第4話 プラズマを狙う影達
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【登場人物】
▼遺伝子能力養成学校高等部3年生
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
結構なバカ。
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
[ルーノ・スクラブ]
プラズマのクラスメイト。
プラズマが幼馴染、美人師匠に囲まれていることを妬んでいる。
セリナ曰く“プラズマの周りを飛びたがる衛星というか虫みたいなもの”らしい。
▼プラズマ周辺者
[アリス・ジア]
電撃の能力を持つ女性で、プラズマの師匠。
男勝りな性格。
[レオン・アイシー]
氷の能力を持つ男性で、セリナの師匠。
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~アリスの家の前~
学校を終えたプラズマとセリナは、アリスの家の前にいた。
「いつになっても慣れないんだよ。」
突然敷地に入る前に立ち止まった彼にセリナは尋ねる。
「慣れないって何が?」
「アリスの家の敷地に入ると、何か別次元に入ったみたいにビクってなるんだよな……」
そう言ってプラズマが敷地内に足を踏み入れると、体が一瞬ビクついた。
「どんだけ威圧的なオーラ出してんだ、あいつは……」
「あいつってのは、どこの誰のことだ?」
プラズマの“どんだけ威圧的なオーラ出してんだ”を逃さない地獄耳。
その地獄耳を持つ女性が家の方から彼らに近づいて来る。
「どうした?ビクついて。またアンタの言う別次元にでも入ったのか?あぁ?プラズマァ?」
プラズマの目の前には、静電気で髪の毛が逆立っている鬼が仁王立ちしていた。
そして一瞬の静寂の後、プラズマに雷が落ちる。
▽▽▽
▽▽
▽
「いいか!
少し離れた場所からアリスがプラズマにアドバイスするが、プラズマは自身の生み出した炎が服に燃え移り、それを消すのに必死に服を叩いていた。
「
アリスの指示にハっとしたプラズマは
「アリスーー、
アリスは深いため息をつき、プラズマのもとへ向かう。
「あんた、そんなんじゃパーマーさんの顔に泥塗るよ。」
「泥塗るっつったって、親父はもうこの世に居ねぇんだから塗る顔もないだろ……」
プラズマの父は、彼が物心つく前に他界していた。
父のことは、アリスから聞いた情報のみで、正直父親という認識すらほとんどなかった。
「それに親父は犯罪者だったんだろ?政府軍を襲撃したって。自分も政府軍のお偉いだったくせに。」
「それは…真相は私には分からないけど………」
「あの人には………ホントに世話になったからね。」
アリスは悲しそうな表情を浮かべている。
「まぁとにかく!あたしにだってできたんだ。才能の点では心配するな。コツさえ掴めばすぐに使えるさ。」
そう言ってアリスはプラズマの肩を強めに叩くと、手に持っていたホログラムの動画を再生した。
「いいか、これは炎の能力を持つローズ家のバルルト・ローズだ。もう今は亡くなってるが
プラズマは早く言えよと言わんばかりにホログラムを取り上げ、動画を食い入る様に見始めた。
「っとにあのバカは………
突然、強い風が彼女の体を刺すように突き抜けた。
「これは……!?」
アリスはその風に不安感を覚え、プラズマを置いて駆けだした。
「お、おい!アリス!どこに行くんだよ!」
彼女はその言葉を無視して風の発生源へと向かう。
~修行場・裏山のふもと~
アリスが修行場裏山の手前にある丘を訪れると、頂上にある木の上の葉が大きく揺れていた。
「あんなに揺れるなんて……おかしい……」
葉が大きく揺れるほどの風はこの星では珍しく、特にこの地域では吹かなかった。
アリスは警戒しながら丘を登っていき、葉が大きく揺れる様子を見上げた。
――女性が1人で何の用です――
突然耳元から声が聞こえ、
「ギリア、こいつ結構美人じゃん」
ニヤつきながら喋る、ピアスを両耳いっぱいにつけた若いホストの様な面立ちの男。
「“結構”などと失礼なことを言うのはやめなさい、バリー。」
無表情で喋る丁寧口調で全身を黒いスーツで包んだ男。
その“ギリア”と呼ばれる丁寧口調の男がアリスに問いかける。
「あなたは……アリス・ジアですね?」
「さぁ?私はただ散歩してるだけの通行人だ。」
その言葉を聞いたホスト風の男、“バリー”が鼻で笑った。
「散歩してるだけにしては随分と上の方を警戒してたじゃねぇか!?ここらじゃ犬のうんこは宙に浮いてんのか?」
おちょくるようにアリスは答える。
「美人にはナンパが多くてね。警戒しとかないとこんな風に木の上からでもすぐに男に声掛けられるから困ったもんだ。」
