第7話

 渡された冒険者ギルドカードを見ていると受付嬢が針と薄緑色の液体が入った瓶を受け付けの下の引き出しから出した


 「冒険者ギルドカードに血を垂らしてその冒険者ギルドカードは初めて貴方のギルドカードになります。手を出してください。少し痛いでしょうが我慢してくださいね」


 手を出すと受付嬢に手を掴まれ人差し指に針をブスッと刺された


 「痛い」


 「少し我慢してください。血が出ましたね。では冒険者ギルドカードに血を垂らしてください」


 言われた通りに血を垂らすとギルドカードの白い色が薄い緑色に金色が混ざった色に変わった。それに驚いていると受付嬢が人差し指の傷に瓶から薄緑の液体を垂らすと傷が治っていた


 「これで大丈夫ですね。この冒険者ギルドカードは貴方専用のカードになりました。それにしても珍しい色ですね」


 「そうなんですか?」


 「ええ、ギルドカードの色はそのカードの持ち主の得意な属性の魔力がわかります。薄い緑色は生命属性の魔力の色で神官などに多くいますが金色は聖属性の魔力ですからね。聖属性はかなり珍しいですよ。冒険者全体でもそういませんから」


 「そうなんですか。ギルドカードの色はもう変えられないんですか?珍しいとなにかあるかもしれないので(ナビゲーション俺って全部の魔法に才能があるんだろう)」


 『はいそうですよ。ですから健康魔法が原因かと思います。今現在のハルトの魔力が生命属性と聖属性に偏っているので色がその色になったんだと思います』


 (なるほどな)


 「残念ですが変えられません。それによく見ないとわからないのでギルドカードを見せる時以外は外に出さない様にしたりするといいですよ」


 「わかりましたそうします」


 もう一度色の変わった冒険者ギルドカードを眺めていると受け付けの女性がカードの説明を始めた


 「冒険者ギルドカードの説明しますね」


 手に持つギルドカードから顔を受付嬢の方に戻した


 「はい、お願いします」


 「冒険者ギルドカードにはカードの持ち主の名前があります。そしてランクは貴方の現在の冒険者としてのランクです。ランクにはG〜Sまでありそのランクにより依頼を選んでもらいます。採取、狩猟、街内、護衛、討伐、緊急はそれぞれの受けて達成した依頼の数を表しています。達成した数字が増えるのは同ランクの依頼か一つ上の依頼のみです。そしてランクが上がるごとに採取、狩猟、街内、護衛、討伐の達成数は0に戻ります。最後に未達成とあるそれは依頼の失敗を表しています。依頼の未達成が十回を超えるとランクが下がりますので気をつけてください。最後に冒険者ギルドカードを失くした場合は再度のカードの取得には金貨一枚かかりますのでご注意ください。何か質問はありますか?」


 「どうやったらランクが上がるんですか?」


 「G〜Eランクまでは依頼の達成回数で決まります。Dランク以降は試験がありそれを乗り越える必要がありますね。他に質問はありますか」


 「大丈夫です」


 「そうですか。冒険者ギルドカードの説明はこれで終わりです。次に依頼の話です。依頼には依頼、常駐依頼、指名依頼の三つの依頼があります。依頼はギルドの壁にあるボードの中から自分のランクより一つ上の物を選べます。依頼ボードから依頼表紙を取り受け付けで受理して依頼を受けることができます。選べる依頼数は常駐依頼を除いて三つまでです。依頼ボードの中には常駐依頼の依頼もあります。常駐依頼は常に依頼を受けつけている依頼です。ですので依頼ボードから割りのいい依頼を取れなかった場合には常駐依頼を受けるといいですよ。次は指名依頼ですね。指名依頼は依頼者が冒険者ギルドに冒険者を指名して依頼する依頼です。貴族や豪商などが指名依頼をすることが多いいですが国がする場合もありますね。ここまで質問はありますか?」


 (なんとなくはわかったかな。ナビゲーションはわかった?)


