ハロウィン特別編

 これは戦争が始まる前のお話。


 教室についた途端シューマが大きな声で叫びだす。


「今日はハロウィンだぁあああああ!! 俺の仮装が火を吹くぜっ☆」


 その言葉に生徒達……特に男子が反応する。


 女子はいないのでそうなっているだけだが。


「俺が本気で仮装したらお菓子もらえるかな!?」


「俺はめちゃくちゃリアルなインサキュバスの格好をして女子たちを虜にするんだ!!」


「どちらも出来るさ! なんと言っても今日はハロウィン! 仮装さえすればどんな子からももらえるに決まってんだろうがぁぁああああ!! 因みに俺は学年全員分のお菓子を用意しているぜ☆ それに仮装用の衣装も全10種あるぜ☆」


「「「「「「「「「「おおおおおおおお、ぱねぇっすシューマさん!! 超かっけぇぇぇぇぇええ!!」」」」」」」」」」


 この様に馬鹿騒ぎしており、ソラとアラン以外の男子が続々と隣の空き教室に着替えに向かっていった。


 一方で女子はと言うと、男子と入れ替わるようにソラとアランの残った教室に入ってきて、お互いの仮装を褒めだした。


「ねぇねぇ、この衣装めっちゃ可愛くない!?」


「うんうん! 何で包帯にしたのか分からないけどかわいいね! 因みに私は水着なよ!」


「水着なのはいまいち謎だけどとてもいいと思うわよ!!」


「でも一番と言ったらぁ〜セリシアセンセだと個人的には思うな〜! めちゃくちゃエロカワイイし!」


 1人のギャルっぽい女子がそう言うと、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしているセリシア先生に全女子とアランも目線が移った。


「ええ、確かにセリシア先生のはサキュバスという事で美しいと妖艶さが合わさって途轍もなくエロいわね」


「ええっ!? そ、そんなことな、ないわよ!? そ、そうよね、アランくん……!!」


 そう言って黒の布面積の少ないビキニを着て、頭にツノ、お尻のビキニに尻尾をつけたセリシア先生が自信なさげに聞く。


 それを受けたアランは爽やかな笑みを浮かべて、


「セリシア先生は大人っぽくて魅力的だから十分エロく見えると思うよ」


「アランくんまで!? アランくんなら否定してくれると思ったのに!?」


 始めのギャルの言葉を肯定していた。


 それに再び盛り上がる女子たちのもとに男子が帰ってきて、教室は完全にお祭りムードになってしまった。


「…………サラとエレノアがいる所に行こ……」

 

 ソラはそんな教室を後にしてサラとエレノアの待っているところへと向かった。




 


☆☆☆





 ソラが約束をした校舎から離れた空き部屋に行くと、そこには誰もいなかった。


「あれ? ここで合っているはずなんだけど――」


 ソラが後ろを振り返ったときだった。


「と、トリックオアトリート! お、お菓子をくれなきゃい、いたずらしますよ、そ、ソラ様!」


  魔女の帽子とローブに身を包んだ少し恥ずかしそうなエレノアと、


「……トリックオアトリート。お菓子くれないと、血を吸っちゃうぞ……?」


 ゴスロリの衣装と吸血鬼の牙を付けた目の赤いサラ少しニヤッと笑って牙を見せながらそう言って飛び出してきた。


 ふたりともよく似合っており、全く違和感がない。


 そんな2人分のかわいいを受けたソラはと言うと、


「………………お菓子なんて無限に上げるのでいたずらしてください」


 魔法の指輪から出した大量のお菓子を差し出してお願いをしていた。


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