第3話 さらば故郷 初めての町ヒネズミ
盗賊達を倒したムスビ達一行は村人達を救出し、村へ帰った…のだが…
盗賊達を倒した後…
村人達「ふう…盗賊達はこれでOKだな…」「盗賊達の縄が余っていてよかった…」盗賊達は手足を縄で拘束され檻に入れられた。勿論武器の類いは全て回収されて。
村人達は魔獣達を避けていた。そしていつ暴れ始めるか分からないという恐怖に包まれていた。一人を除いて…。
村人達が魔獣を避けるなか、ムスビは魔獣達と一緒にいた。
凶暴な魔獣には人間は近づこうとしないものだが、ムスビは逃げもせずただ黙ってじっと魔獣を見ていた。そしてゆっくりと近づき周りの方が焦っていたが、魔獣は警戒こそ怠ってるようには見えないがやってくるムスビに攻撃はしなかった。
ムスビはゆっくりと魔獣の前に座りそれ以上は魔獣からやってくるのを待っていた…しばらくすると魔獣は頭を近づけて来た。
「そうか…それが嫌なんだな…」
そう言うとムスビは立ち上がり、魔獣達の首輪を剣で切りつけた。
首輪が取れた魔獣達はその場で雄叫びを上げたがムスビがただ一言…
「もう大丈夫…」
と声をかけて魔獣に触れていた…魔獣達は感謝するかのようにムスビの顔を舐めていた。
「…大丈夫、もう怖くないぞ」
そう少年は口にしていた。盗賊なんかより明らかに怖い存在である魔獣に対して…
「ど、どうなっているの…魔獣は人間が人間に懐くなんて…」
「ムスビちゃんに懐かない動物はいないよ、山にいる動物達だって皆ムスビちゃんの友達なんだから!」
「そ、そうね(だからって魔法で無理矢理従える位しか出来ないって言われている魔獣とあんなに仲良くなるなんて…も、もしかしてムスビって思っている以上に常識はずれ…?)」
ミレアのムスビへの謎がまた深まっていった…
『キョロキョロ…』
「ミサキちゃん?」
「あれ…おかしいな」
ミサキは周りを見て何かを探していた。
「どうしたの?」
「どこにもいないの…お父さんもお母さんも…ルーナも…」
「え?もしかしてまだ中に居るのかしら…?」
そう話していたところに村人の老人は
「違うんじゃ…わしらは第二弾…つまり先に連れていかれた連中が居るんじゃ…」
「じゃ、じゃあもしかして最初に連れていかれたのって…」
「そうじゃ…お前さんの家族はわしらよりずっと前に連れていかれたんじゃ…」
老人は心苦しそうにそう言っていた。
「そ、そんな…そう言えば、他にも見あたらない人が…」
「ッ…!ちょっとあなた達!ミサキちゃんの家族達はどこへ連れて行ったの!!」
ミレアは盗賊達に詰め寄るが…
「し、知らねえよ」
「嘘をつくんじゃないわよ!」
「ほ、本当だ!俺達はあくまで途中で引き渡しするまでしか運ばない、そこから先がどこへ連れて行かれるかなんて聞いちゃいねえ」
「途中までなら分かるんでしょ!早く教えなさい!」
「む、無駄さ…魔獣で連れて行かれたんだ…とっくに受け渡しは済んじまってるさ…」
魔獣は通常の馬車が三日はかかると言われている道でも一日もかからずにたどり着くと言われる程速い。既に連れて行かれてから数時間は経っている今追いつくのは難しいだろう。
「じゃあ、あなた達の言う引き渡した相手って誰なの!」
ミレアはそれならばと問い詰めるが…
「そ、それは…」
「いいから早く言いなさい、あなた達の雇い主は誰!」
「……セブンス・グリド」
その名前を聞いた瞬間周りの人間は固まった…
「…!」
「な、なんと言うことじゃ…」
「セブンス・グリドって…確か隣のシュガー島の名門セブンス家の悪名だかい大商人じゃ…」
「そ、そんな奴のところに送られたんじゃもう…」
(セ、セブンス・グリドですって…!まさかこいつらも奴の手先ってことなの…!?)