 『わかりましたよ。ハルトが覚えきれなくても私が覚えているので分からなくなったら私に聞いてください』


 「(そうする)大丈夫です」


 「では続けますね。依頼には採取、狩猟、街内、護衛、討伐、緊急の種類があります。採取依頼は町の外、魔境、ダンジョンから植物、鉱物などを採取する依頼です。狩猟は動物、モンスターの狩猟が主な依頼です。街内は街の中での依頼ですね。護衛は行商や貴族が町の外でのモンスターや盗賊からの護衛の依頼です。討伐は盗賊などの討伐の依頼です。緊急は魔境やダンジョンでのスタンピードなどの緊急性の高い場合に冒険者ギルドや領主または国からの依頼です。緊急の依頼はランク外以外で断るとペナルティが発生します。ランク最低一つは落とされるなどのペナルティがあるでしょうからこの事は忘れないように気をつけてください」


 「わかりました」


 「依頼の達成の報告は採取、狩猟などは冒険者ギルドの隣にある解体場に向かってください。そこの受け付けで採取、狩猟の依頼表を渡して採取、狩猟した物を渡してください。渡したら渡した相手から達成のハンコが押された依頼表を持って冒険者ギルドの受け付けに行き私たちにその依頼表を渡して依頼報酬を受け取ってください。次に街内、護衛の依頼の場合には依頼者から達成のサインを依頼表にして貰ってください。討伐、緊急の依頼は集団でおこなう依頼が多いでしょう。依頼が終わった場合はほとんどは冒険者ギルドに戻り達成のハンコが押され報酬を貰います。なにか質問はありますか?」


 「はい、自分のランクより高い場合や依頼を受けずに採取した物や倒したモンスターの素材なんかはどうすればいいのか教えてください」


 「その場合は採取した物やモンスターの素材は常駐依頼にあれば依頼表紙を持って解体場でハンコを押して貰ってください。そうすれば依頼達成にできます。ですが常駐依頼にない場合やランク外の場合は解体場で買取をして貰ってください。個人での買取をおこなう商人もいますからそういった所で買取もできますね。冒険者の中にはそういった商人に買い取って貰う人もそれなりにいます」


 「そうですか。でもなるべく解体場での買取の方がいいんですか」


 「そうですね。冒険者ギルドとしてはなるべくそうして欲しいですね」


 「わかりました。それと盗賊の討伐も依頼ではなく外の移動で襲われて討伐した場合はどうすればいいですか」


 「その場合は最寄りの冒険者ギルドで報告をしてください。盗賊のアジトにあった物は討伐者の物ですので討伐者が持っていって大丈夫ですが盗品を取り戻したい者が現れる事がありますからその時は冒険者ギルドでの話し合いがありますからお願いします」


 「その場合は盗品を買い取ってもらうってことですか。それとどれくらいその町にいないといけないとかありますか?」


 「はい、相手に買い取ってもらいます。ですが相手の金額に納得できない場合は買取を拒否してもいいですよ。ですが貴族の場合はなるべく買取でお願いします。それと買取を待つ時間は二日はその町に居て欲しいですね。移動が急ぎの場合は少しでもいいので待っていて欲しいです」


 遺品とかがあるから待った方がいいのかな


 「なるべくそうしようと思います」


 「お願いします。あともう少し説明を続けますね。冒険者ギルドには訓練場や資料室があります。訓練場では冒険者ギルドの訓練員が居り戦闘訓練や武器の扱い方を習えます。他にも自由に訓練場は使えます。訓練員の方に訓練をつけて貰うには銀貨一枚必要です。訓練員による訓練の時間は二の鐘から五の鐘までの時間です。訓練場の場所は魔境側の門を出て直ぐなのでわかると思います。資料室はこの冒険者ギルドにあります。資料室を使いたい場合は受け付けで使いたい事を私たちに言ってください。そうすれば銀貨三枚で入れます。読みたい資料は資料室にいるギルド職員に伺ってください。資料室を出る時に資料が破損していた場合は最低銀貨五十枚は賠償金としてギルドに支払って貰います。冒険者ギルドにある資料室には町の近くの採取物や現れるモンスターの情報がありますから読むことをオススメします。他にジョブを取得できる部屋がありますがFランクからの使用できるようになります。最後に冒険者ギルドは冒険者同士の争いに関与しませんので気をつけてください。この町の近くには魔境のゴブリン森林がありますが推奨ランクはEランクです。亡くなった冒険者を見つけた場合は冒険者ギルドカードを冒険者ギルドに持ってきてください。以上で説明は終わりです。質問はありますか?」


 「その魔境って推奨ランクじゃなくても入っていいのですか?」


 「ランク外の人でも入れますが自己責任です」


 「わかりました。もう質問はないので大丈夫です」


 「そうですか。わからないことがあった場合は受け付けまでお越しください。ではよい冒険者ライフを」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る