一、ここにいるよ
寄席の楽屋でも不思議な事はあります。
これはK師匠の襲名披露興行の時です。
仲入り(休憩)に披露口上の準備をしていると、障子がバンッと大きな音をたてて閉まりました。
準備をしていた全員が気がつく大きな音でしたが、そこには誰も居ない。
風が吹いたわけでもなく、誰かが閉めたわけでもない。
なんだろうとても不思議でした。
口上の最中にまた大きな大きな音が出てはいけないので、何度も確かめましたが
人が閉めない限り障子は閉まりませんでした。
ただ、不思議と怖いという気持ちにはなりませんでした。
なんだろうねと皆で話し合っていると、古株のお囃子のお師匠さんがポツリと
「E師匠(K師匠の師匠)が見に来たんじゃない、お弟子さんの襲名披露興行だもの」
それを聞いてその場にいる全員納得。
なるほど師弟関係って良いもんだな。
私の師匠は亡くなってからも私の高座見てくれるかなぁ、師弟関係って改めて
本当に良いなって、ニヤニヤしてたら。
「バカヤローっ! ニヤニヤしてないで楽屋手伝えっ!」
師匠に怒鳴られました。
そうだ師匠はまだまだ元気だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます