勇者の放浪記(物理)

祐希ケイト

第1話 鍵を開けるには壊したほうが早い

僧侶「……さま、勇者さま!」


勇者「ん……すまない僧侶。気絶させられてしまっていたみたいだな」


僧侶「不意討ちでしたから仕方ありません、落ち込まないでください。それよりも……」


勇者「ああ、どうやらどこかの牢屋に閉じ込められてしまったみたいだな」


僧侶「しかもご丁寧に施錠までされています。私たちこれからどうすれば……。あ! 勇者さま勇者さま! 鍵ですよ、鍵! 扉の前に不自然に落ちてあります。でも私の腕じゃ届かないな……短い、うう。勇者さま、そこに落ちている鍵を」


勇者「ふんっ」

(扉を施錠していた鍵が粉砕される音)


僧侶「……」


勇者「だれが鍵を使わなければいけないなんてルールをつくった。壊せばいいだけの話だろう。ほら、ぼさっとしてたらおいてけぼりにするぞ」


僧侶「は、はいっ」

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