第2話「渋」
カェーカェー
鳥っぽいなにかの鳴き声を聞きながら周りを見回す。
膝丈くらいまで伸びた雑草に、木漏れ日が照らし緑色に輝く木々。森と言うにはそこまで
林かなー。
さて、ひとまずこの世界の知識を洗い出して考える。
「・・・ステータス」
『ステータス』
1152921504606846976-10 Lv2 人族
【称号】・てんせい者
【スキル】・ガチャ ★
・共通翻訳 ★
・片手剣術 Lv5
・短剣術 Lv5
・槍術 Lv5
・斧術 Lv5
・棍棒術 Lv5
・弓術 Lv5
・投擲術 Lv5
・盾術 Lv5
・体術 Lv5
ガチャの時の様に目の前に半透明な画面が目の前に現れた。
まずはレベル。これは先程チュートリアル終了で得た経験値によってレベルアップした分だろう。
次にLv5に統一されたおおよそ武器の扱いに関するスキル。おそらく冒険者一般技能習得によるものだろう。頭でも、いきなり武器を持たされてもなんとなく使える気がしている。
そして★マーク。たしかそうだ。いろんな種類のスキルの中で特別枠なスキルが「EXスキル」だ。他のスキルのようなレベルがないものも多くある。その「レベルがない」証が★だ。
で、なんやねんこの数字。アレか文字化けの一種か。称号のとこもなんか違和感あるし。あ、称号ってのはアレだ。「ドラゴンスレイヤー」とか「ソードマスター」とかそんな感じのテンプレだ。指名手配とかされてなければ特に意味はなかったはずだ。
まぁいいや。なにより重要なのが残ってる。
スキル「ガチャ」
『ポイント』
ガチャポイント:11p
売却ポイント:150p
『手持ち』
・N 布の装備
・N ショートソード
・N 解体用ナイフ
・N 黒パン
・HN 水入り革袋
・スキル限定ガチャ券
さて・・・・・・いつ引くの??今でしょ。
ガチャ11連:ガチャポイント10p
ガチャポイントを消費してガチャを引きますか?
YES/NO
YES!(ポチ)
チュイーン ピピピピピピピピピピピン
安っぽくすらない簡易演出とともに、アイテムが表示される。さてさて
・C 葉っぱ
・C 石ころ
・N 回復薬
・C 石ころ
・C 石ころ
・UC 緑葉薬草
・HN 草刈鎌
・C 石ころ
・UC 水
・N 水
・N 回復薬
ん??
んんん????
「はああぁぁぁ?!?!?!?!?!?!」
思わず手に持っていたゴブリンの耳を落とす。
なんだこのゴミは!!葉っぱ!?石ころ!?はぁあああああ!?!?!?
慌ててガチャ画面に戻り、急いで排出率の欄がないか探す。すると「排出率」はなかったが「レア度解説」というのがあったのでそこを押す。
『レア度表』
C(コモン)
UC(アンコモン)
N(ノーマル)
HN(ハイノーマル)
R(レア)
R+(レアプラス)
SR(スーパーレア)
SR+(スーパーレアプラス)
HR(ハイパーレア)
SSR(ダブルスーパーレア)
UR(ウルトラレア)
LR(レジェンド)
と上記の内容が表示された。
ハッー。つまりアレですか。レア度数はそもそも12個あるってことですか!チュートリアルガチャではNばっかだったのはただの仕様だったってことですかハッー!そうですかハッー!!だる!!!
『石ころ』
レアリティ:C
その辺にある石ころ。ただの いし だ
・水切りには向いてない。
→使用
→強化
→売却
『葉っぱ』
レアリティ:C
木のあるとこに落ちてる葉っぱ。
・特に湿ったりはしていないので火種にはなる。
→使用
→強化
→売却
一縷の望みにかけ詳細を見てみるがご覧の有様。つか石ころのはなんだ、喧嘩売ってんのか。水切りには向いてない?やかましいわ!
