神々が紡ぐ物語

あいな

第1話 神様が生まれた日

ゴォォォ「まもなく中国大陸上空に到着します!」

「あぁ、ハリケーンの中心も近い!気を抜くな!」

世界的な大災害から1年

イギリス空軍の戦闘機が2機、荒れ狂う暴風の中を進んでいた


「隊長、もうすぐ陸地が見えて来るはずです…え」

「これは…海、、分かってはいたが信じられんな」

1年前、日本を中心に半径約1万mのあらゆるものが消滅した

人も都市も そして海や大地も、、、

アジア全域と太平洋のほとんど消え、地球には巨大なクレーターが出来上がった


「世界はこのまま滅亡するのでしょうかっ、、、」

「弱音を吐くな!!

我々はそれを調査しに来たのだ、ハリケーンの中心に行けばきっと何かあるはずだ!」

「ですが…もう地球はめちゃくちゃです。地震や火山の噴火も世界各地で起きていて…もう…」

「くっ…だが諦めるわけにはいかない。ハリケーンの中心に着くぞ!」

戦闘機は海底火山の大噴火で出来上がった超大型ハリケーンの中心にたどり着く

雨は止み、雲は晴れ、まるで世界が静止したかのような空間がそこにはあった


「あれは…なんだ…なんなのだ、これは!?」

静止した空間に浮かぶ黒い球体、妊婦さんのお腹ぐらいの大きさの球体がそこにはあった


「空に浮かんでいます!どうやって?」

「分からん、本国に連絡を!

