第5話 パーティー結成


「「あ、あの!」」



 そんなことを考えていると、突然さっきの男女が話しかけてきた。



「ん? なんだ?」


「討伐依頼を受けると聞こえたんだけど……」


「あぁ、ゴブリンを狩ってみることにしたが……それが何か?」


「俺たちも討伐依頼を受けたいから、ゴブリンから始めてみようと思ってるんだ……パーティーを組んでみませんか?」



 恐る恐るといった感じで少年が話す。



「……理由を聞いても?」


「俺たち、これから魔物を倒してお金を稼いでいく必要があるんだけど、いずれ高ランク依頼を受けるときに、二人では無理があると思ったんだ。あと、ここで一番年齢が近い人が君だと思ったから……」


「なるほど……」



 お金を稼ぐ目的は分からなかったが、まぁそこは他人の俺が踏み込むところではないな。


 それに、俺もいつかは誰かとパーティーを組んで依頼を受けるつもりだったし、その時は年が近い人の方が都合が良い。



「分かった。パーティーを組んでみよう」


「ありがとう! あ、自己紹介がまだだった。俺はウォルク、こっちは……」


「サラです」



 どうやら少女の方は口数が少ないようだ。



「俺はゼオユーランだ。」




   ♢



 現在、俺とウォルクとサラでラキートの西の森へ向かって何もない平原を歩いている。


 それぞれ、戦闘で得意なことなどを教え合いながら歩いているのだが、俺は剣で前衛として戦うことにしておいた。

 魔法をいきなり本番で当てるのは難しそうだから、まずは素振りを何度も行ってきた剣を使うことにした。


 魔法は、安定した生活費を稼げるようになったら、そこら辺の獣で試してから戦闘に組み込むことにした。


 獣は森の手前、魔物は奥の方にいるらしいが、今回は森の奥へと進んでいく。


 暫く歩き、ふと、不快な鳴き声?が聴こえてきたので、これまで以上に慎重に音の出る方向へと向かうと、少し開けた場所にゴブリンが3匹集まっていた。


 後ろを向き、二人に事前に決めた、止まれのハンドサインを出す。



「ゴブリンが3匹、全員が木の棍棒を持っている」


「なら、俺とゼオユーランが先に牽制、その後ろからサラが魔法を準備して放つ感じでいこう」


「う、うん、分かった」


「そうしよう」



 戦いのフォームを決めたところで、突撃の合図を出す。


 隠れていた場所から俺とウォルクが勢いよく飛び出すと、ゴブリンたちが一斉にこちらに向くが、突然のことに戸惑っていたのか、一番手前のゴブリンが棍棒を構える間も無く、俺の剣は綺麗な軌跡を描き、そのまま首を刎ねた。



 ギャッ



 その次に近いゴブリンの棍棒とウォルクの剣が交わった。少しの間、拮抗したあと、木の棍棒が切れて、ゴブリンの前面を深く切った。



 グギャーッ!



 最後のゴブリンがウォルクの前で棍棒に振り翳しているところで、そのゴブリンの顔に火球が飛来して黒焦げにした。



 (おっ、レベルが上がった。やっぱ魔物討伐はレベルアップしやすいのか)



 経験値分配は、一般には魔物討伐への貢献度によって変化すると言われている。

 因みに、得られる経験値は魔物が強いほど多くなるが、高レベルになるほどレベルは上がりにくくなる。



「サラ、援護ありがとう」


「ううん、ウォルクが無事で良かった」


「それに、ゼオユーランは剣が上手いな」


「不意をつけたからうまくいった」



 と、謙遜して答える。


 それにしても、俺はまだ魔法を生物に向けて打ったことはないが、凄い威力だな。

 これでサラの火属性魔法は初級らしいし。

 俺の中級で全力を出すとどうなるんだろう……ちょっと怖いな。


 その後、討伐証明の部位を袋につめた。


 結局その日は、ゴブリンを3人で23匹倒してラキートの街への帰路についた。



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