第117話 揚げパン

『パンゲア』


 1912年。アルフレート・ヴェーゲナーが提唱する大陸移動説。現在の諸大陸は、分裂する前に一つであったとの仮説を考え、この大陸を「パンゲア大陸」と命名。授業でこの単元になると、教師が使う大陸移動の言葉。机を持って移動するだけの話。


『パンドラの箱』


 絶対に開けてはいけない『箱』。『開けてはいけない』という言葉よりも、好奇心が勝ったパンドラ。その箱を開けると、中からは災いが飛び出し、『希望』だけが取り残されたたというギリシャ神話。このことから、『さまざまな災いを引き起こす原因となるもの』という意味で使われる故事成語。

 

 本日の対戦前の糖分補給は、揚げパン。小学生の好きな給食ランキング上位に食い込むであろう一品。南山之寿も好きであった一品。


 ごくごく稀に、街のパン屋で遭遇。最近では、ココアや抹茶など、バリエーションも豊富。南山之寿が選ぶのはオーソドックススタイル。

 

 先日、フラリと立ち寄ったパン屋。発見した揚げパンコーナー。若と姫にも食べさせ様と、ポケットマネーで購入。フレーバーは全種類コンプリート。童心に帰る南山之寿。


 帰宅しオヤツとして提供。揚げパンに齧り付く若と姫。負けじと齧り付く南山之寿。砂糖まみれ。油まみれ。ベッタベタの若と姫。テーブルもソファも、阿鼻叫喚。予想はしていたが、斜め上を行く結果。甘くない妻。視線が熱い。


 清掃を確り行うよう、指導を受ける南山之寿。舌打ちを小さく鳴らす南山之寿。待ち受ける、おかわり説教タイム。どうしてそうなったのか記憶がないが、減俸。財布の中身が悲しくなる現象。


『揚げパンの箱』


 子供が綺麗に食せる様になるまで、開けてはならない箱。災いを浴びた南山之寿。


 希望すら、残ってはいない。 

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