お参りに行ってきた話
気がついてみたら、9月ですね。あっという間です。今年も残すところ数か月になってきました。もう二か月も過ぎると、カクヨムコンが始まるんですね。なんて早いんだ。昨日も、訪問先の方とカレンダーをめくるスパンが早いという話をしてきました。
その方、80歳になったそうです。若いころはなんでもできたのに。草むしりを30分もすると、足がパンパンに腫れて、つらいって話をしていました。隣の畑に保育園児が芋を育てていて、キャーキャーと騒ぎながらお手入れをしているのを見るのが楽しみだったと言っていました。
しかし、それもコロナ禍で中止。確かに、うちの上の子、保育園から芋をもらってきたことがあって、どこで育てているんだろうーって思っていたら、その方の隣の畑だったみたいです。なんと。今では畑も雑草まみれ。誰も管理していないとのことです。
昔はよかった。大人たちが昔を懐かしんで、そう言っているのを聞いて、「何言ってんだ」って思っていましたけれど。この年になると、やっぱり自分の幼少時代のことって思い出しますよね。
週末。吹奏楽部を実質引退した長女を連れて、久しぶりに遠出してきました。週末は必ず部活があって、大忙しだった彼女ですから。遠出するのは久しぶりです。
先日、夏休みの思い出をエッセイで取り上げたんですが。うちの実家は、自営業だったものですから、遠出は夏休みの終わりに1回と、元日に1回の計二回だけでした。しかも、泊りはできません。自営業って、店を閉めたら収入がないんですよね。その日の収入ゼロになるわけです。だから、夏休みの1日は、祖父母が両親に代わって店番をしてくれたんです。ギリギリの休日でした。
なので、出かける先はいつも一緒。夏は山の方面。冬は海の方面ってお決まりコース。正月は商売の神様、弁天様に行って、灯台を見て、お食事をして帰ってくるって感じ。ですが、出かける機会の少ない家ですから。子供心に、とっても嬉しいイベントで、「また、あそこに行くんだ」ってワクドキしたものです。
その弁天様なんですが。私にとったら、学業の神様でして。人生で受けてきた試験は、ほとんどこの神様にお願いをしてパスしてきました。専門学校の入試3回、国家試験2回、介護支援専門員の受験……。どれもこれも、ここでお願いした結果、合格です。なので、今年受験の娘もぜひ連れて行かなくちゃって思っていたので、今回はちょうどいい機会でした。
子供のころ、ここには露店が並んでいて、おばあちゃんたちが三人くらいでお店を開いていました。売っているものは、お守りだったり、祭りの露天にあるおもちゃのようなものだったりです。いつもそのお店を見るのが楽しみで。自営業で家計的にも大変だったでしょうに。両親はいつもそこで、なにか買ってくれたんですよね。
けど、久しぶりに行ってみると、もうお店はすっかり跡形もありません。当時でおばあちゃんだった人たちです。もうこの世にはいないのかな。若い頃に一度行ったときには、一軒だけ残っていましたが。今はそれもなくなっていました。
ワイワイと人がたくさん訪れていた場所です。けれど、誰もいませんでした。私と娘の二人きり。お守り売り場もしまっています。お堂の目の前に広がる沼にいる鯉も亀も鴨も、おなかをすかしているようです。
人であふれかえっていて、鯉に餌をやるのも一苦労だったのに。静寂に包まれているその場所で、沼を眺めていると、風に吹かれて水面がキラキラと輝いています。娘はすっかり気に入ったようで「ここで勉強したらいいな」って言います。確かに。ここで読書したらはかどるだろうなー。近所にあったらいい場所です。
昭和のあの人の多かった時代はもう終わりなんだなって思いました。人はどんどん少なくなって、こうして忘れられてしまう場所ってたくさんあるんだろうなーって思います。年とったんでしょうね。私も。おセンチになっております。
下の子は、留守番していたいっていうので、家から、その場所までの途中にある実家に預けていきましたので。また行きます。今度は下の子も連れて。鯉の餌もってね。
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