それと中に何が入っているのか探り出せ!」

「はい!」

「頼む!人類の希望であってくれ!」

黒い球体が世界に害をものか、それとも希望をもたらすものか、戦闘機の中で人々は祈りを捧げた

それが彼女に捧げられた最初の願いだった……


「隊長、映像出ます!」

「なんだこれは…人間の赤ちゃん!?」

「神様…神様ですよ!私達助かったんです!」

「おい、ばか!!球体にぶつかるぞ!!!」


ーーー“…………”ーーー

「操縦を、、え?黒い球が消えた!?」

「隊長…やばいです…」

「おまえ、いきなり操縦桿を手放すなっ…………」

隊長と呼ばれた男が振り返ると、そこには小さな赤ん坊を抱きかかえた部下がいた

世界を救う重要なミッションだ、もちろん最初から乗っているわけではない

小さな赤ん坊は静かに目を覚まし、そして、、


ーーー“らふぁえる”ーーー

「な!眩しいっっ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜」

「くっ、、墜落する!、、」


ーーー“あぽーと”ーーー

少女はそう呟いたあと目を閉じた、まるで安心したかのように

「光がおさまりました!えっ……!?」

「ばかな…見間違えるはずがない…

ここは、イギリスの空だ!」

「本部から連絡です!直ちに着陸せよと!」

「……あぁ」

謎の少女を見つめながら隊長と呼ばれた男は部下に着陸の指示を出した





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「例の赤ん坊の様子はどうだ?」

「今は研究室のベットで寝ています、何か分かるといいのですが…」

「あぁ、、1年前のことやさっきの光のこともな」

少女が出した光は瞬く間に全世界を驚愕させた

まるで時を戻したかのように、世界を1年前に戻したのだ

大陸は戻り、海も元通りになった、各地の地震や噴火もおさまり、ハリケーンも消滅した


「長官、検査の準備ができたそうです!」

地下深くにある研究室では、白衣を着た女性研究員が少女に検査機器をとり付けようとしていた

それは少女にとって未知なものであり、、


「うぅ……」

「え、起きた!? ごめんなさい!大丈夫よ!」

「おねえさんだあれ?」

「わたしはシェリー!怪しい人じゃないから!」

「しぇりー??うぅ…」

「えっと…あなたはだれ?もしかして神様とか…」

赤ん坊は少し考えた後、、

「うん、わたしはかみさまだよ…」

そのとき研究室のドアが数回のノックの後、そっと開いた

部屋に入ってきた男は何も言わずに頭を下げ、、


「ラファエル様、我々人類をお救いいただきありがとうございます。わたしはマーク、この施設の長をしております。」

「マーク長官!?」

「無礼だぞ、シェリー!早く頭を下げろ!」

「は、はい!」

自分に頭を下げる大人2人に首をかしげながら、少女はベットから降りた


「らふぁえる??あぁ、あれはね私の能力名で名前じゃないんだよ」

「能力名!?では貴方様のお名前は?」

「名前は…わかんない……ラファエルでいいよ」

「は!ラファエル様!」

「えっとーーこれはなに?」

少女はベットの横にある検査機器を指差した


「あっそれは!…ラファエル様が眠っておりましたので、お助けしようとしておりました」

「は、はい!これは人を助ける機械です!」

「人を助ける……そっか」

大人たちは焦りながら、検査機器のことを説明した

すると少女は機械に手をかざし、、


ーーー“ジェネレイト”ーーー

「うそっ、機械がもう一台増えた……」

「ラファエル様、今何を!?」

「私はね、この世界を救いにきたんだ

ママが壊しちゃった世界を助けにきたの!」

「えっ」

「では、先程の光も」

「うん、世界を元通りに戻したんだよ

でも亡くなっちゃった人達は戻せないの……」

「いえ!!それは生き残った10億人の人類にとって希望そのものです!」

「…!ほんと!よかったぁーー」

「所でこの機械は」

長官は少女が生み出した機械を指差した

すると少女は満面の笑みで、、


「この機械をいっぱい作れば、もっっとたくさんの人が助かるんでしょ!

わたしもっとがんばる!えい!」

「ちょ、ちょっと待ってください!とりあえず施設をご案内致します!

