(二)-17

「もしかして、あなたが内野さん?」

 弁護士は言った。

 俺は肯定すると、事務所の中に通された。衝立で囲まれた応接ブースに案内されると、二対のソファの片方に座るようにと促され、俺はそれに従った。弁護士は「お茶入れてきますので、少々お待ちを」と姿を消したが、しばらくしてお盆にお茶を入れて持ってきて、テーブルに二人分を置いた。

 俺は兄の事故と遺産相続、そして高齢の母が実家に残されることなど、事情を説明した。よくあるケースなのか、考えるふうもなく案を出してくれた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る