第94話 遂に俺の実力を明かすことにしました①

 目の前にいるのは大嫌いな第3王子アレクサンダー。


 そしてこの世界では全く絡みのなかった勇者アラン。


 そしてそんな勇者アランに庇われている俺氏。


 うーん、カオス?


 と言うか豪華メンバー勢揃いだな。


 だって今アランの仲間がアランを追ってきているのを感知で把握しているし。


 そして脇役ではあったものの何かと出ていたシューマ。


 俺は除くとしても豪華すぎるメンバーだ。


 正直こんなに集まってもらうと何か起きそうで怖くなるのだが。


「お前は誰だ! この僕の前に立つとは!」


 早速王子がアランに噛み付く。


「君の方こそ何をしているんだ! 女の子が嫌がっているじゃないか! 大丈夫かい?」


 そう言ってサラの方を向いて笑顔を見せるアラン。


 アランは王子に迫るほどのイケメンで、裏では『白の王子』と呼ばれていることを俺は知っている。


 因みに王子は『黒の王子』な。


 そんな2人だが兎に角性格的に合わない。


 ゲームでも友達になることはなかった。


 しかしよく考えてみると、側からみれば1人の女の子を取り合っている2人の王子級イケメン。


 勿論何も起きないわけもなく……


「うわっ、黒白の王子がよく知らないけど女の子を取り合っているわ!」


「ず、ずるい! ただでさえ優しそうなイケメンと元気そうなイケメンに囲まれていたと言うのに!」


「ほんとよね! でも悔しいけどめちゃくちゃ美人なのよね……。やっぱり美人はずるいわ……」


 女子はめちゃくちゃ盛り上がっている。


 いや嫉妬が凄い。


 だがサラは何故だか分からないが嬉しそうだ。


「どうしたんだサラ? 何か良いことでもあったか?」


 俺がそう聞くと、何故かサラは声を弾ませながら言う。


「ん! ソラがイケメンって言われたから」


「うーん、俺ってイケメンなのか?」


「ん!」


「ええっ!? 今まで自分がイケメンってことに気がついていなかったのか!?」


 サラはこくんと頷き、シューマは驚いたように言ってきた。


「でも俺、女子に話しかけられたことないけど……」


 イケメンなら少しは『きゃー!』とか言ってもらえそうな印象なんだがな。


「(いやソラはサラちゃんに夢中だったじゃないか……)」


 シューマが小声で何かを言っていたが、今はそれどころじゃない。


 どんどん2人が険悪ムードになっていっている。


 ほんとにやめてくれよ……これ以上余計なことをされるとさらにややこしいことになりそうだからさ……。


「僕はこの国の王族だ! 勇者だからと言って邪魔をするな!」


「王族だからと言ってなんでもして良いわけじゃないだろう!」


「五月蝿い! お前たち! この勇者と一緒にあの女を捕まえろ!」


 王子がそう言うと何処からともなく10人程の黒装飾の大人が出てきた。


「【鑑定】」


《【鑑定】が無効化されました》


 …………マジの人達だ。


 この国の諜報部は全ての人間が《鑑定無効》のスキルを持っている。


 と言うか持っていないと入れない。


 そんな諜報部がこの世界に存在するか……。


 これは王族は未だステータスのことを知っている証拠だな。


 しかも全員level:100だろう。


 他の奴らとは圧倒的な強さの違いがあるように感じる。


 それはアランや先程追いついたアランの仲間たちも感じているのか、全員が冷や汗をかいている。


 先程アランを鑑定したらlevel:88だった。


 このlevelでは流石にまだ勝てないだろう。


 だからもうアランたちは使い物にならないと……。


 …………もう良い頃合いかもな。


 種族進化もしたことだし、そろそろ俺の力を明かしても良いかなと思っている。


 この際これ以上絡まれないようにガツンと一つ見せつけてやる方がいいのではないだろうか。


 人もたくさんいるし、この世界では強い部類に入る人達もいる事だし。


 これ以上舐められて王族と言うだけでサラを連れていかれるよりはマシだ。


 と言うかナチュラルに大勢の前で【結界・神】を発動させてしまったし。


 遠くで見ている学園長とかめちゃくちゃ驚いており、俺のことを凝視している。


 よし、もう一部にはバレているようだしやるか。


「シューマ、サラを連れて離れていてくれ」


 俺が真剣な表情で言う。


 それで俺が何かをしようとしていると気付いたのか、シューマもいつものチャラさを引っ込めて真剣な表情で頷く。


 シューマがサラを連れて行こうとすると、何やら2人が小さな声で話し出し、サラがこちらに近づいてきた。


「ソラ……」


「大丈夫だって。安心して見ていてくれ。俺だってあれから更に強くなったんだ」


 俺はサラの頭を撫でて言う。


 するとサラは少し頬を朱く染めながら更にこちらに近づいてきて———




 頬に柔らかい感触が触れた。




「———頑張って」




「……ああ。頑張ってくるよ」





 サラはそれだけ言うと離れていった。


 もう今の俺を止められる者はいない。


 俺は勇者たちと諜報部たちの間に立ち———







「———これからは俺の時間だ。覚悟しておけよ?」







 俺の力を知っている一部を除いた全方位へと威圧を放った。



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遂にソラの実力が知られることに!

お楽しみに!


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