使用許可をもぎ取り開催する俺の授業を受ける生徒は女子生徒22名。
あれ~人数が増えてる?しかも全員女の子、男子!男子はいずこーっ!
ええ天宮から聞きましたよ。
未来塾式授業初級編を一学期に受けた女の子達の学力が大幅に上がった。それを知った子達が羨ましがって、自分達も受けたいと言ってきたらしい。
俺が拒否すればいいのだが女の友情に亀裂が入るのは俺の方に被害がきそうなので受け入れるしかなかった。
男子?女子に人気(というよりいいように利用されてる)がある俺に教えてもらうのはプライドが許さないようだ。友達出来るのいつになるんだろ…。
はーい初日から夏休みの宿題の答え教えますよ。
それはいいのかって?いいのいいの昭和時代の小学一年生の勉強なんて覚えるだけだからね。さっさと宿題終わらせて理解力を上げる勉強をしましょう。二年生どころか三年生ぐらいの理解力にするよー。
あ、後ろの座席で困惑している新任の担任香山先生。大丈夫!宿題するより効率よく成績上げますから!真似したら駄目ですよ半分洗脳ゲフンゲフン!いや勉強が楽しくなるようにする授業です。先生は基礎を教えてくださいね。
「先生~」
「はいはい何度も言っていますが俺は先生ではありません。君と同じ小学一年の同級生ですよ」
最近このフレーズよく言ってるような?
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子供にちゃんとした理由を言わない大人っていますよね。昭和の頃は多かった。
特に先生はそんな風だから次第に敬われなくなって後の先生たちが苦労していると思います。
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