・
俺は魔女に握手をした。
いやしようとした。
俺が近づき始めた途端に、表情を硬くして魔女は少し後ずさり、短く言葉を発した。
何て言ったか分からない。
直後、頭を押さえつけられるような感覚がして床が目の前に迫ってきた。
衝撃に耐えようとしたが、いつまでたっても痛みが来ない。
魔女に言い訳しようとしても喋ることができない。
これはなんだ。四つん這いになったような感覚。視界が広くなったような感覚。周りの植木鉢や水がめや、いろんなものがすごく大きく感じる。大男?いや、大女が地面を揺らしながら近づいてくる。逃げたくても足が動かない。靴が目の前に迫る。
足をつかまれ、逆さまになりながらぶぅううんと持ち上げられる。ひいぃ、ここで落とされてはたまらない。力を抜いてなすがまま、でもいつでも逃げられるよう隙を……。
大女は魔女だった。ということは、俺は魔女に魔法をかけられたのか。
『ふんっ。何をしようとしたのか知らないが、アタシに盾突こうとするからだよっ。ちょうどカエルの干物が切れていたところだったんだ』
いや違う。握手したかっただけなんだ!でも声にならない。
『じゃあ、まずはこのカエルを乾燥させなきゃね』
え?カエル?
大女は焼き鳥の串のような棒を右手に持ち、左手で俺の腹を持って、俺の尻から……
― 終 ―
A.寒村に戻る
→https://kakuyomu.jp/works/16817139556996976710/episodes/16817139556997093263
B.マイページに戻る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます