第6話 置き去りにして
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【登場人物】
▼遺伝子能力養成学校高等部3年生
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
結構なバカ。
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
[ルーノ・スクラブ]
プラズマのクラスメイト。
プラズマが幼馴染、美人師匠に囲まれていることを妬んでいる。
セリナ曰く“プラズマの周りを飛びたがる衛星というか虫みたいなもの”らしい。
▼プラズマ周辺者
[アリス・ジア]
電撃の能力を持つ女性で、プラズマの師匠。
男勝りな性格。
[レオン・アイシー]
氷の能力を持つ男性で、セリナの師匠。
▼プラズマを狙う影
[ウィンド]
プラズマを狙う緑髪の青年。
ギリア、バリーと行動を共にする。
[ギリア]
アリスと対峙した男。空間を作用させ物を吸い込むような能力を持つ。
[バリー]
アリスと対峙した男。岩の能力者。
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〜とある山の山道〜
「下っ端とは言ってくれますが、相手にとって不足はないですねぇ。」
ギリアの視線の先には、全身からパチパチと音を鳴らしながら、発する電気によって髪が逆立っているアリスがいた。
「あぁ!?そんなに強そうには見えねぇけどな。」
バリーはというと、口角を片方だけ上げ、見下したようにアリスとレオンを眺めている。
そんなバリーとは反対に、ギリアは冷静に、注意深くアリスの挙動を観察していた。
「【
「あのジア家3兄妹の内の1人………」
その言葉にアリスが反応した。
「“3きょうだい”って言うな!聞こえてるぞ!」
それでもバリーは注意を向けるべき相手だと認識はしなかった。
「ジア家って言っても没落名家だろ!?大したことねぇよ!」
「そしてもう一人。【
顎をさすりながらギリアはバリーに忠告した。
「両者とも政府軍から二つ名を与えられている強者です、油断は禁物ですよ。」
「二つ名なんて……大したこたぁねぇよ!」
「大したことないなら……私らに胸貸してよ………格下!!」
雷のような轟音とともに、電撃となったアリスがバリーへと猛スピードで突っ込んだ。
バリーはすぐ様自身の体を岩に変えて硬化し、アリスの攻撃を防ぐ。
「ぐっ……!」
電撃となったアリスはバリーの体に直撃すると、跳ね返るように元いた場所に着地した。
「流石は電気だな。当たったとき静電気みたいにチクっとしたぜ。」
バリーがそう言って自身の胸部を触ると、足に何かが
「なんだ………?石………?」
「へぇ~、静電気ごときで崩れ落ちるなんて、あんたも
バリーの足に落ちたのは、電撃によって
「てめぇ……!俺の岩を……!」
「もっと速く……強くできるんだけどね。」
バリーの視界が閃光に覆われると、次は右脚に痛みが走る。
「がっ………!!」
瞬間的に前方を見ると、すでにアリスがレオンの横に戻っていた。
右脚に衝撃を受けたバリーは体勢を崩して地面に伏す。
――速いでしょ――
すでに自身から離れているはずのアリスの言葉が間近で発せられている。
「なんだ………?あいつ喋ってねぇのに………」
バリーが見ているアリスの口元は動いていなかった。
「一体どういう……」
地面に伏すバリーの元にギリアが近づく。
「音を置き去りにする電撃………言葉が後から追ってくる。」
「故に
「やってくれるじゃねぇか………!」
バリーが立ち上がろうとするが、足が地面に引っ張られるような感覚を覚える。
「なんだ!?」なっ……!」
地面と接している膝や足の甲が凍らされ、地面に引っ付いていたのだ。
「レオン・アイシーか……!」
しかし、バリーも手立てがないわけではなかった。
「
バリーの体が炎に包まれて行き、見る見るうちに氷を溶かしていく。
アリスは燃え盛る相手を見ながらつぶやいた。
「相手炎系統の
「全く問題ない。
レオンが地面に手を付くと、バリーとギリアの方へと流水が滝のように勢いよく伸びていく。
しかしギリアがバリーの前へ躍り出ると、円形の空間を作り出し、大量の水を吸い込んでいった。
その様子を見たアリスがレオンに尋ねる。
「あいつの能力、なんだと思う?」
「
「敵の攻撃を吸い込んで跳ね返すとか?」
「あぁ。その可能性もある。」
「だとすりゃ……面倒だな。あたし跳ね返される系は苦手なのよ。」
「知ってるさ。あの時のお前はベソかいてたからな。」
「泣いてないわ!!」
「まぁ今のはこいつがそういう能力だったらの話だ。先入観は禁物だからな。」
過去の黒歴史を笑われたアリスはふくれっ面でレオンの方を向いた。
「えらっそうにっ。」
「とりあえず、
「
レオンの生成した紫色に光る2つの小さな円陣がギリア達に向かって放たれる。
しかし再度ギリアが円形の空間を作り出すとすべて吸い込まれていった。
「またか……」
ギリアが両手を突き出すと、アリスの四方に円形の空間が開いた。
「さて、ではお返ししますね。」
そしてその中から先ほどレオンが撃った封印陣が放たれ、彼女に直撃した。
負傷はない。
しかし、アリスの身体には封印陣の模様が張り付いたように浮かび上がった。
「まじかっ……!あんたの封力陣ってどのくらい遺伝子能力使えなくなるの……?」
「2時間だ……」
2時間遺伝子能力が使えないのは痛手ではあるが、能力はそれだけではない。
煉術を使うことができれば、まだ戦うことはできる。
「これって……煉術も使えないんだっけ?」
「そうだ。」
「くそっ、めんどくさ……」
遺伝子能力も煉術も封じられたアリスは丸腰状態だった。
「アリス……」
レオンが時折見せる冷気を発するような威圧感。
慈悲もなにもない。冷酷な殺気を放っている。
その異様な雰囲気に気圧されながらもアリスは彼に応えた。
「な、なによ……?」
「想定外が起こる前に早いところ終わらせよう。セリナもプラズマも大事な時だ。邪魔はさせない。」
「あんたまさか……!?」
「大丈夫だろ。こいつらしかいない……」
レオンがそう言うと、彼を中心とした半径約5メートルが黒色に発光した。
「
「ちょ、ちょっと待ちなって!!!」
アリスの言葉にレオンは口を止め、視線を彼女に移す。
「あんたここで使う気!?こいつら倒せりゃいいって問題じゃないのよ!?周りに人でもいたら……!」
「お前も戦えないんだ。それが一番手っ取り早いだろ?誰かがここに来る前に片付けるさ。」
「レオン…!!ダメ……!!」
「おやおや、いつまでやっているのですか?」
そこに現れたのは遺伝子能力養成学校学校長、イヴ・パラムだった。
「随分と苦戦しているように見えますが?」
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~アリス達が戦う山中の草陰~
「やってるわね……」
「いつ出ていこうかしら……」
「今……?いや、もうちょっとピンチになってから……」
「名乗るよりは、余裕あることを言って格上感を出した方がいいわね……」
「さぁ~て……いつ出て行こうかしら。」
~数分後~
「ん?何あれ……まさか同調するんじゃないでしょうね?」
「それはまずい……!!」
ガサガサガサっ
「おやおや、いつまでやっているのですか?」
「随分と苦戦しているように見えますが?」
――とりあえずは決まった?――
To be continued to next EXTRA STORY.....?
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