第2話 葛藤と悩み(バスト的な意味で)

『爽太ぁ〜、見て見てぇ〜、また大きくなっちゃたぁ』

『うおっ!? は、春奈!? そ、そのバストどうなってんの!?』


 バレーボールが二つ分胸元に入ってるくらいのサイズ感だ。や、やばい、春奈が体を動かすたび、ぽよんぽよんと、上下に動きやがる!! は、破壊力(エッチ的な意味で)がハンパない!! 半袖のカッターシャツのボタンが弾けそうだぞ!?


『なんでそんな大きくなんの!?』

『ふぇ? 成長期? だからかなぁ?』

『そ、それにしたって、成長が早すぎないか!?』


 俺らまだ中1だぞ!? 春奈の成長のポテンシャルが高すぎる!! お、大人になったら、叶姉妹の仲間入りになれる勢いだ(バストサイズ的な意味で)。


『そ、そんなこと言われても……、うぅ、ねぇ、爽太ぁ』

『は、はい!?』

『大きいのは……、きらい?』

『なっ!? ええっ!?』


 何聞いてんの!? そ、そんなの、こ、答えられるか!! 


『ぐすっ……、答えないってことは、大きいの嫌いなんだ……』


 春奈の瞳が、涙で潤む。


『お、おい!? な、なんで泣きそうなんだよ!?』

『だっ、だって、爽太、わ、私のこと、き、嫌いなんでしょ……?』

『なぜそうなる!?』

『だって、私、胸が大きいから……』

『つっ!?』

 

 そんなわけあるか! 俺は春奈のこと大好きだ!! 小学生のころからそれは変わらない!! 俺が何かやらかして、先生や母さんに怒られてヘコんでるとき、気づいたら側にいてくれて。『ほんと、爽太はバカなんだから』って、笑ってくれる春奈が、優しい春奈が、大好きなんだ!! 


『ごめんね、爽太……』


悲しそうな顔なんてみたくない。俺の側から、離れてほしくないんだ!!


『だ、大好きだ!!』

『ふぇ!?』


 俺は春奈の両肩を勢いよく掴む。ばるん! と春奈のバストが驚いたように、揺れおる。はぅっ!? 俺の息子が固くなろうとしている!! バストから目をそらすんだ! 


 俺は、春奈の顔を見つめる。春奈が、嬉しそうに笑った。とても可愛いくて、ずっと見ていたい。


『爽太……、大きいの大好きなんだねっ!』

『はうっ!? な、何言ってんの春奈!?』

『だって、大好きって言ったよ?』

『そ、それは、はーーー!?』 


 春奈のことだ! と言いかけて止めた。恥ずかし過ぎるだろ!?


『うぅ、爽太ぁ、嘘なの?』

『つっ!?』


 春奈がまた泣きそうになる。もう、瞳から溢れそうだ。……だあああ!! 恥ずかしがってる場合じゃない!! もう、これしかない!!


『大好きに決まってんだろ!! お、俺はお、大きいバスト、だ、大好きだあああ!!』

『爽太ぁ! じゃあ、私のも?』

『もちろん! は、春奈のバスト大好きだッ! サイズとかめっちゃ知りたい!!』


 な、何言ってんだろ俺!? 勢い余って言いすぎたかも!? 春奈、怒ったりしてない!?


 でも春奈は満面の笑みで、嬉しそうに口元を緩めた。


『爽太ぁ!! 大好きっ!! ふふっ、じゃあ〜、教えてあげるねっ! はい!!』

『わわっ!? はる、わぷっ!?』


 俺の顔に、春奈のふっくらバスト様が押しつけられる。


 もがもが!? い、息ができん!! なんてボリューム!! 柔らかくて、温かくて、それでいて、ケモノ臭い……!? な、なんで!? もっとこう甘い香りとかじゃないの!?


『爽太ぁ♡ 爽太ぁ♡ ワン!』


 苦しい!! た、助けてくれ!! バストにお、溺れる!!



「もがもが!! ぷっ、ぷはぁー!!」


 ぜぇ、ぜぇ、し、死ぬかと思った!!


「ワン! ワン!」


 俺は、ベットから慌てて上半身を起こしていた。部屋の窓から朝日がカーテンの隙間から差し込んでいる。側には、愛犬のコーギーことポチャ♀がハッハッと楽しげに荒い息をしていた。ゆ、夢か……。


「……、ポチャ、お前俺の顔に乗ってたな……」

「ワンッ!」


 良い返事だった。褒めてやろうかと思ったが止めた。危うく窒息させられそうだったからな!!


「たく! 同じ窒息なら春奈のおっぱいが良いわ!! 春奈のおっぱい!!」

「朝から何言ってんの……、お兄ちゃん……」

「へっ!?」


 慌てて声の方に顔を向けた。部屋のドアが開いている。そこに、妹である由紀ゆきが、蔑んだ目で俺を睨め付けていた。


「……、ポチャ、こっちきなさい」

「ワン!」


 ポチャがベットから降りて、由紀のところへ。由紀がポチャを抱える。そして俺を睨みつけ、


「朝ごはん、もう用意できたよって……、お母さんから……」

「お、おう……」

「でも、食べずにすぐ刑務所に行けッ」

「あれ!? 我が妹よ!? 学校の間違いでは!?」

「お兄ちゃんは、牢屋がお似合いよ」

「罪は何もないぞ!?」

「これから、する気でしょ」

「そんなわけあるか!」

「どうだか……。春奈さんに危害加える前にさっさと牢屋で暮らしてください」

「はぅ!? いや、あの、そ、それは!?」


 夢での、ドタバタちょっとエッチなラブコメ展開があったわけで!! って、どんな言い訳だ!! 通用するわけがない!


 俺の混乱をよそに、妹の由紀はさっさと俺の部屋のドアから立ち去ってしまった。


「…………、はあ〜……」


  力なくベットに横たわる。

 これで、何回目だ? 春奈が夢に出てくんの。

 もう、数えるのが面倒なほど登場している。


「それもこれも……」


 春奈のふくよかなバストを見てしまってからだ。


「俺……、ほんと、どうかしてるって……」


春奈のバストが気になってから、ずっとこんな調子だ。あまり、よく寝れてない日が続いている。


「はあ〜……、どうしたらいいんだろ……」


 考えようと思ったが止めた。今は、何も考えずに、10分くらいまだ寝たい。


「ちょっとだけ……」


 俺はそっと目を閉じる。


 春奈の、おっぱい……、気にしない男になりたい……。


 そしたら、小学生のころのように、無邪気なままで、俺たちは仲の良いままでいられると思うんだ……。一緒に遊んだりさ…………。2人でこれからも、中学生になっても、一緒に…………、



 目が覚めたら、青ざめた。


「ち、遅刻だあああああ!?!?」 


 学校に1時間も遅刻して、先生に俺は怒られたのだった。

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