第19話 トラストミー
『実はγって、狙って移動できる要素じゃないんですよね』
「……そうなのか」
『はい。私だって、狙って移動できるならそうしたいですよ。マスター達には楽して強くなって欲しいですし……マナも稼いで欲しいですし』
「まあ、そうだよね。狙えるなら、最初からγが高いところ行くよね」
そりゃそうだ。
「仕組みは分かりましたが……結局、何の解決にもなりませんでしたにゃあ」
「まあ、すっきりしたしいいんじゃない?」
まあ、そうだね。
「ともかく……お疲れ様。特にミアは疲れていそうだし、ゆっくり休んでよ」
「はい、にゃ」
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「なあ、羽修よ」
「どうした、龍二?」
「お前、またチートスキル手に入れてないか?さっきから、全然疲れないんだが」
「レベルアップで得たのは、アイテムボックス拡張と、PT自然回復だな」
「……多分それ、疲労軽減との相乗効果で、消費より回復の方が大きいぞ。流石に、ステータス強化したら、消費の方が大きくなると思うが」
栗原も口を挟む。
「休憩時間が一切ないのは、流石に疲れるわね。精神的に」
「……なるほど、精神面の疲労を軽減するスキルも必要だね」
「怖いのでやめて下さい」
模合に、素で頼まれた。
授業で、ダンジョン演習。
入ってからずっと、休憩無しで戦っていたが。
流石に疲れたらしい。
……僕は後ろからついていくだけだから、分からないんだよね。
結局、休憩しつつ、授業時間いっぱいまで探索して、帰還した。
レベルは上がらず。
やっぱり、γが低いのだろうなあ。
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「という事があってさ。一度γの味を覚えてしまうと、普通のダンジョンでは旨味がなくて……」
授業の事を、ミアと杏那に話す。
「でも、学校って楽しそうだにゃあ」
「だよねー」
ミアの言葉に、杏那が同意する。
「杏那は学校行ってるよね?」
「もう退学したよー?普通の高校だしねー。行っても仕方がないし」
「仕方なくはないと思うけど」
普通の高校って何をやるんだろう?
『つまり、マスターと同じ高校に、ミアさんと杏那さんが通えれば良いんですね?』
「内政コマンドは無しな?」
『何故?』
「一度使うと、ずるずると、余計な事をしそうだから。それに、どんな弊害が起きるか分からないから」
「私も……ダンジョン学園は興味あるかな……でも、何が起きるか分からないのは怖いから、我慢するよ」
「私は行ってみたいにゃあ」
うーむ。
『マスター、貴方は私を信用しなさすぎです。名誉毀損で訴えて良いレベルです。具体的にはレベル99です』
「レベル高いね」
『はい。内政コマンドを使わなければ勝手な事をしないとか、ミアさんや杏那さんが学校に行けなければ世界が滅びないとか、そういう安直な考えってどうかと思います』
「とりあえず勝手な事をするな。あと、世界は滅ぼすな」
冗談だとは分かっているが、とにかく相手するのが疲れる。
「世界が滅びるのは駄目だと思うにゃ」
「冗談だよね?」
ミアと杏那が困惑した声を出す。
『……分かりました。とりあえずこの話はおいておきましょう』
うむ。
『それで今日はどうするのですか?ダンジョンで経験値とマナ稼ぎをしますか?』
「そうだね。レベルは上げたいかな」
身体がγを欲している。
「よし……行こう」
着いた先は……γが0の狩り場だった。
……戻って再出発しようかとも思ったが、とりあえず狩ってみることにした。
苦労した割に、微々たるマナしか稼げなかった。
レベルも上がらず。
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「転校生を紹介する」
翌日。
さっそく、ミアと杏那が転入してきた。
何でだよ。
「えー、杏那ちゃんって、山里くんの妹さんなんだー」
「はい。山里杏那って言います」
杏那がぺこりと頭を下げる。
うん。
妹が同じ学年に転入してきている時点で違和感感じようぜ。
ちなみに、本来は1つ下である。
「どうしてミアちゃんが?」
龍二が小首を傾げる。
いや、妹の方に驚こうぜ。
ミアも、早速女子に囲まれている。
普通に耳があるのに、何で誰も突っ込まないんだ?
「猫耳とはまた、珍しい種族だね」
隣の席のエルフが、親しげに話しかけてくる。
貴方誰ですか!!!!
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