「それに………滅多に風の吹かないこの土地で風が吹いてたもんだから珍しくてねぇ。」
――サンダー・パーマー
一言、突如揺れた木の上の方から声がする。
緑髪で少しパーマのかかった、プラズマと同い年くらいの男が、木の枝に気だるそうに座っていた。
「あんたたちの修行見せてもらった。」
「あいつプラズマって言うんだな。」
男はそう言うと、木からアリスの前へと飛び降りた。
「用があってその“プラズマ”を借りに来た。」
「やだね!!」
アリスは拒否を示す様に電撃をその男に向けるが、バリーが間に飛び込み自ら電撃を浴び防ぐ。
「いってーなあ、ウィンドさんにいきなり何すんだよ」
土煙が晴れると、バリーは手で顎を押し首をコキコキと鳴らしていた。
アリスは電撃を
「無傷かい……どうなってんだ……その体はっっっ!」
~アリス自宅・修行場~
修行場に取り残されたプラズマは、一向に戻らないアリスを気にかけていた。
「おせーなあ、アリス。もう2時間もどっかいったままだぞ………あっそうだ!」
そういうとプラズマは何か閃いた様に電話をかけた。
「あ、もしもしレオンさん、プラズマだけど、そっちにうちの師匠行ってないすか?」
「ああ、そうすか。ありがとございまーす。」
プラズマは通信機器をポケットに仕舞うと、眉間にシワを寄せ、頭をかいた。
「ん~………師匠がいないこの状況……サボるしかないよな!」
~レオン自宅~
「誰から?」
修行を終え、ソファーに座っていたセリナがレオンに尋ねた。
「プラズマからだ。アリスが修行場を離れてからもう2時間近くも戻らないらしい。」
「2時間………どうかしたのかな。」
レオンは椅子にかけていた黒色のジャケットを取ると、玄関へと向かう。
「ちょっと出てくる。俺も気になってたことがあってな。」
「風……でしょ?」
セリナは険しい顔をレオンに向けた。
「流石だな。行ってくる。お前は待っててくれ。」
レオンは最近発生する風に胸騒ぎを覚え、その発生源を探るため、自宅を後にした。
~アリス自宅近くの丘・頂上付近~
「おいおい、美人な上にまぁまぁ強いじゃんかよ!」
バリーは岩を飛ばしながら上機嫌にアリスに話しかけた。
「“まぁまぁ”などと失礼なことを言うのはやめなさい、バリー。」
アリスはそれをかわしながらバリーに電撃を放つが、地面から出てきた岩によって電撃は防がれた。
「俺の《岩》の能力と姉ちゃんの電気じゃ相性悪いなぁ」
「それはどうかなっっ!?
アリスは
「ギリア!」
バリーがそう叫ぶとバリーの目の前で空間がよじれ、渦を巻く様にアリスの電撃を吸い込んでいった。
バリーが拍手しながらアリスを挑発する。
「姉ちゃんやるなぁ。
「だが、その程度の煉術じゃ俺らは倒せねぇぜ?」
――ならこれはどうだ――
――
バリーとギリアの周りを光の陣が囲み、さらに天を衝くように光を放つ。
しかしバリーとギリアはすんでのところで、宙へと高く飛び陣から離れた。
バリーとギリアは着地すると、その
「なんだよ………私を笑いにきたってか?」
アリスはその助っ人に分かりやすく悪態をついた。
「そうカリカリするな。」
そしてその助っ人――レオン・アイシーは呆れたようにアリスをたしなめる。
「封印陣とはまた難しいものをやってのけますね、しかも五重。危うく目が飛び出るかと思いましたよ。」
ギリアは感心しながらも、その高度な煉術に冷や汗をかいていた。
「流石はレオン・アイシーだ……噂に違わぬ実力……!」
「退くぞ。」
緑髪の男はそう一言だけ発して風と共に消えていった。
慌てて後を追うように、ギリアとバリーも風の吹く方向へ去って行く。
「何者だ?」
レオンがアリスに問う。
「プラズマを狙っている奴らみたいだ。プラズマには言うなよ。あいつ絶対余計なことするからな。」
「わかった……そうしよう。だがセリナには一応伝えておく。」
レオンは目を細めそう言い去っていく。
が、数歩歩いたところで何かを思い出したかのように振り返った。
「あ、師匠が帰ってこないってプラズマが心配してたぞ。早く戻ってやれ。」
そう言うとレオンは
「弟子のくせして一丁前に師匠の心配しやがって………」
その言葉とは裏腹にアリスの顔は少し綻んでいた。
To be continued.....
【EXTRA STORY】
~アリスの自宅~
「アリスどこに行ったんだよ……」
「あっ!!分かった!!」
「レオンさんところに遊びに行ってんだ!!」
「絶対そうだ!!くっそ~、弟子の面倒も見ずに……!ずりぃ女だ!」
「えぇっと、レオンさんの電話番号は……っと。」
「あ、レオンさん、プラズマだけど、そっちにうちの師匠行ってないすか?」
To be continued to next EXTRA STORY.....?
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