第377話銀座会場の下見でロクでもない話 お昼は結局ライブバーに

祐君が、秋山先生の代わりに講演(原稿代読)する会場は、銀座7丁目の古いホテル。(内装は豪華、レトロ、由緒感大あり)


祐君が、フロントに理由を言って、会場の下見。(すぐに応じてくれた、いいホテルだ)


それに私、朱里と、春奈さん、純子さん、真由美さんが、付き添って歩く。

(抜け駆け禁止条約を守るため、全員が監視対象)

(私たちも受付とか、書籍販売のお手伝いバイトがあるので下見はしたかった)


でも・・・純子さんと真由美さんの雰囲気が変。

いつもより顏が赤いし、トロンとした感じ。

それは、春奈さんも感じていたようだ。


「ねえ、朱里ちゃん・・・あの二人、変じゃない?」

「うん、春奈さん・・・お肌が輝いている感じで・・・」

「私は、何かあったのかなと」

「添い寝して・・・いけないことを?」

「うん、祐君を食べちゃったのかな」

「そうですよね、祐君からは食べられない、そういう子ではないし」

「・・・お尻の三つホクロを確かめるなんて、変な理屈をつけて・・・」

「嫌がる祐君を押さえつけて、襲った?」

「よくないです、それ・・・」

「うん・・・可哀想、祐君」

「押さえつけてか・・・してみたいかも」

「・・・恥ずかしい・・・でも祐君なら、いいかも」


・・・そんなロクでもない話が一部あったものの、事前下見は無事終了。

お昼近くになったので、食事の場所を探す。


でも、美味しそうな店は、さすが銀座、行列になっている。

祐君が、みんなに相談を掛けて来た。

「ライブバーで食べてもいいかな」

「今日は、カレードリアとか」

「かなり美味しいよ、あそこのカレードリア」


純子さん

「ピアノ弾くの?」

祐君

「それは、その時次第」

「食べたら、講演の練習」


真由美さんは、希望があるらしい。

「おやつで、虎屋の羊羹ってどう?」

春奈さんは、にっこり。

「確かに、ここからも見える」


結局、虎屋で羊羹を買って(祐君はマスターにも買った、大好物らしい)、メトロに乗って、大学近くのライブバーに。


ライブバーに入って、驚いた。

あの杉田香織さんが、アルバイトでいたのだから。


マスターが説明してくれた。

「ここにいると、いろんな音楽が聴けるからって、申し込んで来た」

「杉田さんも、真面目に働いてくれる、音楽を知っているからね、演奏者にも丁寧に接してくれて」


杉田香織さんも、笑顔で寄って来た。(笑うと可愛いなあ・・・さすが金沢のお嬢様)

「祐君、そして皆様よろしくね」

(祐君以外は、ひとくくり?杉田香織らしいなあ)


祐君は、そのまま羊羹をマスターに渡す。

マスターは、本当にうれしそうな顔。(羊羹で、そこまで?くらいに)

「うわー・・・これ、緑茶に合う、それも渋めの、世界最高の組み合わせの一つ」

「夜に女房と・・・ありがとう、生きる楽しみが増えた」

(笑えるくらいに、喜んでいる)


カレードリアは、一行全員が食べた。(確かに絶品、コクがあって、食べ飽きない)

祐君は、結局ピアノを弾いた。(ショパンのバラード第1番)(さすが、完璧に弾きこなした)


ライブバーを出ようとすると、杉田香織さんが、祐君にベッタリと張り付いた。

「私も、銀座の講演を聞きに行きたい、いいかな」

祐君は、笑顔。

「はい、がんばります」

杉田香織さん

「その顔好き、キスしたくなるよ」


祐君は、ドギマギ顏。

(私も、キスしたいなあ・・・ブチュブチュと)

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