§ 1ー4 3月24日③ 黒い翼:エルノワール
--東京都・下北沢--
…………
MISSING SOUL! あなたの中に 見つけたの Ah~
CALLING EYES! その瞳の中に 囚われてたか~ら~~♪
いつも口数の少ないてっちゃん(
他の大学の軽音学部のバンドと対バンだったが、これだけの人たちが集まってくれるようになるほど、このサブカルチャーの街ではちょっとは知られるようになった。特に舞衣の歌声には、他の誰にも真似ができない透き通る艶っぽさがある。
4ヵ月ぶりのライブは、ただただ気持ちよく
…………
「おつかれ~」
ライブが終わり、荷物置き場も
「あー、やっぱりライブは最高!」
興奮気味にボーカルの千歳舞衣は、肩口までのショートヘアに汗をしっとり湿らせ、水を飲み干すや否や声を上げる。4か月以上もライブをしなかったフラストレーションが
「悪かったな。おれのせいで、前のライブ出来なかったから……」
「それはもういいって。耳タコだよ、あはは」
汗まみれで
「女に振られたぐらいで、そんなに落ち込むかねー」
「ほら、舞衣ちゃんはすぐにそういうこと言うんだからー。もう散々、颯太の心の傷をグリグリしたでしょ?」
「だってさぁ、せっかくライブやってヒャッホー♪ って気分なのに、目の前でそんな
いつも言葉少なめなてっちゃんに、
「……颯太も元気になったんだから、問題ない」
「まったく! 久弥もテツも颯太を甘やかし過ぎなんだって! そんなんじゃ厳しい世の中生きていけなくなっちゃうって!」
「……うるさいなぁ……うっせえよ!」
基本、感情の
「おー! それならわかった、舞衣。いつも好き放題言ってくれやがって! そんなにライブがしたいなら、またすぐにやってやるよ! メッチャ練習するから、サボったら許さねーからな!」
一同目を丸くする。いろいろな
「……ふっ……あは……あははははは♪ いいよ! やっぱり颯太は面白い奴だ」
「な、なんだよ!?」
「いやいや、怒る元気があるならもう心配なさそうね。うん、またライブしよ! 隕石が降ってきたら、ライブできないしね。あはは」
「何言ってんの?」
「「「ん?」」」
「落ちてくる隕石をバックにライブしたら、最高じゃん♪」
「さっすが、リーダー! それ、マジでカッコいいよ! あはははは」
舞衣、久弥、てっちゃん、そして自分こと生田颯太。吹っ切れたおれはこの4人ならホントに隕石の下でもライブが出来ると思っていた。みんな同じ気持ちで、これから先も一緒に音楽をしていくものだと勝手に思い込んでいた。このときは……
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