いや、思い返せば交換所のとこの水にUCって書いてあった。あそこで気づくべきっだったか。
てか水だ。2つ出たが・・・
『水』
レアリティ:UC
ただの水。一般的に使用される程度の品質の水。
量:10リットル 品質:普
・井戸水や川水も含めた『一般的』なので、衛生的な処理をされた品質には及ばない。
→使用
→強化
→売却
『水』
レアリティ:N
浄水。不純物が少なく、十分なマナも含んだ品質の良い水。
量:10リットル 品質:良
・きちんと処理されたものと同レベルの水。
→使用
→売却
なるほど。どうやら同名でも質や形状が異なるものがあるらしい。必然的にレアリティも異なってくるわけか。
でだ、残るはこのHNだが・・・
『草刈鎌』
レアリティ:HN
主に植物の切断に使われる農具。一般に使われる小鎌と違い、品質の良い月鎌。
・小鎌サイズで取り回しやすい。
→使用
→強化
→売却
おあー。成果、回復薬2個と草刈り用の鎌。緑葉薬草は見るまでもない。あれだ、ハンドガンの弾よりうれしいハーブだ。もしくはハチミツと混ぜる薬草だ。冒険者の知識が一般的な薬草だと言っている。
うんまぁ、アレだ。おそらくだ。爆死とはこういうことを言うんだろう。
・・・どうしよ。
手持ちのスキル限定ガチャ引き換え券を見つめる。しばらく無言で見つめ、次に交換所の画面を開く。
『交換所』 所持ポイント:150p
・「ガチャポイント1p」:10p
・「強化限界突破」:200p
・「手持ち限界数+5」:5p
・HN「クレイモア」:25p
・UC「水」:2p
・R+「メテオリザードの結晶鱗」:70p
・SSR「王剣・エクスカリバー」1200p
ガチャポイントに変える場合全部で16・・・いや17連分になるか。水はまぁいらない。4リットルの他、革袋にもある。鱗もだ。素材系は今交換したってしょうがない。エクスカリバーはそもそも問題外として。クレイモア、これはHNと書いてあるし正直交換するまでもないと思ってる。限界突破はよくわからんし今はどのみち手が出ない。限界数の方だが、今は17/60。まだ余裕があるしそこまで優先するまでもないか。うーん・・・あ、待てよ。
『売却』(ポチ)
今あるアイテムの売却ポイントを全て調べることにした。結果
石ころ:1p
葉っぱ:1p
回復薬:3p
ショートソード:3p
UC水:1p
N水:3p
緑葉薬草:1p
草刈鎌:4p
解体用ナイフ:3p
黒パン:1p
水入り革袋:3p
・・・あぁ~マジかー。だいぶ少ない。10p集めてようやくガチャ1回。11連ひくなら100p必要なのだ、だいぶ、いやかなりキツイのでは。というかそうか、チュートリアルではR+の玉鋼で10pだった。それで余計に低く感じるのかもしれない。
ともあれ、ポイントはレアを売却しなければ、そこまで貯まらない程に「貴重」ということがわかった。
「キープだなこりゃ」
先程も言った通り素材系は今は意味がない。「今は」だ。この世界では冒険者ギルドで魔物の素材を売ることが出来る。後々必要になって来るかもしれない。
交換はしない。となるとやはり・・・。
『スキル限定ガチャ券』
レアリティ:ー
スキル『ガチャ』のアイテム。消費することでスキルのみ排出されるガチャを引ける。
→使用
こういうのはゲームによっては貯めておくべきものだったりする。あくまでガチャを引けるポイント代わりになるものであって、ガチャ自体の所謂「ピックアップ」の影響なんかを受ける事があるからだ。他にも欲しい物が新実装されたタイミング等々ゲームによってその事情は多岐にわたる。
しかし、このガチャというスキル。ぶっちゃけ「ピックアップ」とかあるかわからん!というかある気がしない!そんな親切で優しい感じは今のとこ皆無である!!
やはり早めに使っておくべきか・・・。どうせ今引こうが後で引こうが確率は変わらんしな。
「スキル限定ガチャ券」を使用しますか?使用するとガチャ画面に移行します。
YES/NO
YES(ポチ)
さぁどうだ!?
