第17話 リア充

「どしたん?」


杏那が小首を傾げる。


「いや、何でも無いよ」


というか、コンソールって、離れていても使えるのか?


ぶっ


コンソールが浮かび上がる。


違うよ、呼んだんじゃないよ。


杏那が不思議そうにしている。

コンソールに視点が行ってないから……ひょっとして、僕にしか見えてない?

遠隔通信と同じで、認識できるのは僕だけなのか。


[ちなみに、スマホの画面を端末にもできます]


大きな疑似ディスプレイが展開できるのに、スマホの画面を利用する意味あるか?


[近未来っぽいでしょ?]


むしろ近代的なんじゃないか?


「このベッド欲しいにゃ!」


「ふかふかそうだね。じゃあ、宅配して貰おうか」


[よければ転送しますが?]


宅配で済むからそれで良いと思うんだ。


タンスとか、服とか、色々と買い足し。

必要に応じて宅配を頼む。


杏那も、色々と買い足していた。

……俺の服も含め。

自分で選ぶよりセンス良いからなあ。


さて、アイテムボックスもぎゅうぎゅうになったな。


「お金を気にせず買い物できて、気持ち良い」


杏那がのびをする。


「ハネさんと結婚したら、苦労しなくて良さそうにゃ」

「それなー」


ミアと杏那が笑い合う。


「あとは……ミア、スマホはどれにするの?」


「ハネさんと一緒のものか、アンナさんと一緒のにするにゃ!」


「僕と杏那は同じ機種の色違いだね。ミアも、同じ機種の色違いにすると良いよ」


「そうするにゃ!」


機種が決まったならオンラインショップでも良いのだけど。

せっかくだし、携帯ショップへと足を向けた。


--


「疲れた……」


散々買い物して。

帰宅。


一休憩……しようとしたけれど、女子2人が元気でテンションも高く。

仕方なく続きで作業。


倉庫に使っていた部屋を空け。

掃除、家具を整えていく。

……といっても、荷物が届くのはもう少し後なのだけど。

今全て届けば楽なのにな。


[命令を実行しました]


「ちわーっす、黒クマ宅急便です」

「どうも、かがわです」

「きりんさんです」


……宅配業者が次々に。


「あれ、明日の夜じゃなかったっけ?早いねー?」


杏那が小首を傾げる。

待って。

さっきのは命令じゃない。

希望とかでもない。


[何を心配しているのか分かりませんが、杞憂ですよ?]


いや、心配とかじゃなくて。


[マナなら、まだ1,000残っています]


もう1,000しか残ってないの!?


[マスター、敢えて忠告させて頂きます。内政コマンドは、使い方を誤らなければ便利ですが……それに溺れてしまうのはお勧めできません。マナにも限りがありますし、計画的に使うことをお勧めします]


使う気無かったよ!?


[今日だけで80回近く使った人の台詞ですか?]


いつの間に!?

もう、禁止。

内政コマンド禁止だから!


[マナがマイナスになりますが、命令を実行してよろしいですか?]


勝手に使うなと言ってるんだあああああああああああ。


Yes/はい


どっちも肯定じゃないかああああああああああ!


Emperor/Kaiser


どっちも皇帝じゃないかああああああああああ!


[ノリが良いですね]


「……ねえ、羽修、大丈夫?朝から、何か変だよ?」


杏那が心配そうに覗き込んでくる。

主にリアのせい。


[リア充め]


泣きたい。


「疲れた……寝る」


「ん……ごめんね、羽修。ショッピング、私達は楽しかったけど……疲れちゃったよね」


ぽふ


杏那に抱きとめられる。

ああ癒やされる。


「にゃあ、今日は有難うにゃ」


「ごめん、家具の開封とかは、明日手伝うよ」


ともかく今日は寝て。

明日、ミアの部屋を整えたら、ダンジョンで稼がないと……


……


ミアのベッドや布団だけはセッティングしないとな。

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