「お前さん達…追って助けたいと気持ちはあるじゃろうが…今行った所でどうしようも出来ん…一度村へ帰ろう…」
老人のその言葉に反対するものはいなかった。懐いた魔獣に乗せてもらい、受け渡し場所まで追うことは出来てもそこから先をどこへ行ったのか突き止め、雇い主であるセブンス家達の武力に対抗して皆を助けられると思える者はいなかった…
ミレアやミサキもただ黙って頷く事しか出来なかった…
帰りは馬車に村人達、魔獣をムスビが操りその後ろのスペースにミレアとミサキが座り、魔獣は馬車からあまり離れないようスピードを落として進んでいた。
「ねえ、ミレアちゃん…一つ良い?」
「ん?どうしたの?」
「なんで盗賊達が誰かに雇われてるって思ったの?」
「ああ、それはマジックボックスってとても高くて貴重なものだからよ。本当に大金持ちしか買えないわ。それにマジックボックスって、売り文句で安心・安全、持ち主にしか出し入れできない特別仕様!ってよく聞いてたのよ…。盗賊が誰かから奪ってもマジックボックスを使えるのは買った本人だけなの。としたらそれを用意出来る誰かに与えられたものなんじゃないかって思ったのよ」
「…それにマジックボックスを自分達の奪った金で買えたとしても、そのマジックボックスから出た二体の魔獣をわざわざ変な首輪をつけて操ってたのも、あの程度の盗賊が用意できるなんて不自然だ…首輪にしても…魔獣そのものにしても…」
「そ、そういうことだったんだね…」
ミレア・ミサキ(珍しく長文喋ったわね・ね…)
「でもどうしよう…そんなの用意できる人から皆助けられそうもないよ…隣の島だなんて行ったことないし…」
「安心して、必ずミサキちゃんの家族達を助けるわ」
「え、そんな危ないこと頼めないよ…ここまでだって助けてくれたのに…」
「いいえ…私達はどっちにしてもさっき言ってた奴らの所まで行かなきゃならないの…だからその時にミサキちゃんの大事な人達も助けるわ…必ず」
「な、何でそこまでして…」
「私の妹も捕まってるの…あいつらに…」
「…!」
「そしてムスビはそれを手伝うってついてきてくれたの…と言ってもまだ出発してすぐだけどね」
「ミ、ミレアちゃんの妹まで…私達みたいに…」
「うん…と言っても私は少し事情が違うわ…」
「?」
「……ミサキちゃん、私はね…吸血鬼なの…!」
「ミ、ミレアちゃんが……!?」
「黙っててごめんなさい。あいつらとは別の盗賊に追われてここまで逃げてきたんだけどそしたらあの山でムスビに助けられたの…。私、物語とかの吸血鬼とかと違って弱くて…、だから盗賊とかに襲われてもろくに戦えなくて…。だからムスビには感謝してもしきれないの」
「そ、そうだったんだ…。でもどうして盗賊なんかに…」
「さっきの盗賊達が言ってたセブンス・グリドって商人のせいよ。私を追っていた盗賊も同じくグリドの手先…。グリドは吸血鬼を狙っているわ。奴らは吸血鬼である私達を自分達の金儲けに利用しようとしているの…。何とか私は逃げ延びたけど今も奴は私を狙っているわ」
「なんてひどい人なの…。ミレアちゃん達や私の家族、それ以外にもいろんな人を金儲けの種にするなんて…」
「ええ…。はっきり言ってほんと最低よ」
「ミレアちゃんも色々あって辛かったんだね…」
「でも今こうして助かっているだけでもラッキーだと思わなきゃ」
「なら私もそう思わなきゃだね。それにミレアちゃんともこうして出会えたし」
「…え?」
「初めて会えた吸血鬼さんがミレアちゃんで良かったなって…それに絵本にしかなかった夢が目の前にあるみたいで何だかちょっとドキドキするもん…」
ミレアは言葉こそ発していなかったが…体から何か熱いものが込み上げてくるような、何かが満たされている気が何となくした…
「ミレアちゃん…?どうしたの…?」
「ううん、何でもないわ…それに私もミサキちゃんに会えて良かったわ」
この盗賊の騒動はミレアが抱いていた他人への不信感を取り除き、そして一人の吸血鬼と人間の少女を友達にすることになった…
そして村へ到着し翌日の朝へ…
村人達の様子
「ほ、本当に行かせるのか…?」「こ、子供達だけで…止めたほうが…」「……残念じゃがわしらが止めたところで無駄であろう、あやつらの大事な人を取り戻せぬわしらじゃな」「そ、それにしても盗賊達を受け渡しまで村の復興の為働かせて大丈夫かしら…」「ま、まあ大丈夫だろ…二頭の魔獣が見張ってるみたいだし…」「魔獣が暴れなければ…ね…」「この通りお世話を欠かせなければ大丈夫とメモなんて渡されたが…」「不安じゃのぉ…」
盗賊達の様子
「クソ…、何で俺達が」「こんなことを…」
ガルルルルルゥゥゥ!!
