第163話伊東の別荘にて①

私、純子と真由美さんは、「別荘」に着き、まず、二階のベランダに誘われた。

そして、二人同時に、大興奮!

「えーーーーー!大きい!海!」(まるで子供!)(真由美さんも博多湾に近い、と思うけれど、伊豆の海は別格らしい)


別荘も、さすが世界の有名写真家森田哲夫さんが考え抜いたようで、センスがいい。

(あちこちの雑誌の対談場所にもなったらしい、その雑誌も残っていた)

家具、壁、窓全てがハイセンスで、実用的。


でも、祐君は、普通顔。

「親父は、凝り性でね、いろいろこだわるの」

「自分の撮影にも使う、ファッション誌でよく使っている」

「スタジオでもあるから、いろいろ経費で落ちるのかな、よくわからない」(その言い方は、小憎らしい・・・まだ子供顔の祐君なのに)


真由美さん

「というと、女優さんも来るの?」

祐君はあっさり。

「うん、何人も見たよ」


その祐君を芳江さんが補足。

「祐君ね、気が利くの」

「お父さんの気持ちを察して、撮影道具を配置するとか、照明の意見をするの」

「モデルさんの衣装とか、背景にも、いろんな意見」

「それでね、哲夫さんも、うん、面白いって変えるの」

「モデルさんにも可愛がられてね」(・・・リスク発生?今さら?)


恵美ちゃんは、仕事が速い。

もう、温泉風呂のセットを始めた。(お湯?温泉?の音が聞こえて来た)


祐君が説明。

「ジャグジーとサウナ、露天も」(また、たどたどしい・・・)


真由美さんは、パッと動いた。(私も、ほぼ同時)

でも、あげる声は・・・工夫が足りない。

「うわーーーー!海!これは・・・絶景温泉?」

シャンプーとリンス、タオル類もかなり高価なもの(私には買えない価格・・・)なので、またうれしい。


祐君は、少し笑う。

「うん、これ、親父が海の絶景写真集の印税で建てた別荘だよ」


ベッドルームも、ベッドもお洒落。

セミダブルのベッドが四つ。

部屋も可動壁を工夫して別にしたり、一緒にできる。


恵美ちゃんの提案で、女子は3人一緒、祐君は一部屋になった。(夜這い?・・・したい・・・けれど・・・難しいなあ)


ようやく一階のリビングに戻った。(最初は二階部分の見学だったから)


恵美ちゃんが、ピアノをポロンと鳴らす。

「ねえ、祐ちゃん、何か弾いて」

芳江さんも、ニコニコ。

「ギターは、どれを使うの?」(クラシックギターだけでなく、高そうなエレキもある)


祐君は、少し考えた。

「うーん・・・」と考えながら、ピアノの前に座った。


そして、弾き始めたのは、モーツァルトのピアノソナタ。


何も言えない。

ただただ・・・典雅なモーツァルトだった。(祐君は、天使としか思えない)


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