第109話 さて、教頭の所に行こう
俺はあれから1時間目の途中から授業を受けた。
結局あの教師のことについてルイーゼが直々に教頭に聞きに行くらしいが、俺は一旦待ったをかけた。
理由は簡単だ。
教頭は多分ルイーゼでも厳しいくらいの強さを持っている。
今のルイーゼの強さは、俺が深淵竜の巣を攻略した時と同じくらいの強さだ。
正直今の世界では十分すぎる力だが、それはあくまで人間界においての話だ。
これが魔族の世界だったら、良くても上の下くらいの実力だ。
あの時俺がシャラグナに勝てたのは、あいつが力を封印されていたと言うのもある。
ゲームではルートによってあれよりも弱くなって出てくる時もあるが、本当は今の俺と同格、いや神剣があるから俺の方が上かもしれないがそれほど強い。
基本魔族はこの世界に来たら弱体化する。
理由はまた今度説明するとしよう。
兎に角シャラグナほどではないものの今のルイーゼでは教頭と戦闘になれば殺される可能性もあるので俺もついて行くことにしたのだ。
今は丁度学園長室に向かっている。
サラとシューマには、『朝の教師のことで呼ばれているから先に帰っていてくれ』と言っているので2人が危険に巻き込まれる心配はないだろう。
それにフェンリルもつけているし。
フェンリルも強くなっており、俺が神気を15まで使っても問題ないほどまで強くなった。
なんか俺が上位種族に進化した時に、フェンリルにも【神気】と上位levelが追加されていたのだ。
これには俺もエレノアも驚いた。
しかし本人もどうしてなのかわかっていないため取り敢えず放置している。
正直めちゃくちゃずるいと思った。
だって俺とエレノアはめちゃくちゃ頑張ったのにさ……。
うん、最近他人をずるいと思うことが多いな。
俺は若干テンションが下がりながら学園長室の扉を開く。
「あら? 随分早いわね——ってどうしたの?」
「……いや気にしないでいい。俺が勝手に落ち込んでいるだけだから。それで準備は出来ているのか?」
一瞬俺の様子を疑問に思った様だがルイーゼすぐに返答した。
「勿論よ。もう完璧にバッチリよ」
そう言って俺に俺とはデザインの違う指輪を見せてきた。
「おお、これは《瞬間装着の指輪》じゃないか!」
そう、これはダンジョンでは手に入らない、ドワーフのみが作れる貴重な魔道具だ。
名前の通り登録しておいた装備に一瞬で着替えられる魔道具だ。
まぁ奇襲用だな。
しかしこれがあるならすぐに戦闘に移れるだろう。
「なら行くとするか!」
「ええ!」
俺は威勢よく学園長室の扉を開けて外に出る。
そして出た瞬間に立ち止まり、止まった俺を不思議そうに見ているルイーゼに言う。
「教頭ってどこに居るんだ?」
「いや知らないのに先に出ていったの!?」
「いややっぱり勢いは大事かなと……」
俺はそのあとちくちく文句を言われながら教頭のいる場所まで移動した。
☆☆☆
歩くことほんの1分ほど。
「いや近っ」
「そりゃそうでしょうが。だってここは学園なのよ? 教師の部屋が遠くて何がいいことあるのよ」
「まぁ確かに言われてみればその通りだな」
ゲームでは教頭と出会うのは必ずルイーゼが学園長を辞めたあとだったんだよなぁ……。
何故辞めたかはもう分かるだろ?
まぁなので皆まで言うまい。
「それじゃあ開けるぞ」
「了解です」
「……口調変えるのね……」
「まぁ一応ルイーゼは学園長だからな」
「……一応は余計だ。……まぁいい。ディートヘルム、入っていいか?」
「ん? ああルイーゼ先生か。いいよ入っても」
「なら失礼する。……相変わらず不思議な服装だな……」
「そうですかね? 私にとってはこれが普通なのですが」
「ディートヘルム先生は十分個性的だと思いますよ」
「これはこれは初めまして。君の噂は聞いているよソラ君」
「それはいい噂なのかわかりませんが、取り敢えず初めまして」
目の前にはかっちりとしたスーツにシルクハットを被った男がいた。
何回も見たことのある俺の嫌いな姿だ。
こいつこそがこの世界にいる魔族を仕切っている張本人。
そして——
———サラの死亡フラグの3割を占める最大の敵である———
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この度新作を投稿しました。
ジャンルは現代ファンタジーで、題名は、
『俺の召喚魔術が特殊な件〜留年3年目から始まる、いずれ最強の召喚術士の成り上がり〜』です。https://kakuyomu.jp/works/16817139554828093372
です!
是非見てみてください!
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