第27話 クラン

「よし、いいぞ。いつでも来い!」


 此処は練習場の1画にある闘技場。

 闘技場はハンター同士で実戦をすることができる場なのだが…

 僕はそんな所で剣を構えて筋肉もりもりマッチョマンな男性と相対している。


「こっちも準備できたんで行かせてもらいますね」

 

 僕はそう言って、相手に攻撃を仕掛ける。


(おかしいなぁ。僕はクランを紹介してもらうだけだったはずなんだけどなぁ〜)


 ド ウ シ テ コ ウ ナ ッ タ

 


――――――――




 時は遡り、今から数時間前。

 僕はハンター協会の1室に居た。

 昨日、黒部さんからクランを紹介する準備ができたと言われ、ハンター協会に来るよう指示されたのできたわけだが…

 黒部さんはこの部屋に僕を案内した限りでここで待っていてと言って、何処かへ行ってしまった。


「黒部さん…何処へ行ったんだろう?もうかれこれ、数十分経つけど」

 

 待つ時間も長くなり段々と暇になってきた時、黒部さんが扉を開けて部屋の中に入ってきた。


「ごめん、明君待たせたね」


 そう言う黒部さんの後ろから、更に2人が部屋の中に入ってくる。

 1人は熊のように大きいという言葉がよく似合う大男。

 もう1人は僕と同じぐらいの年齢に見える女の子。

 なんとも対照的な2人に僕の目が引き寄せられていると、その様子を見た黒部さんが苦笑しながら話し始める。


「彼らは、俺が君に紹介しようと思っているクラン〈抑強扶弱よくきょうふじゃく〉の1員だ」


 黒部さんから自己紹介を促された2人が僕の方を見る。

 男の人の方から自己紹介をするようで1歩前に出て、喋り始める。


「黒部が言ったようにクラン〈抑強扶弱〉の1員の柄井 剛からい ごうだ。君の話は黒部から聞いているよ」


 剛さんは自己紹介を終えると手を出し、握手を求めてくる。

 それに応じて僕も手を出し握手すると、


「アダッ!痛っ!痛い痛い痛い」


万力のような力で手を握りつぶされる。

 その痛さで僕が悲鳴を上げると隣に居た女の子が剛さんの頭をジャンプして引っ叩く。


「アホかぁ!」


 引っ叩かれた剛さんはとても不満そうに女の子をジロリと見る。


「なんだ?」


「いや、なんだじゃないねん!あんた明君をよう見ぃや。どう考えても痛がっとるやろ」


 剛さんは僕の方へと視線を戻して、痛かったのか?と聞いてくる。


「そうか。それは済まなかった」


「すまんなぁ、明君。こいつ力加減というもんを知らんのや」


「あっそうそう、うちは坂薙 暝さかなぎ めいって言うんや。気軽に暝ちゃんって呼んでくれたらええで」


 そう言うと暝さんは、徐に僕の顔を覗き込んでくる。


「な、何でしょうか?」


 あ、あんまりジッと見つめられると…と僕がタジタジしていると…


「…あんた、うちのこと子供や思とるやろ」


「へっ?子供じゃないんですか?」


 僕はてっきり子供だと思っていたので失言してしまう。


「ほうほう。そうか、そうかぁ〜。まぁ、いいよ。けどね、 う ち は成人女性やで」


 そう言って暝さんは剛さんと握手をしてくる。


「アダッ!痛っ!痛い痛い痛い」


「おい暝、お前もやってるじゃないか」


 剛さんから注意された暝さんは僕の手を開放してひらひらと手を振る。


「今回はこれぐらいで許しといたるわ。でも、次からはきぃつけや?うちは成人女性やからな?」


「あぁ~自己紹介は済んだかな?それなら早速本題に入りたいんだが…」


 一人蚊帳の外になっていた黒部さんが話の流れが切れたところを見計らって、クラン紹介の話に持っていこうとしてくれる。


「せやな。あんまり時間かけるのもようないし、さっさと始めよか」


「と言ってもうちからしたらあんまりいう事無いんよな。あの黒部から紹介されとるような奴やったらあんま問題なさそうやしな」


 それにと言って瞑さんは僕の顔を真正面から見る。


「実際会ってみても良え子そうやし、うちはクランに入れてもええと思うで」


 瞑さんは今度は剛さんに顔を向け、あんたは如何やという。


「俺はクラン加入に関しては何もいう事はない」


「そうか。それやったら良かったなぁ明君。クラン加入できるで!」


「えっ、あっはい」


 猛スピードで僕の〈抑強扶弱〉のクラン加入の話しが纏まっていって、若干僕の頭の処理が追いつかなくなってきたところに待ったがかかる。


「瞑。確かに俺はクラン加入については何も言わない。が、お前の実力を見せてもらいたい」


 


――――――――



 そして現在。僕は熊のような大男、柄井 剛と相対している。


「俺はお前よりはるかに強い。だから、遠慮せずに全力でぶつかって来い」


 その言葉と同時に僕に重圧が圧し掛かってくる。剛さんから放たれるプレッシャーが僕との実力差を如実に物語っている。


(これは……全力で行かないと傷さえ付けれない)


「よし、いいぞ。いつでも来い!」


 その言葉をきっかけに僕は全力で目の前の敵を打倒しに掛かっていく。

 

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