第29話 衝撃の事実
「あぁ、俺の負けだ」
剛さんは大剣を手放して、手をひらひらと振って降参だと示す。けれど、その様子にはまだまだ余裕がありそうで腹の傷を気にした様子もない。
「アレでも本気を出していなかったんですね」
「当たり前だ。これでも俺はベテランだ。それが、新人に対して本気を出していちゃあ訳ないからな…まぁ、でもお前の実力を見誤っていた部分はあったなぁ」
剛さんは立ち上がって、大剣をしまい始める。
「もう少し力を出した方が良かったか?」
ニィと笑いながら問いかけてくる。その問いに僕は全力で首を振る。
「そんなことされたら最初の一撃で撃沈されてますよ」
試合が終わったのを見た黒部さんと瞑さんが此方へやってくる。
瞑さんが驚きながら僕を褒めてくる。
「いや〜すごかったやん!スキルを使ってないとはいえ剛に勝ってしまうとはなぁ」
「えっ?スキル使っていなかったんですか?「空斬」の魔力を感じ取っていたのっスキルじゃないんですか?」
「ん、あぁあれは勘だ」
勘!?どうやらベテランになると魔力は勘で判別するもののようだ…
「一応、誤解のないように言っとくがこいつが特別なだけで魔力はスキルで感知するものだぞ?」
黒部さんが遠い目をしていた僕に補足をしてくれる。
「あっやっぱり普通じゃないんですね」
話しが落ち着いてくると剛さん、暝さんが改まった態度でこちらに話し掛けて来る。
「明君。うちらが君を呼ばせてもらった本題、クラン加入の件についてやけど…」
「…はい」
「まぁ、何も言うことないわ。合格や合格。ようこそ、日本で3番目に大きいクラン〈抑強扶弱〉へ」
3番目…3番目ぇ?
「ちょ、ちょっと待ってください!3番目?3番目って言いました?」
「そうやけど…もしかして知らんで入ろう思うとったん!?というか、日本で第三位のクランやで?マジで知らんのか?」
「えっあっすみません。僕、あんまりテレビとか見ないんで」
すると、それを聞いた暝さんは少し黙る。
「………もしかしてやけど…。明君、黒部のことは知っとるか?」
「え、ハンター協会の職員ですよね?それだけじゃないんですか?」
僕の答えは暝さんが望むものではなかったようで、暝さんは溜め息をつきながら黒部さんを連れ僕から少し離れていく。
「おい黒部、お前、明君に自分のこと言ってないんか?」
「あぁ、事情があってな。言わないほうがいいと判断した」
なにやら小声で話しをしているようだけれどその声は僕には聞こえない。
(まぁ聞かれたくなくて離れたんだろうから無理して聞こうとする必要もないけどなぁ)
「取り敢えずええわ。明君!多分今週は高校入学で忙しいやろうから来週末にクランの本部に来てくれ」
黒部さんと話し終えた暝さんは今後の予定を僕に伝えてくる。
「クラン本部って、場所は何処なんですか?」
「あぁ〜そっかあんた知らんのか…。まぁスマホは持っとるやろ?流石に持っとるよな?」
「あはは、持ってます。流石に…」
「ならええわ、検索すりゃ出てくるからそれでどうにかしてくれ」
そんな投げやりなぁと思いつつも僕から言うこともできずに了承する。
「明といったな。闘ってみてお前の可能性を感じた。これは黒部が言っていたことだがお前から何か不思議な何かを感じる。これからも精進してくれ」
最後に剛さんからお褒めのお言葉を頂いて僕のクラン加入の試験?は終わった。
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