・N スキル「二連突き」
「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
俺は膝から崩れ落ちた。
なんで・・・。
この世界のスキルは全てが「持っていなければ使うことができない」わけではない。例えば片手剣術スキル。このスキルを別に持っていなくても片手剣は使えるし、戦える。槍だって弓だって同じだ。
『スキル』とは「特殊な才能」であり「才能の証」でもある。剣を扱い鍛錬を積み経験と実力を付ければおのずと剣術スキルを身につけられる。また、才能として弓術スキルを持っているならば、弓に関して普通よりも秀でたセンスや成長速度を持つ事になるだろう。
そしてスキルの中には所謂「技」のようなスキルがある。例えば斬撃系戦闘スキルの「スラッシュ」。これは強い斬撃をもたらすスキルであり、先程同様「別に持ってなくても強い斬撃を繰り出すことは出来る」し、初めからもっていれば成長も早くなるだろう。そして例え持っていなくても「練習や経験によって自力で会得していく」わけである。つまり
『スキル「二連突き」』
レアリティ:N
刺突系戦闘初級スキル。刺突系統の武装による非常に間隔の短い2回の突き攻撃。
・剣、槍等のスキルから派生。
→使用
→売却
ただ素早く2回連続の突きをするだけで会得可能な初歩的なスキルという事だ。それをガチャで当てたわけだ。ハズレという事だ。せめて特殊な、修練で会得出来るようなスキル以外が良かったというわけだ。なんということだ。
チュートリアルを除き、初回からここまでR以上無し。リセマラは無いんですくぅわ!
もういいや(ヤケクソ)。
「・・・行くか」
地面に寝そべり片目で地面を見る。
はー土つめてー。きもちー。ふむ、こっちが若干下りか。
落としたゴブリンの耳を拾い立ち上がり、歩き出した。
「グギャ!」
「初エンカウントがゴブリンか」
またゴブリンですか。あきたなー。
「チュートリアルで見たことあるからさぁ、新鮮味が無いんだよね。チェンジで」
俺の態度が不服なのか、はたまた聞いてないのか、雄叫びを上げながら手に持った棍棒で殴りかかってくる。
ゴブリンといえばスライムと並んで『雑魚オブザファンタジー』の代名詞だ。この世界でも特に違いは無く、武器の扱いに長ける「ゴブリンナイト」や「ゴブリンアーチャー」、魔術を習得した「ゴブリンメイジ」よりも下位のただのゴブリン単体ならば、普通の子供でも討伐は十分可能だ。
一般的な冒険者の実力の俺からすれば雑魚以外の何物でもない。回し蹴りで蹴り飛ばし追撃を入れようとしたところで、左手にあるチュートリアルで手に入れたゴブリンの耳に視線を落として気づく。
「・・・俺丸腰やん」
布の装備以外ガチャアイテムを使用してなかった。転移してきた時にショートソードも解体用ナイフも全部戻っていた。
「流石に装備出来るもんは装備しとくか」
ガチャスキルを使いとりあえずショートソードを装備する。
ん?