「ヒッ、サボってねえです!」「だから食べないでぇ~!!」
一方少年少女一行は…
「ね、ねえ本当に大丈夫なの?魔獣に留守番なんてさせて…」
「…大丈夫…約束した。それに盗賊も魔獣の餌になるくらいなら大人しくしてる」
「ならいいけど…」
「…、そ、それにしても本当に良かったのミサキちゃん?付いて来ちゃって…村から離れることになるのよ…?」
「いいの…私だけがあそこに居ても…それに私も家族を助けたいし、友達と一緒に居れる方が私は寂しくないよ…」
「そう…でも辛くなったら言ってねミサキちゃん…三人で助けに行くんだから」
「うん!」
「でも助かったわ…馬車に乗ってなきゃ私太陽で…、それに荷物も持って歩かなくていいからありがたいわ…ミサキちゃんのおかげね…」
「よかったぁ、お父さん達と一緒に育てた馬だからそう言われると嬉しくなっちゃうよ」
「それにしても…マジックボックスなんて貰ってどうするの?」
「…念のためな」
そして数時間後、ヒネズミ町に到着した…
ムスビ達が訪れた初めての町…村から出てもう日も沈むまで近いそんな時にムスビ達は着いたのだった…
「結構、入るのに時間かかっちゃったね」
「まあしょうがないわ…それに子供だけだったから事情も聞かれたりで長かったから…」
「一応納得してくれてたけど…ただ、門番さんずっとムスビちゃんだけはちょっと気にしてたね…」
「まあ、しょうがないわ…子供とは言えずっと仮面をつけて顔隠してるんだもの」
「…」
「何か考え事…?…あ!宿が見えてきたよ!」
「…そう言えば私お金持ってないような」
「ん?お金は皆で使う用に持ってきてるよ?」
「ご、ごめんなさい…お世話になっちゃって…」
「気にしないで、所で値段はいくらぐらいかな」
「看板には一部屋につき580、食事代で200、馬等の停泊200~、が一日分の料金って書いてるわね…」
「一日の泊まり、食事、馬さん達も泊めてもらう代金合計で2540…ちょっと高くなるね…」
「節約できるだけしたいわよね…」
ムスビ一行は宿に着き、一つの部屋で泊まることとなった…よって1380の出費に収まったのであった…
「宿の人優しい人だったね、流石に空いてるからって三部屋を一部屋の代金で使っていいって言うのは申し訳ないから断ったけど…」
「そうね…代わりにこの大部屋使っていいって案内して貰っちゃったけど…」
大部屋は他の部屋がちょうど二つ分になったような大きさでベッドも二つ余裕を持って置かれていた。
「私達、子供だけだから優しくして貰っちゃってるんだね…きっと…」
「そうね…それに今の世の中冒険や旅だなんてしてる子供なんてほとんど見ないもの…珍しいから余計気にかけちゃうのかもね…」
「そ、そうだお金がいくらあるのか確認しないと」
「忘れてたわね、ちゃんと数えないと…」
「大体180,000あるくらいかな…?」
「そうね…仮に一日3,000使うと考えたら、もって二ヶ月ね…」
「…隣の島に行くお金とか考えたら二ヶ月も無理だよね…」
「…確か船の代金は一人30,000~100,000は相場だと聞いたわ…仮に100,000万だとしたら今ですら三人で行くのは無理ね…」
「どこかで働いて稼ぐことも子供の私達じゃどこまで出来るか分からないよ…」
二人が頭を悩ませているとムスビは荷物の一部を持ってきて、その中身を床へ広げた…
「これって財布…?」
「しかもこんなにたくさん…」
ムスビが出した財布は大小様々だが軽く五十個を超えていた…
「…皆中身があるわね、これ全部ムスビのなの?」
「…盗賊から借りた」
