2nd.Angel

私は「雨を降らすのは誰?」と大天使ミカエルに問うた。大天使ミカエルは天使達を統べる力を持つ。せめてもの慈悲を待った。しかし、私の願いも虚しく、天界から雷鳴が轟き、私に直撃した。

そして……気がつくと私はベッドの上にいた。

私が目を覚ますと、そこには勝手に奢られに来る姉御肌の大天使ミカエルがいた。

そして、ミカエルさんは言った。

――あなたは選ばれし者だよ。今すぐこの世界を導いてみな。

そうして私桂木乃愛は、あのノアとなったのだ。


驚くべき展開と悲嘆に暮れて、カーテンを開けっぱなしにしていた外の朝靄の風景は、ただ見目麗いしかなかった。8月なのに白鳥の群体が舞っている。そう東関東非常事態停滞前線は1年に及び生態系が狂い始めていた。

その景色を眺めているうちにふと思った。

私はなぜこんなにも悲しいのだろう? 今までは世界の滅びなんて対岸の火事だった。

でも今は違う。

私には、選ばれた何かの力がある。

もう悲劇を止めることができるんだ。 だから私は敢えて大天使ミカエルに縋った。そして大天使ミカエルは「Angel」と微笑みながら答えた。

そうか、私は守られる存在なんだ。それ驕ってる分ではあろうけど。

だから私は世界を導こうと思う。でもどうすれば。

大天使ミカエルは長い黒髪を掬いながら答える。あの白鳥がまだ天使に見えぬとは可愛いものだと。

救済は既に、この選ばれし街で始まっていた。

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