第330話 決闘当日も相変わらずのウッドストック侯爵!

あれから、数日が経ち決闘の日を迎えた。

決闘を行うということで、王都のギルドにある訓練場を貸し切ることにしたのだ。


「俺が、こんなみすぼらしいところにわざわざ来てやったんだ。感謝してほしいものだな」


ウッドストック侯爵は、ギルドに入るなり、冒険者を敵に回すような発言をする。しかし、事前に侯爵が来ることと周りを兵士で完全に護衛されている為、冒険者は言い返すことも出来ないのだ。


「初めまして、ウッドストック侯爵!アレク・フォン・タカハシです」


アレクは、このどんよりした空気の中、平然とウッドストック侯爵に挨拶をするのだ。


「き、貴様ぁぁぁぁ!よくも大事な息子に手を出してくれたな!絶対に許さんからなぁぁぁ」


ウッドストック侯爵は、アレクの顔を見るなり顔を真っ赤にさせて唾が飛ぶ勢いで怒鳴りつけるのである。


「ハハ、アハハハ!これは傑作だよ。そっちから手を出しながら返り討ちに合えば、復讐かぁ。今まで何人ウッドストック兄弟にやられて、それを揉み消してきたのか...今日は、その報いを受けて貰うよ。ウッドストック」


アレクは、畏まりました言葉も侯爵や殿や卿すら付けず呼び捨てにするのだ。

辺境伯と侯爵が、同等の爵位であるからこそ言えることである。


「新参者風情が調子に乗りおって!許さん許さん許さん!クーザーわかっているな?」


「はい!父上!もう準備は出来ております。破滅へのね」


クーザーは、ほくそ笑みながらウッドストック侯爵に言うのだ。


「破滅とは言うようになったな!それでこそウッドストックの嫡男だ」


ウッドストックは、アレクに対して破滅という言葉を言ったと思い込み上機嫌になっているのだ。本当の意味を知らずに。


「決闘をするなら負けた方は、爵位返上と全財産没収にしたいんだけど、いいよね?まさか天下の侯爵様が怖くなって断ったりしませんよね?」


アレクは、更に挑発するような発言をウッドストック侯爵にするのだ。


「グギギギ、逃げるわけないだろう!貴様が爵位返上し、落ちぶれた姿を見られると思うと愉快なものだ」


音が鳴るほど歯を食いしばるウッドストック侯爵。しかし、爵位返上したアレクの姿を思い浮かべて笑い出すのだ。


「では、魔法での誓約を結びましょう。お互い負けた後、無かったことにする訳にはいきませんからね」


急にアレクは真剣な顔になり、また畏まりました口調に戻るのだ。


「いいだろう!貴様に逃げられても困るからな」


ウッドストック侯爵は、もう勝った気でいるようで、自信満々の顔をするのだ。それから、ギルドの受付で魔法での誓約を結ぶのである。


「じゃあ、さっさと始めようか?」


「貴様、また舐めた口を聞きやがって」


アレクは、ウッドストック侯爵の言葉など無視するように地下にある訓練場に向かうのだ。


「父上、私の勇姿をこの目に焼き付けて下さい。さぁ、行きましょう!」


地団駄を踏むウッドストック侯爵を宥めるように嘘臭い言葉を並べるクーザー。


「そうだな!クーザーの勇姿をこの目でしかと見ようではないか。グッハハハハ」


クーザーの一言で、すぐに上機嫌となったウッドストック侯爵は、大笑いをしながら地下の訓練場に行くのである。

それを見ていたクーザーは、内心ヤレヤレと思うのだ。


「観客席には、強力な結界を張りましたので安心して皆さん見て下さい」


アレクは、事前に魔ノ国から借りてきた防御結界の魔道具を観客席に置いて起動させていたのだ。

冒険者達は、初めて見る決闘に興味津々となり、観客席に集まる。


「防音結界も張ればよかったかな?」


観客席では、ウッドストック侯爵が「殺せ」だの「殺ってしまえ」だのとずっと騒いでいるのだ。


「クーザー殿、初めまして!良き決闘を致しましょう」


「そうですね!胸を借りるつもりで戦わせて頂きます」


観客席まで声が届かないのを良いことに二人は健闘を願う言葉を交わすのだ。


「クーザー殿の父親に対して失礼だけど、本当にギャーギャーとうるさいね」


「私個人としてもお恥ずかしいばかりです。申し訳ございません」


クーザーは、共闘していることがわかってしまうので、頭を下げることはないが、アレクに対して申し訳なさそうに謝るのだ。


「両者、指定の位置について下さい」


二人が、話していると審判である受付嬢から指定の位置に付くように言われるのだ。


「では、これより決闘を行います。両者始め!」


拡声器の魔道具を受付嬢に渡し、観客席から決闘の合図を出してもらうのだ。受付嬢が怪我をしないようにする為の配慮である。

そして、決闘の合図が出されて、二人は対峙するのであった。





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