『殺虫姫』終末世界戦闘用アンドロイド恋愛もの構想1

羽後野たけのこ

0. 序文

 どうやら、人類は滅びたらしい。

 僕が閲覧を許可された、最も新しい日付のニュースによれば。

 突如、地球に飛来した人間の女性だけを襲う昆虫型エイリアンに人類は襲われ、女性という女性が、命を落としてしまったそうだ。

 女性の喪失は、人類の滅亡に等しい。

 地球という稲穂を喰らい尽くし、次のしげんへ移動する昆虫型エイリアンの背中を見送りながら、残された男性はがっくりとうなだれるしかなかった。

 その後、地球上では、あまりにむごい月日が流れた。

 そして──。

 残存人類が、個体数100万人を割ったころ。

 残された男達は、種の存続のため、人類が生きた証を残すために、地球の外へと、種を撒いた。

 種とはつまり、冷凍されていた卵子を受精させた受精卵と、試作段階の人工子宮。

 そして、それ単体で人類の営み全てを実現可能な、外惑星探査用の移動型コロニー。

 これらの『希望』をロケットに載せて、男は宇宙へと種を飛ばし続けた。

 それから数十年が過ぎた。

 地球の人類は、絶滅した。

 そして、空へ撒いた種たち。

 その多くは実らなかった。

 ──ただし、僕を除いては──。

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