「グギャ!!」
手元に顕現させ、不審に思った事を一旦横に置き、向かって来るゴブリンの棍棒を剣で弾き、一歩踏み込みながら頭部めがけて切っ先を突き出した。
額辺りを貫かれビクンッと一瞬震え、動きが止まったのを確認してから、足で死骸を押さえながら剣を抜いた。
・初回「モンスター討伐」を確認しました。報酬として「ガチャポイント10p」「経験値」を入手しました。
・「レベルアップ」を確認しました。報酬として「ガチャポイント1p」を入手しました。
おお!?マジか。
色々と確認したいことがあるが、とりあえずはじめに装備からだ。
ショートソードを布の装備に付いている簡易的な鞘に入れ、解体用ナイフをベルトのナイフ入れに差し込む。ついでに水入り革袋もついてる紐をベルトに括り付けることにした。重いは重いが、飲む度に消したり出したりするのもアレだろう。
最低限の装備を付け終えたところで、転がってるゴブリンの耳を切り取る。
「で、えーと?」
何か報酬をもらったらしいので確認したいが、先に確かめたいことがある。
先程ショートソード出そうとしたときだ。当然戦闘中だったので早く装備しようとする。画面を出し、押す所を探し早く選択しようとした。その時、画面を押すよりも先に反応した様な気がしたのだ。一旦置いといたが何やら気になる。
手持ちの画面を開く。とりまショートソードで試すか。
「あできた」
使用を押し、一度消そうとしたのだが、流石に押す場所を覚えてきたため、指の動きよりも先に目を向けると指が触れるより先に反応したのだ。
他のアイテムでも試したがやはり『視線と意識で選ぶ』ことが出来れば態々指なんかで押す必要はなかったらしい。ヘルプでチュートリアルの文字を読み直して見たが、実際「選択」と書いてあるだけで押す必要はなかった。ただし強化画面に行くには直接触って長押ししなければいけないらしい。
確認も終わった所で、ガチャ画面を開く。
スキル「ガチャ」
『ポイント』
ガチャポイント:12p
売却ポイント:150p
おお!増えとる!えーと「初回モンスター討伐」と「レベルアップ」か。
「ポイント」はガチャアイテムの売却、レベルアップ、特定の行動にて入手することができます。だったか?
前の分と合わせて考えるに、この「特定の行動」ってのに「初めて何かする」みたいなのが当てはまるのだろう。
ガチャ11連:ガチャポイント10p
ガチャポイントを消費してガチャを引きますか?
YES/NO
YES(ポチ)
ハッ!!気づいたら指が!
チュイーン ピピピピピピピピピピピン
・C 石ころ
・C ハンテンダケ
・N 回復薬
・N スキル「インパクト」
・C 石ころ
・N 陶器の碗
・HN シルバーウルフの牙
・C 木の枝
・UC 木製のフォーク
・HN テゴスタランチュラの糸
・C 葉っぱ
『ハンテンダケ』
レアリティ:C
10センチ以下サイズの斑点模様のあるキノコ。ポーションの材料になる他、食用としても可
・柄の部分がうまい。カサは衛生的によく捨てられる。
→使用
→強化
→売却
『スキル「インパクト」』
レアリティ:N
打撃系戦闘初級スキル。強い力による打撃系統の攻撃
・棍棒、体術等のスキルから派生。
→使用
→売却
『陶器の碗』
レアリティ:N
陶器製のお椀
・特にこれと言って特筆する事もない。
→使用
→強化
→売却
『シルバーウルフの牙』
レアリティ:HN
広い分布の狼型の魔物シルバーウルフの牙。討伐証明部位。良状態。
・加工することによって装飾品や装備に用いられる。
→使用
→強化
→売却
『木の枝』
レアリティ:C
その辺にある枝。ただの 木の 枝 だ
・特に湿ったりはしていないので火種にはなる。
→使用
→強化
→売却
『テゴスタランチュラの糸』
レアリティ:HN
主にダンジョンに生息する大型の蜘蛛型魔物テゴスタランチュラの糸。粘度が高くかなり丈夫な糸。量:10グラム
・加工が難しく需要はあまりない。
→使用
→強化
→売却
『木製のフォーク』
レアリティ:UC
一般的に普及している木製のフォーク。表面は荒いし丈夫さも無い。一般的な品質
・特にこれと言って特筆する事もない。
→使用
→強化
→売却
あああああ
「びっみょう・・・」
強いて挙げるならば素材系がまぁ良い方だろうか。確か状態の良いシルバーウルフの牙はそこそこの値段で買い取ってくれるはずだ。
スキルはなぁ・・・。確か鈍器系のスキルだっけ。後格闘の素手とか。まぁ、Nだし売ってもなぁ。使っとくかぁ。てか二連突きの方も使っとこ。
「二連突き」と「インパクト」を覚え、革袋から水を一口飲み進行を再開した。
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