第109話 外れスキルの宝庫

 子ども達は俺の自己紹介を聞いていたのか俺の服を引っ張っていた。


「魔法使いの兄ちゃん! 俺と同じスキルなんだな」


 いたずらっ子の少年三人が近づいてきた。


「えっ? そうなの?」


「ほら! ちなみにこいつらも似たようなやつだぞ!」


――――――――――――――――――――


《ステータス》

[名前] マーク

[種族] 人間/男

[固有スキル] 理学療法

[職業] なし


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――


《ステータス》

[名前] エルク

[種族] 人間/男

[固有スキル] 作業療法

[職業] なし


――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――


《ステータス》

[名前] リュク

[種族] 人間/男

[固有スキル] 言語療法

[職業] なし


――――――――――――――――――――


「うぉー、すげー! みんな揃ってるじゃん!」


 俺は少年達のスキルを見てテンションが上がった。まさか同職のスキル持ちが一気に身近にいたのだ。


「えっ? 外れスキルなのに魔法使いの兄ちゃんはなんで喜んでるの……」


「俺の仲間達だからだよ」


 俺は三人の頭撫でると恥ずかしそうに笑っていた。


「喜んでくれたのはお兄ちゃんが初めてだ」


 外れスキルと言われず喜んで貰えるのは少年達にとっては初めての経験なんだろう。


「俺達もスキルが使えるのか?」


「んー、今は無理かな!」


「なんで! 俺も魔法使いたいよ……」


 子ども達も俺みたいに魔法を使えると思っていたのだろう。そもそも俺のスキルは魔法じゃなくて水治療法だからな。


「俺のは魔法じゃないんだ。あとこのスキルは結構難しくて勉強がたくさん必要なんだ」


「うげぇ、勉強かよ」


「俺らも勉強しないといけないの?」


 エルクとリュクも勉強が嫌いなようだ。俺に自分達も勉強が必要か聞いてきた。


「もちろん!」


「まぢか……」


 また誰かが俺の服を引っ張っていた。そこにはさっきまで話していたミィがいた。


「どうしたの? クッキーが欲しいの?」


 袋にはまだクッキーは残っていた。


「ミィは勉強するよ!」

 

「おっ、さすがミィ先生だな」


「えっへん! ミィは先生だからね」


「ミィがやるなら俺らも勉強するし!」


 ミィは胸を張っていると、少年達三人組もミィに感化されたのか勉強をすると次々と言い出した。


 意外に競わせたりするとみんな伸びるかもしれないと思った。


「なら今度勉強する時間を作るね」


 そう言って俺は少年三人組にクッキーを渡すとどこかへ走って行った。


「あはは、元気な子達だね」


 それから二十人程度と自己紹介をするとそのうち六人が外れスキルだった。


 しかも全てが医療系のスキルだった。


――――――――――――――――――――


理学療法:1人

作業療法:1人

言語療法:1人

介護福祉士:3人

看護:2人

医療秘書:2人


――――――――――――――――――――


「一応みんなのスキルを見てるけどやっぱり外れスキルの子らはスキルが発動出来ていないよ」


 ラルフは俺に紙を渡してきたが外れスキルの子達のスキルツリーはどれも空白だ。


「ひょっとしたら医療系のスキルが外れスキルって言われてるのかもね」


「みんな医療に関わるスキルなのか?」


 ガレインの言葉に俺は頷いていた。


「まぁ、その中で一番はガレインのスキルだと思うけどね」


「そうか……。私もしっかり学ばないといけないな」


「ガレインがいるだけで違うからね。そろそろ時間もないし今後のことをエイマーさんに話してみようか」


 俺達は子供達全員のスキルを把握したためエイマーの元へ話しに行くことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る