クラス転移したけどいじめられっ子の俺は異世界でもハブられたので、自由に生きたいと思います!

haru1030

第1章 転生、そして......編

第1話 もしかして......異世界?

「はあ、本当に学校行きたくない……。」


朝から通学路をぼっちで歩いていた俺は、とことん沈鬱していた。


理由はズバリ、自分が学校でいじめられているからだ。


原因は俺が陰キャだからだと思うのだが、陰キャっぽく見えるというだけで、皆でいじめるのはおかしいと思う。


俺がぼっちで、陰険なイメージがあるから悪いのだろうか。コミュ力が劣っているからいけないのだろうか。それとも友達が居ないから皆でいじめの標的にするのだろうか。


あれは高校に入学して間も無い時のこと。

中学校でいじめられっ子だった俺は、高校こそは陰キャを卒業して陽キャになろうと意気込んでいた。


入学式を終えて、さあ人に話しかけてみようと思ったけど無理無理。緊張して口が動かないし、そもそも話しかけられない。


いや、まだ希望はある。誰かが「友達になろうぜ!」って話しかけてくれれば、「いいよー!ライんとかやってる?」と返して友達になる。よしこれで行ける!


だが現実は誰も自分の机に来ることはなく、

休み時間は終始読書をしていた。


クラスの人は、最初は皆同じように誰が誰に話しかけるんだという状況だった。


そこにいわゆる陽キャと思われる人が話を盛り上げて、殆どのクラスメイトがその人達に集まって行った。


俺もその集団にひっそり入ろうとしたけど、集団の凄い圧力が自分に向かって差し向けられているようで、畏怖してしまい、入ることに失敗した。


結局友達は一人も出来なかった。また、席に座ってぼっちで本を読んでいたので、陰キャだと思われたらしい。そこからは、ほんと悲惨だった。


最初のきっかけは体育の授業。2人組でペアをつくる機会があったのだが、案の定自分一人だけ余った。やむなく先生とペアを組むことになったのだが、それがきっかけでだんだんと孤立を深めるようになってきた。


やばい、死にたくなってきた。突然トラックに跳ねられて異世界とかに転生しないかな。


チート能力与えられて、無双したい。そんな中学生が思いそうな幻想を頭に浮かべながら、鬱々と歩いていくのだった。


校門に近づいて来ると、流石に人が増えてきた。殆どの生徒が複数で会話を弾ませながら歩いてくるのだが、自分は相変わらずぼっち登校である。


「あれ〜?陰キャ君は今日もぼっち登校かなぁ?誰かと一緒に来ないの?あ、お前に友達なんていなかったか。」


柄の悪そうで、如何にも陽キャっぽく揶揄からかうような大声が後ろから聞こえていた。


あの声は多分同じクラスの阿部田翔太とか言う奴か。いつも取り巻きと居て、学校生活を謳歌していそうな陽キャだ。


あいつらとは関わりたくない。俺は逃げるように歩幅を広め、スピードを上げた。


「おいおい逃げるなよ。俺達、友達だろ?」


陽キャは背後から肩を掴んできた。うっわぁマジでやめて欲しい。さっき友達居ないとか言って無かったっけ?


