第21話
2ー4 朝食
わたしは、食料貯蔵庫から持ってきていた塩漬けの肉の塊を寸胴鍋の中に入れると他の材料も確認する。
まずは、新鮮なコッカ鳥という鳥の卵。
もとの世界のニワトリの卵とさほど変わるところのない卵だ。
そして、レタスとよく似たクースという葉野菜。
それにいくつかの使えそうな野菜を選ぶ。
それとこの世界の小麦粉と調味料各種。
まあ、調味料といっても砂糖、塩、コショウしかなかった。
マジか!
わたしは、もとの世界ではソロキャンプとBLぐらいしか趣味がなかった。
よく1人で山に入って週末を過ごしていた。
わたしは、昨夜、こねておいたパンの種をしまっていた棚から取り出すと小さくちぎり丸めていった。
そして、それをフライパンもどきの底に油を塗って並べていくと別のかまどにかけて蓋をして焼いていった。
しばらく煮込んで塩気の抜けた肉の塊を鍋から取り出しその鍋の中に小さく切った野菜を入れるとそのまま煮込んでいく。
取り出した肉の塊は、薄く切り分けて油で焼いておく。
次は、卵を焼く。
人数が多いのでフライパンを丸ごと使ったスパニッシュオムレツ風にする。
焼けた丸いオムレツを切り分けて皿に盛り付けるとそこに肉と葉野菜も並べていく。
そうこうしているうちに辺りにパンの焼けるいい香りが漂い始める。
わたしは、フライパンで焼いたパンを籠に入れてから、味を整えたスープをカップへといれていく。
簡単なものだが朝食は、これで完成。
なんとか使用人のみなさんが起きてくる時間に間に合った。
わたしは、アエラさんと赤毛のメイドさんことルルに手伝ってもらって配膳した。
みな、あまり期待をしてなかった様子で、それぞれのもとに皿が配られると少し驚いていた。
そして。
結果からいうと朝食は、みなに受け入れられた。
というか、みな、口々にこう感想を述べたのだった。
「なんだ、これ?こんなうまいもん、食ったことがないぞ!」
まあ、ちょっとしたリップサービスなんだろうけど、それにしても不憫だ。
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