歩きながら人類を救う方法を考えましょう!」

「わぁ!たんけん??やった!!!」

「まるで子供みたいですね…」

研究員は長官の耳元でそう呟きながら、3人は研究室を出た

1人は飛びながら、、、


「らんらーん♪♪♪」

「飛んでる…どういう原理で!?」

「しっ!申し訳ございません、ラファエル様!少々お聞きしてもよろしいでしょうか」

「なーに?」

「ラファエル様のお力はどういったもので…」

「うーん、ラファエルの能力は世界に干渉する力なの

物を作ったり、動かしたり、色々できるんだよ!」

「……作るとはどのようなものでも?」

「なーんでも!あっ、人間以外ね!」

「なるほど…それは例えば食べ物とか…」

「うん!何を作って欲しいの??」

空を飛びながら、少女はキラキラした目で長官に聞いた


「では、、まずはりんごとか」

「うん!ーージェネレイト」

「なっ!!」

少女が呪文を唱えると、何もない所から突然りんごが現れた

中を割ってみても、それはただのりんごにしか見えない


「食べてみて!」

少女は無邪気にそう言うと、、

「くっ(食べなければ怪しまれるな…)」

「長官……」

未知の食べ物を食べようとする長官を、研究員は見ていることしかできなかった

「……!美味しい!普通のりんごだ」

「次はみかんも作ってみるね!」

「えっ私!?」

「うん!シェリーさんも食べてみてよ、美味しいよ!」

「は、はい!…………………美味しい!」

「やったーーー」

「どういう原理だ…いやこれなら!」

1年前の大災害によって、世界の土地が大量に失われた。そしてそれは世界から大量の食糧が奪われたことを意味する

人口の減少も飢餓が大きな要因だ

しかしそれは、少女の力、どんなものでも作り出せる力で全て解決する


「ラファエル様、全人類を救う方法があります」

「え、ほんとに!!どんなどんな!!」

「その力で全人類に食糧を供給するのです!」

「そっか!!じゃぁ…」

「お待ちください!まずは地上の軍事倉庫へ参りましょう

いきなりみんなの前に食糧を出せば、世界は大混乱に陥ります!」

「うん、分かった!ーーアポート」


3人は一瞬で地上の軍事倉庫にワープした

周りの人は驚き、中には腰を抜かすものもいたが、長官の一言で場は静かとなった

だが長官が少女のことを説明すると再び場は騒然となる

「まずはここに食糧を出していただきたい」

「うん!じゃぁ色々出すね!ーージェネレイト」

「ここから全世界に運びます、幸いほとんどの人がヨーロッパやアフリカに集中していますから」


長官は全職員に連絡を取り、空軍総出で各地に物資を届けた

しかしイギリスといえど、一国の軍隊では全世界に物資を運ぶことは容易ではない……

そして日が経つにつれ、近隣の国々からは少しずつ怪しまれるようになった





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ラファエル様、お飲み物を持って参りました」

「シェリーさん!ありがとう!でもいいよ、私お腹空かないし、喉も乾かないから」

「ほんとに大丈夫なのですか?何日も寝ずに、、」

「うん、世界を救うのが私の生まれてきた理由、私の使命だから…」

少女は少しだけ落ち込んだ顔をした

この数ヶ月、少女はひたすら食べ物を創造し続けている

それは少女の母親に課せられた使命、少女を縛り付ける約束……



「まだ足りない…困っている人がたくさんいる…

全部助けなきゃ!みんなを幸せにしなきゃ!

それが、、、

私がこの世界に生まれてきた意味なんだから、、」



半年経つと、周りの人達も次第に少女の能力を理解していく

少女が生み出す食糧は無限

そして一気に創造することも、少しずつ創造することもできる

その食糧を輸送機や船で各国へと運んでいく

「冷凍したお魚の積荷終わったよ!」

「ありがとうございます!次はお米をお願いします!」

「うん!量は?」

「とりあえず1トンほどを、その後は小麦ととうもろこしをお願いします!」

「うん!分かった!ーージェネレイト」



「このままいっっぱい食べ物を作れば、きっとみんなを助けられる!もっとがんばんないと!!」

「………」

基地の中心でひたすら食糧を創造する少女を、長官の男は真剣な眼差しで見つめる

「長官、首相から電話です」

「あぁ...今行く」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さらに数ヶ月後

少女がこの世に生まれてから1年が経った

「ラファエル様、お誕生日おめでとうございます!」

「誕生日?」

「ラファエル様が誕生してから今日でちょうど1年になります」

「そうなんだ、でも…」

「今日だけはおやすみください、ラファエル様のために盛大なパーティを用意しております!ぜひ!」

「うん、ありがとう

でもね、今も私のご飯を待ってる人がたくさんいるの

最近は結構美味しく作れるようになったんだよーー!」

少女は満面の笑みで、一瞬でりんごを創造し長官の男に差し出した


「これは!最初に頂いたりんごよりも大変美味しく出来ております!」

「やったーーー」

「我々もラファエル様には劣りますが、美味な料理をご用意しております!ぜひご賞味を!」

「うーん(食べないと失礼だよね、よし!)」

少し悩んだ後、少女は基地の職員と共に大広間へと向かった

盛大に行われた少女の生誕祭は1時間もしない内にお開きとなり、豪華な料理を堪能した少女はご機嫌にいつもの基地へワープした


「ありがとう!今日はすっごく楽しかったよ!

もう満腹〜〜〜!!大満足!!」

「はっ!(やはりこれでは時間稼ぎにならないか)」

「よし!もっと美味しいご飯を作るぞ!えぃ!」

「………」

長官は数日前から少女に伝えようとしていることがあった

だがそれは少女の思想とは食い違ってしまう…






「えっ?供給量を少なくする?どうして!?」

「申し訳ございません、、、

ですがもうこれ以上は大丈夫なのです!」

「でもまだ困っている人が……」


少女が世界に生まれてから1年

人々は突然戻った大陸に驚きつつも、少しずつその土地を開拓し始めていた

それは決して容易なものではなく、もちろん食糧難が一番の課題だった

そのため、少女が始めた食糧の無限供給は最初は各国から喜ばれていたのだが……

「ラファエル様のおかげで我々は救われました!」

「……それって全員??」

「いえ、、(全員助けるつもりなのか…)」


イギリスから無限に供給され続ける食糧、それはどう考えても一国で生み出せる量ではない

供給が始まった時期と世界が再生した時期も一致している

時間が経てば経つほど、各国からの不信感も強くなり、食糧を受け入れない国も出てくる、今も困っている人はたくさんいるのに……


「やっぱりみんなに直接届けた方が早いよ!」

「いえ!それはもう少し待ってください!

