第33話 今後

 俺はアリミアにステータスで気になっていたことを聞いてみた。


「スキルってわからないものもあるって聞いたけどスワイプしたらわかるんじゃないの?」


 同じ外れスキル扱いを受けたアリミアなら知っているかもしれないと思ったのだ。


「スワイプ?」


「ステータスボードをこうやって触りながら横に動かすと……」


 アリシアも言われた通りにするが困惑した表情をしている。


「何も変わらないよ?」


「えっ? そうなの?」


「あはは、お兄ちゃんって面白いね。そんなことがわかったら私みたいに不幸になる子はいないよ?」


 初めてスワイプが出来るの自分のみだと知った。


「じゃあ、受け付けに行ってくるね!」


 薬草の依頼報告するために受付に戻ることにした。


「ケントくんどうだった?」


「アリ……アリミアは元気だったよ」


 一瞬アリスと呼びそうになったがどうにか堪えた。


「今後あの子をどうするべきか……。この町には孤児院もないから隣のトライン街まで連れて行かないといけないわ」


「トライン街?」


「そうよ。ケントくんもあそこから来たんじゃない?」


 トライン街とはエッセン町より東に行った街の名前だ。そこの街の屋敷には領主が住んでおり領主はトライン街とエッセン町を中心にその他の村々を管理している。


「あまり覚えてないけど多分そうだと思います」


「嫌なことを思い出させてごめんね」


 ついでにアリミアと話していたことをステータス以外の部分を伝えた。


「あの子も捨てられた子か。可能性としてはトライン街だからそこの孤児院に連れてくのも辛いわよね」


 そんな話をしているとギルドマスターがニ階から降りてきていた。 


「ならここで見ればいいんじゃないか。部屋もあるんだしな!」


「でもアリミアちゃんはまだ六歳よ。 子どもでもまだ幼女と変わりないのよ」


「そこが問題なんだよな。親達が居ない中で生活することになるからな。俺も子どもがいるわけじゃないからどうすれば良いかわからないしな」


 そんな中階段からアリミアが降りてきた。


 アリミアは俺の元まで来ると服を掴み引っ張った。


「どうしたの?」


「私お兄ちゃんと一緒がいい」


 アリミアは歳も近く自身のことを全て話したのは俺しかいない。そのため俺を頼ったのだろう。


「んー、とりあえずロニーに相談してみるか?」


「ロニーさんにですか? さすがに僕も迷惑かけてるので……」


「ははは、子どもがいらん心配するな」


 ギルドマスターは俺の頭を撫でるとギルドを後にした。


「もうカッコつけちゃって! まだ全然仕事が終わってないのに行っちゃったのよ!」


 カッコよく去っていったギルドマスターだが、ただ単にサボりたかっただけかも知れない。


「そういえば依頼のリーフ草を渡してなかったです。あとマナ草の採取は依頼失敗でお願いします」


 話を変えるために鞄からリーフ草を出しスターチスに渡した。

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