幼馴染の天使なVtuberは、あなたを振り向かせたい

エルアインス

第1話

「おっはよー。あんたは朝から元気そうだね。口元が笑ってる。幼馴染の私はわかるよ。何かあったの?」


「ふんふん、推しのVの配信が今日ある? ふーん。それで幸せなのかー珍しい子もいるもんだ」


「わっ、馬鹿にしてるとかじゃなくてね。誰かの配信があるだけで幸福になれるなんて低燃費だなって。毎日同じ人見てて飽きたり……しない?」


「うむ、力強い否定だ。よっぽどそのV……が好きなんだね~……」


「ガチ恋ぃ? するのはいいけど迷惑かけるもんじゃないよ? 自己完結するから大丈夫。んー、いい子いい子〜」


「とまあ置いておいて、あまり入れ込みすぎないようにね。これ幼馴染からの言葉。ま、あんたのことだから大丈夫でしょうけど。人の迷惑になることはしないもんねー」


「信頼してるよ。ん? 最近一緒に帰ってないって確かに。最近というか、ここ半年ぐらいの話だよね、気づくの遅くない? 私に関心ない?」


「まー、幼馴染で近所だからいつでも会えるし、学校で顔つき合わせるからあんまり気にしないのかもねぇ……あらま、今日。一緒に。ふんふん、誘ってくれたところごめんなんだけど、今日も早く帰んなきゃなんだ」


「色々忙しくてさ、いつ落ち着くかわかんないんだけど……あんたもさ、色々な配信見て井の中の蛙にならないようにね。外の配信に目を向けたらまた──あー、はいはい。見るなとは言ってないからね!? ひとりだけじゃなくて、もっと別のVにも目を向けたらってさ……推しのVの話なんていいから……あっ、先生だ。ほらホームルームの用意するよ。ちょっと耳こっちに寄越して。早く」


「んっんっ、一緒に帰るのはまた今度、ね?」


「耳元で囁かれて、ちょっとドキっとした? それはよろしゅう。幼馴染特権だねぇ」

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