第25話 実技授業②
レオンとセリシア先生は、同じタイミングで突っ込むが、始めに攻撃をしたのはレオンだった。
「喰らえッ! 【瞬撃】ッッ!!」
これは確か【剣豪】の技だったか?
確かに名前の通りまぁまぁ速い。(本当は目視できないほどに速いのだが、ソラが規格外なだけ)
しかしその程度の攻撃でなんとかできる相手ではない。
セリシア先生は、器用に相手の剣の腹に自らの剣の切っ先を当てていなしていた。
ほぅ……流石ヒロイン。
そんな高等技術を完璧に使えるとは……。
多分俺がセリシア先生と同じレベルだったら絶対にできないな。
いなされたレオンは、体制を崩して隙を作ってしまう。
そしてそこを見逃すセリシア先生じゃない。
「ははあああッ!!」
「ッッ!!??」
セリシア先生は一瞬で距離を詰めると、剣を振り下ろす。
レオンは思わず目を瞑っている。
あれだとダメだな。
戦闘中に目を瞑るなんて、殺してくださいと言っているような物だ。
まぁまだ子供というわけか。
セリシア先生は、レオンの頭上スレスレで剣を止める。
「これで私の勝ちです」
レオンは悔しそうな顔をしているが、負けは認めているようで文句などは言わず立ち上がる。
「ありがとうございました」
そう言って離れって言った。
うーん流石レオン。
ここで素直に負けを認めて、更に相手への敬意も忘れていないとは……ゲームの通りいい奴だ。
周りからは拍手が出ている。
そして今までセリシア先生と戦っていた者は、自分の弱さを恥じているのか、俯いていた。
まぁこれでみんなが強くなってくれれば、それほど俺はサラの死亡フラグに集中できるから、是非とも頑張ってもらいたい。
「それでは次の人どうぞ」
セリシア先生が次の人を呼ぶ。
よし、それじゃあ俺も行くか。
多分先ほどの試合の後には誰もやりたがらないだろうし。
「セリシア先生、次は俺がやります」
「ソラ君でしたね。よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
お互いに構えをとる。
一瞬二刀流の構えになりそうだったので、すぐに一刀流に戻す。
やばい……バレてないかな……?
俺はセリシア先生の表情を見るが、特に気にしている風ではなかった。
よかった……バレてない。
と俺はこの時思っていたのだが、セリシア先生には。
(ん? なんでしょう? 今一瞬構えを間違えたというように見えたのですが……。それに先ほどの構えの方が慣れている感じでしたし。……ソラ……実力を隠しているのでしょうか……。要観察ですね)
ばっちりバレていた。
そして俺が実力を隠しているのも少し勘付いていたようだ。
そんなことは知らない俺は、ひたすら手加減することしか考えていなかった。
ふぅ……ゆっくりと……優しく……そっと音を立てずに置くように剣を振れば大丈夫なはず。
俺はシャラグナとの戦闘の時よりも緊張しながら模擬戦を始める。
今度はセリシア先生が先に動いた。
一瞬で俺に接近して刺突を繰り出す。
物凄い速度であろうその一撃は、俺にとって友達と歩いているようにしか見えない。
やばいやばいやばい! これは予想外だ! こんなに俺とセリシア先生の実力が離れているなんて……!
俺は何とか避けた風に装って避ける。
「はぁはぁはぁはぁ……中々やりますね……」
まさかゆっくりすぎてタイミングを合わせるのに物凄く集中力を使ったなんて言えない。
そしてそのせいで呼吸が乱れているなんて更に言えない。
「そう言いながら私の攻撃を避けているソラ君も凄いですよ」
(おかしいですね……。私の7割位の刺突であれほど体力を消耗するなんて……。私の思い違いだったのかしら……?)
どうやら俺の渾身の演技が効いたようだ。
その後も何とか避けているようにして、偶に攻撃をする、というのを繰り返して終わった。
「ぜぇはぁぜぇはぁ……あ、ありがとうございました……」
「はい、ありがとうございました」
結果俺の負けである。
ま、まぁ狙っていた通りになったからいいけど、正直ここまで疲れるとは思いもしなかった。
やはりまだ色々と情報が足りないな……。
俺は、絶対次の実技授業までに【制限】スキル(自身の能力を制限するスキル)を手に入れることを固く誓った。
----------------------------
次回は魔法側です。
アランはまた今度と言うことで。
面白い! まぁまぁかな? サラが可愛い! などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などの報告を頂けると作者の励みになります。
ではではまた次話で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます