第2話最後は後悔ではなく未練だった


 私は40代で死んだ。

 特別に不幸ではなく、普通に生きていく環境にいたことは間違いなかった。

 ただ私は行動しなかった。

 やりたいことがなかった。夢がなかった。だから私は自分から動こうとすることは出来なくて袋小路に落ちるしかなかった。

 

やり直すチャンスもあった。

 そんな時に限って悪いことは起きる。

 もう死ぬことしか考えられなかった。


 死ぬのは苦しかった。

 様々なことが走馬灯で頭の中によぎっていく。

 ああすればよかった。こうすればよかった。私が動けばどうにかなる人生には後悔しかなかった。

 それでも死は近づいてくる。

 本当の最後に思い出したのは、自分が知らないうちにどうにもできなかった初恋の人に嫌われた未練だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る