第15話

 入植砦ヤリジュアは、砦と呼ばれていたが、守りの柵はザリアの街より貧弱で、というより、建てる技術が劣っていたのが見て取れた。

 大きな共用井戸を中心にして、二重の柵がざっくりと丸く全体を囲んでいた。門も、丸太作りだった。

 入植者達の小屋はバラバラに散らばって建てられていたが、それでも空いた場所は多かった。

 駐屯兵舎だけが石造りの、館と呼べそうな物だった。

 周囲に開かれた畑は、ただ、土地が痩せているのが見て取れた。狩りで生活する者も多そうだったが、とにかく全体、貧しさが漂っていた。

 危険な未開地生活故の厳しさの中には、それ故の清冽さみたいな物も、感じられた。

 とは言え、活気が有るとも言い難かった。「皆訳有り」バルキエールの言葉は、納得出来た。

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