そもそも俺に友達居ないし、お前らなんて友達じゃねえよ。って、叫んでやりたい。


でも怖いから無理だわ。もうお家に帰りたくなってきた。誰か助けて。


「おい翔、そんな奴に構ってないでさっさと行こうぜ。」


他の取り巻きの一人もがそう言った。あいつは確か……新田だったっけ?学校一のイケメンだとか何だとか、聞いたことがある。


実際その通りのイケメンだ。ってか、陽キャって大体容姿が良いよね。俺だってイケメンだったら……いや、コミュ力無いから無理だ。


「そうだよ。早く行こ行こ。」


他の人も次々に口にする。1年A組の第一軍総勢5人は、俺を差し置いて、走って先に行ってしまった。足速いな。


はぁ、何とか乗り切ったか、と校門の目の前に辿り着いた時、最悪の敵がいた。


「あ、陰キャ君じゃーん。今日もクソキモイよね〜。分かるっしょ?」


かの敵の名前は、如月優奈。名前と行動が完全不一致な奴で、常に大量の女子や男子といる。やばすぎ。


「それなマジ受けるwww写真撮ってネットに上げよ!」


なんで校門の前でたむろってるんだよ。他の生徒にも、普通に迷惑。俺はその集団の間を過ぎ去ろうとしたが、手を掴まれた。


「ちょっとどこいくつもり?今日お金持って来るって言ったよね?」


手を掴まれたまま、俺は制止する。振り払って逃げようとすることも出来たけど、そうしたらその後が怖い。


「いいじゃん、許してあげなよ美幸。」


後ろから爽やかな感じの男が窘めた。


「え〜。光希がそう言うなら、仕方ないー。」


相手は手を離した。あの男も助けたつもりなのか、もてあそんで嘲ているのか分からないが、話しかけないで欲しい。ほんと。


何とか人混みの突破に成功して、校舎に入って行ったが、下駄箱に大量の画鋲が敷き詰められていた。明らかにあからさまだけど、主犯以外の人もそれを黙認している。


「よく考えたら、なんで下駄箱に画鋲なんだ?普通、泥とか詰まってるんじゃ無いのかなぁ……。まあ、どっちも嫌だけど。」


肝心の上履きは無事だった。意味不明。


靴を履き替えて教室に入って自分の席に座り、文庫本を開いて読書した。


内心、誰も話しかけてくるなぁーと祈っていたが、その願いは早々に破壊された。


「ねえ陰キャ、何読んでるの?見せろよ。」


なんでぇ?暇なんですかね?いや俺の名前陰キャかよ。それに、読んでいる本のタイトル、というか表紙が見られたくない。


何故なら、異世界に転生して無双するといった風の題名だからだ。これ見られたら更に陰キャって思われるかも、と思い、慌てて本を閉じて机の中にしまった。


「なになに?エロ本でも隠してんのかよ?」


「別に、普通の本だけど。」


「ふーん。じゃあ見せてよ。」


「それは……えっと……」


俺が困惑していたその時、隣の席にから救いの声がかかった。


「止めてあげなよ。山崎くんが困っているでしょ。」


「別にいいだろ、俺達友達だし。」


「私からはそんな風に見えないのだけど?」


隣の少女は、凛々しく真剣な表情で注意をした。


「はいはい、悪かったです委員長。」


委員長の注意の後、陽キャ軍団は散って行った。


「全くもう……。山崎君はいい加減、クラスと馴染めるように友達の一人や二人は作った方がいいわよ。」


やや高圧的な口調でそう言われた。説教くさいんだけど、普通に優しくて助かるんだよな。感謝。


俺は軽く会釈をして、読書を続けた。


しばらくするとチャイムが鳴って、担任の先生が教室に入ってきた。


「ごめんなさい遅れました!朝のHRホームルーム始めます!」


岸田先生が息を切らしながら言った。しかし、教室の中は話し声で騒がしい。そして一人の男子生徒が、


「岸ちゃん、遅くないですか?もしかして生理?」


陽キャ軍団の一人の渡辺がそう言った。うわこいつ、禁忌を犯しやがった。女性にそれ言っちゃいけないって、彼女いない歴=年齢の俺でも分かるわ。


「ち、違います!えーと級長さん、HRよろしくお願いしますね!」


まだ先生は1のAのクラスに慣れていないようだ。確かに、色々問題児が多すぎる。新任にとっては難易度が高いクラスだと俺も思う。


級長の村上(男)と委員長が立ち上がり、教卓の前に立って話をしようとする。先生も、それ用の机に座って提出物の確認をしようとした時だった。


突然、クラスの床が発光しだし、たちまち教室が眩しい光に包まれた。


「うわ、何だこれ!?」


クラスメイトも動揺して、中には悲鳴を上げる人もいた。床の光源は、まるでファンタジー世界に出てきそうな魔法陣の形をしている。


「これってもしかして……クラス転移パターン?」


俺は唐突に引き起こされた非常事態に、少し恐怖を覚えながらも高揚していた。変わり映えのなく憂鬱な毎日に、変革を求めていたからだと思う。


「ドアも開かない……何が起こってるの?」


「え?異世界転生的なあれじゃね?」


「皆さん落ち着いて!取り敢えず外に出ましょう!」


教室は喧騒に包まれる。幾人かの生徒が脱出を試みているが、ドアが開かないらしい。俺は立ち上がった状態で、おどけたような感じを漂わせている。


そして段々と光の眩しさが強くなっていく。そして遂に、視野が真っ白になって、何も見えなくなっていった。


追記 ★が増えると投稿頻度が上がります(多分)。是非よろしくお願いします! 誤字修正しました。ご指摘ありがとうございます。

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