ミレア・ミサキ「…え?」
「い、いつの間に…(というかムスビの方がよっぽど盗賊じゃない…)」
「返さなくていいの…?」
「…盗賊達が更正したら返す」
ミレアとミサキは戸惑いながらもありがたく使わせて貰うことにしたのだった…
「えーと、盗賊の分で240,000あったから420,000が今の所持金ね…」
「これで何とか行くことも出来そうかな?」
「いえ…大事なもの忘れてたわ…私達地図が無いと隣の島どころかこの島だって進路がよく分からないわ道なりに進むしかないかしら…」
「で、でも地図なんて持ってないよ…」
「地図って高かったはずよね…」
「多分私の村も持ってるのは村長ぐらいだったよ…それもこの町までの道のりが描いてる程度の…」
「というかこの町に地図を扱う店なんてあるのかしら…。今の所持金で足りてもここじゃ買えないってことも…」
「…これを」
ムスビは床に広げていた…
この島…いや周りの島を含めた各島が記された地図を…
ミレア・ミサキ「!?」
「す、すごい!この島だけじゃない、シュガー島やその周りの島全部あるよ!」
「それに中身も、町や村、山や川に加えて危険な場所が描いてるなんて…それに他の島と行き来できるルートまで………多分実際に売ってる地図よりも詳細に描かれてるわ…こんなのをどうして…」
「昔、じいちゃんに貰った…外に出たらいつか必ず役に立つって…」
「役に立つって…こんなの一体いくらしたって言うの…」
「それはじいちゃんの手書き…」
ミレア・ミサキ「て、手書き!?」
「…後描いたのは何十年も前のだから多分いくつか当てになら無いと思う」
ミレア・ミサキ「そ、それでも十分だよ…」
三人はその後宿の食事を食べたら明日の方針を決める事にしたのだった…
ムスビは寝ていた、ベッドに入らず壁に寄り掛かって…
ミレア・ミサキ「……………どうしよう」
「…………グゥ……グゥ……」
方針は既に明日は町で水や食料を買うことやその他で旅に必要な物を皆で回って見つけていく事に決まり、その瞬間ムスビは壁に寄り掛かって熟睡し始めた…だが…
ミレア・ミサキ(寝る場所決めてなかった…)
流石にムスビにはちゃんとベッドで寝て貰いたい気持ちがあったので一個のベッドへ二人で運んだが…
ミレア・ミサキ「わ、私床で寝…」
双方気を遣っていたが、お互いに納得いく形として同じベッドで寝るという事で落ち着いたが…
今は夏…同じベッドに一緒に寝るのは地獄であった…
翌朝
ミレア・ミサキ(次からは別々に寝よう…)
そう思う程昨日は寝苦しかったようだ。
朝食(追加で600支払い)を食べたら一行は水や食料を買い足しに宿を出たのだった…
「えっと…ここから次の町までは二日ぐらいの距離だからこれぐらいで足りるかな…?」
「足りるとは思うけど、ギリギリな気もするわね…念のため後一日分は買い足しておきましょ」
「そうだね、じゃあ三日分で大体13,000、それに非常食を合わせると15,
000位かな…」
水は一日分で一人につき約250、馬の分も考えると5,000程、食料も一日分で一人につき約500、馬の分を考えると8,000程度が三日間でかかる計算となった…
「どっちの馬さんもたくさん食べるから本当はもっと食べさせてあげたいけど…」
「私達が目指す隣の島に行くにはここから約二十日はかかる港町まで行かないとならないわ…」
つまり三日分で15,000程度の出費ということは二十日だと約100,000の出費になる。手持ちは420,000であり、船の代金が最大で一人100,000かかるかもしれないことを考えるとギリギリである…
