第13話 衝撃の事実

「何でここまでレベルに差が……」


「あー、あれじゃん?羽修は超上級職だから?」


……はっ!?


ひょっとして、今までの人生でなかなかレベルが上がらなかったのって……

行動とかそんなのではなくて、単純に、必要経験値が規格外に大きい……!?


そして……リアに乗って出かけているダンジョン……経験値が凄く儲かる……?


「なるほど……さすが杏那、多分それだ」


「……聖女は、必要経験値が異常なんだにゃ……」


衝撃の事実。


夜も遅いし……とりあえず、寝るか。


--


「どうした、羽修。眠そうだな?」


龍二が心配そうに聞いてきた。


「うん。昨日、あれからダンジョンに行ってね。日が変わる前には寝たけれど、疲れは取れてないんだ」


「……あまり根を詰めるなよ」


「大丈夫だよ」


とりあえず今日からはのんびりやろう。

拡張も一段落したし。


--


ぱす


授業中。

今まではPTについていくだけだったけれど。

MPの余りを利用して、援護射撃の練習をしている。


一定時間、リアと空間を繋げるスキルだ。

で、リアに攻撃してもらう。


使っているのは、主砲。

拳銃程度の威力で、魔物相手には嫌がらせ程度にしかならない。

効果的に使えば、それなりに邪魔できる筈だけど。


……攻撃に混じっているの気づかれてるよね?


攻撃設備に投資したら、攻撃力上がるのだろうか?


[攻撃設備強化のメニューはないですね]


うん、なかったね。

というか、これは念話?


粛々と授業は進み。

今日もそれなりの評価を得た。

ちなみに、今日は練習用ダンジョンなので、迷宮主を倒したら怒られる。

半殺し程度にとどめていた。


--


放課後。

今日も、みんなうちの家に集まった。


「……本当に大きくなるんだな」


龍二が、驚きを隠さずに言う。


無事6人乗りへと拡張されたリアは。

最初の1人乗りの頃から比べると、かなり大きくなった。

最初、ぼろぼろだった頃より大きい。


「……異世界船も大きいけど……この倉庫、外より中の方が大きくない?」


「倉庫は大きくならないよ」


変な事を言う栗原、否定しておく。

この倉庫はアーティファクトじゃないですよ。


「ではみんな、乗り込んでくれ」


みんなが乗り込むと、俺の目の前に、疑似ディスプレイと、疑似キーボードが投影される。

ん?


『待機モードを解除します。パイロットコマンドをインプットして下さい』


機械音声が流れる。

いや、リア、普通に喋るよね?


キーボードに触れる。


カタタタ


軽快な音とともに、タイピングが実施され。

いや、僕何も押して無いんだけど!?


ディスプレイに、文字が流れていく。

そして。


『目的地セット完了しました。航行時間は15分です』


「……15分もかかるのか?」


龍二が小首を傾げる。

かかる訳ないよ。

今まで一瞬で移動してたよ。


「……綺麗ですね」


模合が外を見て呟く。

亜空間。

異世界の空間らしきもの、形容し難い生物らしきもの、光、崩壊した世界の残渣的なもの……色々な物が流れていく。

あ、壊れた異世界船。


「航行に時間がかかる場所なんて、大丈夫なの?そんな距離移動した事ないんだけど」


「僕も初めてかなあ……」


正直に言う。

栗原が変な顔をする。


『訂正。当機が旧型の為、航行に時間がかかり、ご不便をおかけします。目的地は、マスター達にとって脅威ではありません』


どこに連れて行かれるんだろう。


「おい、羽修。どのくらいの場所に行く気だ?」


「さあ……?」


勝手にリアが選んだからなあ。


15分経ったのだろうか。

目的地に到着した。

座標は……


α35、β28、γ0。

結構強いのでは?

というか、γって本当に何だろ。

これが低いから、意外と敵は強くないのかもしれない。


「α35のβ28。多分そこそこ手強いので注意して」


「いけない事はないとは思うが……油断できないな」


龍二が呻く。


船から降り。


「いきますにゃ」


ミアの補助魔法がPTにかかる。

うん、かなりの威力。


「うわ……流石聖女、コントロール覚えるまでが大変だな」


身体能力が2倍くらいになったかもしれない。

まさにチート。


「油断していると身体がついていかないわね」


栗原。


「魔法の威力も上がりそうです……味方を巻き込まないように注意しないといけないですね」


模合が困惑した様に言う。


杏那が、手をにぎにぎしている。


「杏那、ミアさんの護衛を頼む。ミアさん、恐らく主力になると思うから、雑魚相手では力を温存してもらっても構わない」


龍二が指示を出す。


栗原と模合が、武器を構える。

普段の授業のスタイル。

この3人が無双し、僕はただついていく。

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