母と実家
筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36
(一)
兄が亡くなった。実家の母から連絡があり、俺は広島で高速バスを乗り継いで、急いで島根の実家に戻った。
通夜や葬儀は実家のある、山間部の町のセレモニーホールで行うという。
兄の死因は交通事故だった。少し大きな町の石見直江津にある農協に行く途中、居眠り運転のダンプカーがセンターラインを超えて兄の乗る軽トラックに突っ込んで正面衝突してきたのだという。兄は全身強打で即死であったそうだ。
兄は実家の農家を継いでいた。結婚はしていたが、一〇年前に離婚していた。子どもはいなかった。
俺は兄と二人兄弟だった。家を出た俺は、大阪で何とか事務の派遣社員で食いつないでいた。
俺の父親は既に十五年前に脳卒中で亡くなっていた。酒の飲み過ぎだった。
それなので、実家には母だけが残されることになった。
(続く)
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