それよりもラファエル様、まず少し休まれては?」

「でも……(待っている間にも…)」




「長官!緊急事態です!!!!」

部下がそう叫んだ後、しばらくして遠くの方で爆音が鳴った

隣国が攻めてきたのだ…

「なぜだ!我々は食糧を支援しているだけだぞ!」

「向こうの言い分では、我々が悪魔に手を貸していると…」

「なっ!!ばか、ここで言うな!!

申し訳ございません、ラファエル様!無礼な人類をどうか!どうかお許しください!!」

「なんで……」

(間違っていたの…じゃあどうしたら…)


ドォォォォン

再び遠くで爆音がなり、空軍基地からも数機の戦闘機が出撃を始める

それは戦争の始まり、、たくさんの人が死ぬ音、、

「ううん、考えている場合じゃない!」

「ラファエル様!今すぐ地下に避難を!」

「大丈夫っ、ここは私にまかせて」

少女はゆっくりと歩き出し、そして空に手をかざす

「ラファエル様、何を!?」






その日、、


「……世界は今ここに確定する……

ーーー“コキュートス”ーーー」


全人類は不死身となった、、、






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

世界を“現在”の状態で固定する大技

それを受けた全人類は銃弾を受けようとも、上空から落ちてこようとも、爆発を受けて建物の下敷きになろうとも、決して傷つくことはなく死ぬことはなくなった

人々が求め続けた永遠の命は、今世界中の人々を果てしない恐怖に陥れている


「……かいじょ」

「これで解かれたのですか?」

「うん、ごめんなさい」

「ラファエル様はとりあえず地下へ避難を!後は我々が!」

「ごめんなさい…ごめんなさい…わたし……」

少女は涙を浮かべながら、そして人々を恐怖に陥れた罪悪感に打ちのめされながら地下へとワープした


「長官、、首相からお電話です、、」

「あぁ分かっている」

大人達は頭を抱えながら、、もう国民への説明からは逃れられないことを覚悟しながら、、会見へと向かった



ーーーーーーーーーー

「この会見を見ている国民の皆さん…

いえ、全世界の皆さんにまずは謝罪致します」

イギリス首相が始めた会見に全世界が注目する


「この度の騒動の原因を話す前にまずは半年前、我々があの大災害の中心で見つけたものについてお話ししましょう」


首相は全世界に説明を始めた

半年前、ハリケーンの中心で黒い球体を見つけたこと

球体から赤ん坊が生まれてきたこと

赤ん坊は光を放ち、世界を元通りに戻したこと

イギリスに連れ帰った後、少女は食糧を創造し世界中の国々に支援し続けていたこと

、、戦争を止めるために全人類を不死身にしたこと



最後に首相は一番の大きな声で続けた

「彼女は間違いなく神様です

彼女は人類の救世主です

以後食糧を希望する国には無償でご提供します!

我々人類は今日をもって皆救われたのです!!」

そして会見は終わった

ーーーーーーーーーー



地下の研究室

「シェリーさん……迷惑かけてごめんなさい……

わたし…みんなをたすけたかっただけなのに…」

「ラファエル様、、ラファエル様は悪くありませんよ!」

「でも…でも……!ぅぅ…(謝らなきゃ…)」

「会見が終わりましたね、これで直接世界中に食糧を送ることができます!よかったですね!」

「うん!落ち込んでる場合じゃないよね」

少女は涙をぬぐい、勇気を振り絞った

そして世界中に呼びかけた


「じゃあ私、トイレ行ってきますのでラファエル様は休んでいてください!もう1年も寝てないんですから」

「うん、行ってらっしゃい!」



それは彼女と世界との初めての通信

「よし!私もみんなと話さなきゃ!」



ーーー“テレパシー”ーーー

「人間の皆さん、まずはごめんなさい!

