第77話純子は、祐の部屋に(無理矢理?)
私、吉村純子にとって、見た瞬間、全く容認できない状景だった。(イラついてしまった!)
何と、あの明太子女(菊池・・・真由美って言ったかな?)が、祐君と話をしているではないか!(マジにリスクが高いぞ!)
そのうえ、こともあろうに、あの明太子女は祐君の手を握っているではないか(もう、泣きそう・・・)
ただ、窓から、唇を噛んで見ているしかできなかったけれど・・・
それにしては、やけにあっさり、状況が変化した。
祐君がスマホに手をやった瞬間、するっと明太子女の手をほどき(明太子女の驚いた顔が、面白かったし・・・)、そのまま自分の部屋に入ってしまったのだから。
「そうか、明太子女なんて、祐君にとって、そんなものか」と思うし、
「祐君の話の相手は、そんなに大事な人?男?女?」も気になった。
だから、10分ぐらい、間を置いて、祐君の部屋を「コンコン」としてみたのである。
もちろん、実家からの「お菓子詰め合わせ」も忘れない。
(とにかく、あの明太子女の機先を制する必要があったし)
「はい」(祐君の、おっとりふんわり声が聞こえた・・・シメシメだ)
「純子です」(ここぞ、という時の猫なで声だ)
「あ、はい」(祐君は、すぐにドアを開けてくれた、その、え?という顔が可愛い)
「今、時間ある?実家のお菓子が届いたの」(ここで私は、胸を張る・・・自信あるし)
「わ!うれしい!純子さん!」祐君は初めて見るような、キラキラ笑顔。(私は、キュンキュンしたぞ)
そのまま、祐君の部屋に入り、鍵をガッチリ。(これで、明太子女は入って来られない)
「甘い物が食べたかった」
「それが、純子さんのご実家のお菓子なんて・・・」
「幸せです」
祐君は、そのまま「静岡の銘茶」を淹れている。
「うん、祐君の好きなお饅頭もあるよ」(本当に食べてもらいたかった)
「ありがとうございます、助かります」
「少し歩いて疲れていたので」
「え?どこまで行って来たの?」(どうしても聞き出すぞ、と思った)
祐君はテーブルの上に、香り高い煎茶を置いた。
「上野から・・・あちこちの下町を」(素直に答えて、えらい!と思った)
「今度、私も連れて行って」(これは、メチャ、ドキドキや・・・あかん)
「はい、次は誘います」(リップサービス?いや、無理にもご一緒させてもらいます!)
「それでね、純子さん」(祐君は、キラキラまん丸お目々で私を見て来た)
「うん、なあに?」(ここで私は、また猫なで声攻撃を発射!うふふ)
(でも、ドキドキして、顔が赤くなっているし、ほんま、恥ずかしい)
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