ムスビ達は手持ちの確認をしたが薬草や包帯、鍋や器、替えの衣服も少ないながらもあったので旅の中で必要な生活用品を買い足す必要はあまり無かった…というかムスビの荷物にはそれら含め必要と思える物がこれでもかと詰まっていた…
ミレア・ミサキ(あれでどうやって入ってたの…)
不思議なことに端から見たムスビの荷物は黒いマジックボックスが二つもあれば効果がなくても入りきる程少ない量であったが、中から出すとそれはマジックボックス二つから物が溢れてしまうようなボリュームに見えるのであった。
(本当は武器でも買っておきたいところではあるけどここじゃまだ良さそうね…いやそんな余裕あるかも分からないわよね…)
そう、一行は武器と言えるものをほとんど持ってきていなかった。金棒や剣等盗賊の武器は殆ど村に預けてきたのである。あるのは弓と数十本の矢、小さなナイフが二本、子供には少し大きい剣が一本、そしてムスビがずっと使っている武器かも怪しい木の棒が一本のみ、鎧や兜のような防具は一切なく、盾に関しても鍋の蓋を除けば一つもそれらしいものが無いのである…
(………流石にこれじゃ無理よね、明らか死ぬわよね)
ミレアは道中でどのようにして自分達の装備を整えるか考えようとしたが、取り敢えず船すら乗れていない自分達がそれを考えてもしょうがないと一時保留としたのだった…
初めての町…そこに訪れる事で一行は今の自分達が旅を続けられる限界…それが子供だけでの無謀な事であるという事実…金銭面、情報、戦力等色々と足りない自分達…そんな現実を少しだけ認識し始めていたのだった…
「…分かってはいたけどやっぱり無謀な旅ね」
「うん…本当は諦めてしまいそうだよ…でも…」
「そうね…それでも諦めきれるものじゃないわ…それに」
二人はムスビを見た…
彼は仮面を被っている上に滅多なことじゃ喋らない…それでもミサキとミレアには自分達が諦めてしまいそうな現実に対して「彼は諦めていない」その心だけは伝わっていた。
二人にとって大人も手を差し伸べられない問題でも目を背けず、放っておいてもミレアやミサキ含め誰も責めないというのに共に戦い、それを出来ることなのだと信じて手伝ってくれる…そんな存在。
いや、彼が居なければその問題の重さに頭を悩ませるまでならなかったかもしれない。今こうして悩んでいる事は少年の助けにより茨の道ながら一歩ずつ進んでいる証なのかもしれない…
今目の前に居る少年が二人にとっての希望である事は間違いなかった…
「………(み、見られてて恥ずかしい…)」
そして朝の十時頃…
「お世話になりました。大部屋にしてくれて助かりました、ありがとうございました」
ミレアもお世話になりましたと伝え、ムスビも頭を下げたのだった。
「いいんだよ、また来ておくれ」
宿の女将はそう言い、三人を見送った。
一行は宿を出て町の出入口へ向かった。
「あれ…?君達もうここを発つのかい?」
「はい私達は次の町、スイギュー町へ行きます」
「門番さん、昨日はおすすめの店教えてくれてありがとうございました」
「ああ、礼なんて大丈夫だよ。しっかりした子達だ。そうかスイギュー町か…結構長い道のりだから動物や盗人に気を付けるんだよ」
その後馬車を進ませると門番さんの姿は段々と小さくなっていき大きく振っていた手も見えなくなっていた。
こうしてムスビ達は初めての町、ヒネズミ町を後にしたのだった…
第三話 さらば故郷 初めての町ヒネズミ 終
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