みんなを助けたくて、守りたくて、皆さんに迷惑をかけてしまいました……ほんとにごめんなさい!!

私の名前はラファエルと言います

皆さんを…人類を救うためにきました!

まずはご飯をたくさん作ります!美味しく作ります!

どうか食べてください、食べて元気になってください!!」

(おねがい……おねがい……)


「お願いします…私のお願いを聞いてください…

私に…みんなを助けさせてください!!」

(みんなの声が聞こえる………)


彼女のテレパシーは、お互いの思考の物理的な距離を無くすことで成立する

遮断もできるが、相手の声を聞くことも可能だ


(あくまめ……)

(きもちわるい…)

(このごはんもしかして…)

(うぇぇぇ……)

(こわい…こわいよ…おかあさん…)

(ちょくせつあたまのなかに…いややめて…)

(せかいをこわしておいて…)

(じゃあ…ままをかえしてよ…)

(まずい…これならしんだほうがましよ…)


少女の脳に絶え間なく流れる人類の悪意

中には少女の願いを聞く人もいるが、まだ一歳の子供にとって、悪意の方がよりはっきりと頭に伝わってくる……







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

会見から一か月

イギリスは世界から孤立していた

少女からの供給も受けようとする国はほぼいない

誰も少女の願いに応じることはなかった

だが少女が創造した土地は次第に大国によって割譲されていく

それも少女の功績だと認識しつつも、、人類は少しずつ復興していた



「ラファエル様の様子は」

「まだ寝込んでいます…

ごめんなさい、私がそばにいれば…

まさかテレパシーも使えるだなんて」

「これはもう超常現象だ、、誰の責任でもないよ」

「でもかわいそうです!あの子まだ1歳なのに!」

あの日から少女は地下の研究室でひたすら眠り続けている

イギリス本土や、支援を必要としている少数の国々への食糧の供給は続いている

しかし人々は知らない……

少女はあれから一睡もしていないことに……



「ーージェネレイト!うん、これで大丈夫だね

よし、次の人は……わぁ、冷蔵庫の中空っぽ、これは誤魔化せないかな……でもだめ!私が諦めたらみんな死んじゃう!」

少女は世界中の1人1人の願いをリサーチし、その人の願いをその人に気付かれることなく叶え続けていた

そして世界中の難民キャンプや小さな村には国にバレないように供給を続けている

「次の人は……どうしよう!もう死んじゃいそう!

すごく痩せてる、、早く食べ物を渡さなきゃ!

お願い…元気になって!」


(わーい!今日もお肉だ!!)

(あれ?冷蔵庫の中身が全然減ってない

これならあと一週間生きていけるかも!!)

(やったーーゲーム機!お父さんありがとう!)

(これはきっと国からの支給だな、国に感謝だぜ)

(今日は新しいお洋服ね!………あとはあの悪魔がいなくなれば全部元通りなのに)


「これでいいんだ、、みんなが幸せになっていく

みんなが笑ってる、、喜んでくれている

よし!もっと頑張らなきゃ!もっと範囲を広げて、もっとたくさんの人を、、」

(あくま…)(でてけ…)(かえれ…)(きもちわるい…)

「う……」

(かぞくをかえせ…)

(おまえさえうまれてこなければ…)

「いや、、なんで、、」

(……………)

「ないちゃだめ、ないちゃだめ」

(たs……)

「うぅぁぁ、ママ」

(まま…)



「ママ…たすけてっ…」

(まま…たすけてっ…)



テレパシーを通じて聞こえた嘆き

それは何億もの悪意の中に聞こえた小さな願い

それは少女が出会う初めての友達

初めての奇跡だった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る